FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2017年12月号(2)
資産運用
CFP®認定者 柴沼 直美

2018年からスタートする積立NISAの魅力を確認

 2014年からスタートした現行NISA(小額投資非課税制度)、2017年から開始したiDeCo(個人型確定拠出年金)に加えて、2018年1月から積立NISAがスタートします。3つの制度について、自分にあった仕組みはどれか、使い分け方について整理します。

自助努力の必要性が求められる時代

 まず、このような仕組みが次々と導入された理由を確認しましょう。理由は2つです。1つ目は、現在金融資産を保有していないシニア層の比率がかつての昭和42年の3.2%から平成28年には30.9%(金融庁の制度説明資料)へと急上昇していること、2つ目は金融資産を保有していても預貯金に偏っているということ(全国平均:金融資産に占める預貯金の割合約50%)
https://www.shiruporuto.jp/public/data/survey/yoron/tanshin/2016/16bunruit001.html
 この2つの問題点への解決策を提示したのが背景です。急速に深刻化している少子高齢化に伴い、従来の老齢年金では生活を支えきれなくなっています。老後の生活費をできるだけ自分で準備するために「運用する」ことを制度面から後押ししているのです。

仕組みの概要を一言でまとめると

 それぞれの仕組みのポイントを簡単にまとめると、手続きをしておけば、現行NISAは年間120万円×5年間=600万円、iDeCoは原則60歳まで(年間積立額は会社員や専業主婦といった個人の立場によって年間14.4万円~81.6万円と異なります)、積立NISAは年間40万円×20年間=800万円までの投資元本における収益や分配金・配当金、売却益などについて税制面での優遇が受けられるというものです。iDeCoについては運用時(拠出時)においても社会保険料控除を受けることができます。

 では、最初に現行NISAと積立NISAの違いを明確にしましょう。この2つは二者択一です。両方の制度を使って年間合計160万円(現行120万円+積立40万円)まで非課税メリットを受けることはできません。

 積立NISAの1つ目の特徴は、対象商品が限られているという点です。日本で販売されている公募投資信託は約5,000本ですが、積立NISAの対象となるのは、手数料その他厳格な基準をクリアして金融庁から認められた安全性の高い114本(平成29年11月時点)のみでリスクの高い投資信託や株式は対象外です。2つ目は投資方法です。毎月であろうとボーナス時期のみに設定しようと「積立」方式でのみ適用となります。

 対象商品は広く分散されたいわゆるインデックス型投資信託が中心なので、投資の鉄則の1つ目である「資産の分散」を自動的に実行することになります。大きく収益を上げる可能性は低いかわりに、大きな損失を被る可能性も低い手堅い投資手法です。加えて積立という方法を採ることによって投資の鉄則の2つ目「時間分散(投資タイミングをずらすことによって買付価格を平準化)」を実行することになります。積立NISAを利用することによって投資の2大原則、資産と時間の分散によるリスクを抑えた投資を経験できます。これに対して現行NISAの投資上限は積立NISAの3倍、対象商品も個別銘柄の株式が含まれていることから、ある程度投資を経験した方向けと言えます。

 次にNISAと、iDeCo の違いです。NISA(現行・積立)とiDeCoは両方の利用が可能です。NISAは現行が5年間(5年経過後継続することも可能)、積立が20年間、iDeCoは原則60歳までが投資期間です。NISAは途中引出しが可能ですが、iDeCoは60歳までは原則引出しすることはできません。途中で拠出が難しくなった場合、拠出はしないで運用だけをする「運用指図者」になりますが、その場合でも口座管理料(金融機関によって異なります)は必要です。なお、iDeCoの対象商品は元本確保型(安全性重視)タイプと価格変動タイプがあり、商品の変更は随時可能です。

まとめ

 積立NISAは初心者、現行NISAは経験者向きでの二者択一です。iDeCoは60歳まで継続が原則ですので、無理のない金額でNISAと併行すれば、自然と分散・長期投資によって老後資金を準備することができます。このようにいずれも活用すれば確実にメリットが得られる仕組みなので、この機会にお金と向き合ってみましょう。

バックナンバーを見る

さらに過去のFPコラムをカテゴリ別で見る

上記以前のコラムは以下の6つに分類して掲載しています。

上へ