「頭金2割」って本当?

一目で気に入ったマンション、
「頭金2割」と考えると
買えないことになるのですが……

住宅購入資金のことで悩んでいます。
半年前から住宅を探していましたが、先日、とあるマンションのモデルルームが一目で気に入り、立地も良いため、夫婦ともども購入に傾いています。
しかし、価格も当初の予算より高めの3780万円。
完成する1年後までに用意できるのは500万円が限度。
世間でよく言う「頭金は2割」ということだととても買えないということになりますが、この目安、本当のところはどうなのでしょうか?
できれば「大丈夫、買えます!!」と背中を押していただきたいのですが……

家賃より安いローンの支払いは無理がない!?

そのマンション、ずいぶん気に入ったようですね

リビングが開放的なのと通勤に便利だということ。あと、部屋から海が見えるらしく、単純なので弱いんです、そういうのに(笑)

営業担当者と資金の相談はされましたか?

自己資金が500万円しかないと伝えたら、問題ありません!!と太鼓判を押されました(笑)。今払っている家賃より、グッと低い支払いでローンが組めるからと

どういう試算でしたか?

諸経費分を入れると自己資金が500万円だと3400万円の借り入れ。そのうちボーナス払い分が1000万円。30年返済で、金利は3年固定で0.7%でした

なるほど。その条件ですと、毎月の返済は7万4000円。ボーナス月はプラス18万5000円。確かに今の家賃より安いですね

そうなんです。ただ、頭金は物件価格の2割必要ってよく言いますよね。すると、ウチの場合、この物件は無理ということになるんでしょうか?

住宅ローンの基本は、ライフプランと照らし合わせながら無理のない資金計画を立てること、それに尽きます。では、家賃より安ければ無理のないローンなのか、なぜ頭金2割なのかを考えてみましょう

相談者プロフィール

M・Sさん

兵庫県在住

性別
男性
年齢
35歳
職業
会社員

賃貸住宅
家族は、妻36歳、長女6歳、長男3歳の4人。
妻はパート、長女は小学校1年、長男は保育園。

MONEY DATA

収入

  • 給与(夫・手取り)27万2000円
  • 給与(妻・手取り)8万円
  • 児童手当2万円
  • ボーナス(夫・年間手取り)70万円

月額合計 37万2000円

月間支出

  • 家賃9万円
  • 食費4万5000円
  • 水道光熱費2万円
  • 車両費(※1)2万8000円
  • 教育費3万円
  • 通信費(※2)1万6000円
  • 家族のこづかい3万5000円
  • 交際費・娯楽費1万5000円
  • 保険料2万1000円
  • 雑費1万5000円

合計31万5000円

  • ※1 駐車場代、ガソリン代、保険料など
  • ※2 携帯・スマホ代、プロバイダー料金、有料テレビ代など

貯蓄/運用

  • 普通預金15万円(毎月5000~1万円預金)
  • 住宅財形185万円(毎月5万円積立)
  • 定期預金200万円(ボーナス年間30万円積立)
  • 外貨預金(豪ドル)130万円

合計 530万円

M・Sさんが購入を希望する物件情報

新築マンション
3LDK 78m2 15階建て10階

  • 価格3780万円(※1)
  • 管理費1万3500円/月
  • 修繕費5800円/月
  • 駐車場代1万1500円/月

保険料の内訳

[夫]
  • 定期保険(死亡保障2000万円、保険期間43歳まで)=保険料3400円
  • 医療保険(入院1万円、先進医療特約)=3800円
[妻]
  • 医療保険(入院1万円、、先進医療特約)=3700円
[長男]
  • 子ども保険(17歳満期、満期金200万円)=保険料1万300円

無理のない返済額から購入可能な物件価格を割り出す

そもそも、なぜ「頭金2割」という目安ができたのでしょうか。
昔は民間の住宅ローンがいまのように一般的ではなく、ほとんどの場合で住宅金融公庫や年金融資といった公的な住宅ローンを借りていました。これらの公的住宅ローンを借りる場合に、購入価格の8割までという条件がついていました。つまり昔は頭金を2割用意しなければ買えなかったのです。
つまりは、「頭金2割」が用意できたらリスクなく買える、あるいは用意できなければ購入できない、という明確な根拠があるわけではありません。住宅購入が可能かどうかは、あくまでそれぞれの家計状況や家族構成、ライフプランによって判断すべきでしょう。

では、M・Sさんは今回のケース、リスクなく購入できるでしょうか。そこで、ポイントとなるのは、返済可能額から購入可能な物件価格を割り出すということ。
実際の返済には、まず家賃分の9万円を充てることができます。それ以外には、毎月6万円の貯蓄がありますが、このうち、住宅ローンの返済に回せるのは2万円程度になりそうです。
M・Sさんはお子さんが2人。その教育資金として事前に用意すべき大学費用を800万円(私立文系)とすると、加入されているこども保険を考慮しても、月3万円の貯蓄は必要。さらに1万円を加えて、4万円は別途貯蓄しておきたいからです。

また、住宅にはローンとは別に、管理費・修繕積立金、駐車場代、さらには固定資産税といった維持費(ランニングコスト)が発生します。M・Sさんが購入希望のマンションのケースで、月割りにして新たに家計負担となるのが月額3万円ほど(※2)。つまり、実際に無理なく支払えるローンは月額8万円となります。

次に、毎月8万円の支払いで購入できる物件価格を割り出してみます。
金利上昇リスクを抑えるために、ローンは全期間固定を選択しました。30年(65歳まで)返済で、ボーナス払いはなし。金利は1.6%(フラット35と同程度)で試算しますと、借入額は約2300万円。それに諸費用分(約100万円と想定)を差し引き、頭金500万円を加えた2700万円が、購入可能な物件価格の上限となるわけです。

結果、現時点で希望する物件の購入はリスクが高いということになります。
ただし、両親または祖父母からの資金援助が望めるのなら、その額によっては、購入も可能となるでしょう。「住宅取得等資金贈与の非課税特例」(※3)や「暦年贈与」(※4)などを利用すれば、非課税の恩恵も受けられます。
また、購入時期を数年先に延ばし、その間、貯蓄に励み、住宅資金を増やす。あるいは、中古物件や候補地の範囲を広げるなどして、より価格の低い同程度の物件を探すといった選択肢もあるはず。焦らず、マイホーム購入を実現させてください。

※1

データおよび本文で用いる住宅価格はすべて税込み表示

※2

本来はこれに駐車場料金も加算しますが、現在M・Sさんが借りている駐車場の料金とほぼ同額のため、このケースでは考慮せず

※3

2016年は、耐震・エコ住宅で非課税額は1200万円、一般住宅で同700万円。ただし、床面積50㎡以上240㎡以下、受贈者の所得額2000万円以下などの条件あり

※4

贈与税の基礎控除。年間110万円。「住宅取得等資金贈与の費課税特例」との併用可

FP相談を終えて。M・Sさんの感想

手の届く物件を焦らず探します

3780万円のマンションは少し無謀だったようです。
教育費の準備や住宅の維持費までを考えれば住宅ローンを30年間返し続けるのは難しいと感じました。
ただ、アドバイスしていただいたように、中古住宅や、もっと郊外なら、手の届く物件がありそうです。
部屋から海が見えなくても、山が見えればいいと、今は思っています(笑)。

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