FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2017年8月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 柴沼 直美

おひとりさまの老後生活設計(共通の考え方・盲点):生活設計とダイエットの共通点

 最近、老後を1人で過ごすケースは珍しくなくなっています。ミドルエイジではまだまだと思っていた老後の生活設計という問題も、「アラフィフ(50歳前後の人)」と呼ばれるプレシニア世代に入って、ようやくこの課題に向き合わざるを得なくなり、漠然とした不安を抱えて相談に来られる方が目立つようになりました。今回は、「おひとりさまの老後生活設計」ということでその中心的なプレシニア世代の方の抱える課題にスポットを当てて考えてみたいと思います。

プレシニア世代とは,65歳以降のシニア世代に入る手前の世代を指し、実年齢ではだいたい45歳以降65歳までと言われていますが、その中心を形成しているのが50歳前後の人です。購買力もあり、国の消費を左右する影響力が大きいので最近注目されるようになっています。

 今回のようなケースでは、ダイエットになぞらえてご案内しています。ダイエットの場合は、1.自分の今のカラダを知る(体重やBMI、体脂肪率など) 2.なりたい自分の理想体型を設定する 3.理想のカラダに向けてどのくらいの時間をかけて食生活やエクササイズを組み合わせるかを考えて実行する、の順番ですね。
 老後の生活問題の解決も全く同じです。1.「現状分析」と2.「ゴール設定(このケースでは理想とする老後を過ごすために必要な資金)」そして3.「現状をゴールに近づけていく処方箋明示と実行」です。

 ところが現状は、出発点である現状分析ができていない、あるいはやろうとしないご相談者が多いのです。どうしてやろうとしないのかと尋ねたところ、「知らなかった」という無邪気な答えに紛れて結構耳にするのが「見ると落ち込むから」という回答です。自分のたるんだお腹の贅肉を見て落ち込んでも自分で何とかしない限り現状は変わりませんよね。生活設計も同じです。少なくとも、毎年お誕生月に日本年金機構から送られている「ねんきん定期便」で老後の収入の柱を確認しましょう。個人年金にご加入されている方は、こちらも併せて何歳まで年額いくらもらえるのかを確認してください。注意していただきたい項目は家賃収入です。少子高齢化で賃貸状況の先行きが見え辛くなっています。当然入ってくると思われていた家賃が、空室が解消されず当てがはずれたということは往々にして起こりえますので、取らぬ狸の皮算用とならぬよう注意が必要です。

 収入のチェックが終わったら次は見込み支出です。日頃から家計簿をつけていないと、自分がどれだけ使っているのかイメージできないと思います。2か月位で十分なので、月々の支出が簡単にまとめられるようにしておきましょう。
 この準備ができたら収支が見えてきます。赤字になるようであれば、今の貯蓄を取り崩して何年ぐらい持たせられるのか。たとえば74歳で貯蓄ゼロになるのであれば、平均寿命の88歳まで生きると仮定した場合、14年間の不足分があるという感じで、(現状とゴールのギャップ)のメドをつけましょう。

 不足分の数字が具体的に確定できたら処方箋の実行です。今の貯蓄のペースを速めるか、老後の生活支出を削るか、になります。しかし2つめの老後の生活支出を削るという選択肢はリスクが高いです。老後は体力の衰えとともに医療機関にかかる可能性が高くなります。医療費や介護費用そのものは保険適用となったとしても、目に見えない出費が必ず発生することが予想されるからです。そう考えると、貯蓄を増やす以外に選択肢がないことになり、「今以上に貯蓄に励まなければならないのか」と気持ちが沈んでしまいますね。

 実はとっておきの選択肢があります。それは「できるだけ現役として仕事をする期間を長くする」ことです。これは日頃の健康管理とやる気でかなり調整が可能です。昨今では在宅やノマドなど働き方も多様化していますから、うまく利用すれば年齢に縛られることなく仕事を継続することができます。収入の多寡もさることながら、毎月年金以外の収入があるというのは心強いですね。

 シルバーライフという定義そのものの見直しが求められる時代になったようです。平均寿命が長くなったことからも、プレシニア、シルバーとそれぞれの世代で自分たちが担うことのできる役割をもち続けていくことによって、収入面だけでなく社会参加という生きがいを維持していくことを考えることも大切ですね。

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