FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2017年5月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 本間 慶喜

リフォームをする際の税務上の注意点

 60歳代は人生においての転換期と言えます。会社員であれば定年を迎え会社勤めを終えて「通勤」を考える必要がなくなり、その頃には子供たちも独立して家が広く感じてきているかもしれません。セカンドライフを楽しく快適に過ごすために「どこに」また「どのような家」に住むのか、60歳代とはそのようなことを考える時期になるのかもしれません。
 いろいろな選択肢を考えることができますが、その1つに「自宅をリフォームして子供世帯と同居する」という方法があります。二世帯仕様にして親世帯、子世帯のお互いプライバシーを確保するというのも良いでしょう。
 今回のコラムでは、自宅をリフォームして親世帯と子世帯が同居する場合、リフォーム費用を誰が負担するのかという点に絞って、税務上注意するポイントを整理していきます。前提は土地付き一戸建で土地、建物共に父親の所有です。

リフォーム費用を父親が負担する場合

父親が負担する場合は、所有者本人が費用負担をするのですから特に問題はありません。

リフォーム費用を子供が負担する場合

子供が負担する場合には注意が必要です。父親が所有する財産に所有者以外の者が費用を負担しその資産の価値が上がるわけですから、建物の持分の変更をしないと「贈与」という問題が発生します。
親の家に同居するのだからそのリフォーム費用は自分が負担する、という親孝行の子供の場合、そのままでは思わぬ落とし穴となってしまう可能性があるわけです。

ではどのような方法をとるのか

まずリフォーム時点での評価額とリフォーム費用に応じて共有持分とするという方法が考えられます。この方法は、築後の経過年数が長いとリフォーム費用に比して評価額がかなり低くなるため、父親の持分が小さくなります。
親所有の建物に対して行うリフォームの資金を子供が負担をすると「贈与」という問題が起こるのですから、リフォーム前に建物の所有権を子供に移してからリフォームをすればこの問題は起こりません。所有を移転する方法としては、
 1.父親から子供への「贈与」する
 2.父親から子供へ「譲渡」する  があります。
1.の場合は、評価額が低ければ贈与税も大きくならないでしょう。また贈与税を繰り延べしたいのであれば「相続時精算課税制度※」の適用を検討しても良いでしょう。

相続時精算課税制度とは、一定の要件を満たす贈与について贈与時に課税をせず贈与者の相続まで課税を繰り延べることができる制度です。

2.の場合は、適正な価格で子供に売却することがポイントです。譲渡益が出る場合にはその譲渡益に課税されます。また、不適切に低い価格で譲渡すると時価との差に対して贈与の認定がされる可能性があります。
父親に資金的余裕がなく、子供から借りて負担しようということもあると思いますが、この場合も、金銭消費貸借契約書を結ぶなど親子間でも契約関係をしっかりさせておくと良いでしょう。親子間とはいえ贈与の認定をされないよう形式はしっかりと整えることが大切です。

相続を意識して

二世帯同居をすることで相続の際、「小規模宅地等の特例※」が使える範囲も広がります。どの方法が良いのかは各家庭の事情によりますが、父親の相続を意識した対策の一環として、資金の負担、名義の変更など相続時に有効な方法を選択しても良いでしょう。

小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たす宅地等について相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上一定割合を減額する制度です。最大80%の減額があります。

リフォーム減税を活用する

税金が戻ってきたり補助金がもらえたりとリフォームにはお得な制度があります。リフォーム業者に適用の可否を確認するなど事前にチェックをしましょう。

 2世帯同居は経済的にも精神的にも効果が期待できる居住方法ですが、その方法によっては税務的に大きな差が出てくることがあります。相続時のことも考えながら資金の拠出を検討して下さい。

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