FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2019年12月号(2)
税制・相続・贈与
CFP®認定者 杉山 夏子

病院にかからない人も医療費控除の対象に~セルフメディケーション税制

 医療費控除はその年の1月1日から12月31日までの間に家族のために医療費を支払った場合において、所得控除を受けることができる制度です。ただし、医療費控除の対象は一定の医療費以上が掛かった方が対象です。現在、医療費控除の特例として、ドラッグストアや薬局などで対象の医薬品を購入した場合も、一定の金額の所得控除を受けることができます。今回は後者の「セルフメディケーション税制」についてお伝えします。

セルフメディケーション税制とは

 セルフメディケーション税制は、2017年1月1日から2021年12月31日まで医療費控除の特例として、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、ドラッグストアや薬局で購入した対象の医薬品(スイッチOTC医薬品)の合計額から12,000円を差し引いた金額(最高88,000円)について所得控除を受けられる制度です。薬局などで購入できる医薬品のうち1743品目(2019年11月22日時点)が対象となっており、家族(生計を一にする配偶者その他の親族)で合算することが可能です。2018年の確定申告分よりスタートした制度で申告する人の少ない制度ですが、健康の維持や病気の予防に取り組んでいる方や、軽い症状であれば病院で診察を受けず常備薬で済ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか?そのような方もセルフメディケーション税制を使って医療費控除をすることが可能です。
 例えば、花粉症の薬や風邪薬、痛み止めなど家庭の常備薬も対象です。対象となる医薬品は厚生労働省のホームページで確認できます。
 厚生労働省HP「セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について」

セルフメディケーション税制の適用を受けるための要件と必要書類

 申告できるのは対象となる医薬品を購入した方で、かつその年に会社や市区町村の健康診断を受けている、インフルエンザワクチンなどの予防接種を受けているなど何らかの健康増進や病気予防のための取り組みをした方です。適用を受けるためには、確定申告の際に明細書、健康診断などの領収書または結果通知表を提出する必要があります。
 なお、対象となる医薬品を購入した際のレシートを確定申告時に提出する必要はありませんが、求められたら提示できるように保管しておく必要があります。また、レシートには以下が記載されていることが必要です。
①商品名
②金額
③セルフメディケーション税制対象商品であることが示されていること(通常、「星印」が付いています。)
④販売店名 
⑤購入日

医療費控除とセルフメディケーション税制、どちらを選ぶ?

 セルフメディケーション税制と医療費控除は併用できません。どちらを選択するかは以下の計算式で、それぞれの医療費控除額を試算・比較し、判断しましょう。

図
(A)と(B)で金額が大きい方を目安として採用します。

まとめ

 軽い症状や通院する時間がない場合など市販薬で治す人も多いでしょう。病院にかからない人も市販薬のレシートを保管しておけば、セルフメディケーション税制を活用して税金が戻る場合もあります。なお、会社員などの給与所得者で還付申告をしていなかった場合でも、還付申告をする年分の翌年1月1日から5年間行うことができます。年末年始のお休みにレシート等をチェックすることで家計の医療費を把握する機会にもなりますし、家計の大掃除をこのタイミングでしてみるのもよいでしょう。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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