FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2021年2月号(2)
資産運用
CFP®認定者 大竹 麻佐子

資産形成で活用したいiDeCo、NISAの基本

 「貯蓄から資産形成へ」と言われる昨今、「投資を始めたいけど何から始めたらよいですか」という相談を多くお受けします。資産形成において正解はなく、それぞれの環境や趣向、資産状況によってベストな選択は異なります。一方で、金融商品の数は限りなく増え続け、複雑化していることもあり、迷われる方も多いですが、自分に合った資産形成を目指したいものです。
 今回は選択肢として考えられるiDeCoやNISAについて、それぞれの特徴を整理してみましょう。

資産形成「はじめの一歩」

 超低金利が続く銀行預金などの貯蓄だけでは殖えないことから、投資により資産形成を考える方が増えています。やみくもに始めたために思わぬ価格変動やしくみの複雑さに大きな損失を被ったり後悔するケースも散見されますので、少額から時間をかけて慣れていくことがポイントです。
 iDeCoやNISAは、いずれも資産形成を考える個人投資家を後押しするための制度であり、期間や制限はありますが、活用したい選択肢のひとつです。

個人型確定拠出年金(iDeCo)

 将来の老後資金として自分で積み立てる年金制度と言えるのが「iDeCo」。毎月一定額を投資(拠出)し運用することで、60歳以降に年金もしくは一時金として受け取ることができます。
 拠出する金額の中で、どの商品をどれだけ買い付けるかを自分で考え、決定します。外国株式などを含めたリスクのある商品から元本が保証されている定期預金など、自分のリスク許容度に合わせた選択や配分指定が可能ですので、初めての投資でも不安なく始められるでしょう。また、途中で配分変更や別の商品に切り替えることも可能です。

 コツコツと時間をかけて資産形成ができるとともに、積み立て時、運用時、受け取り時のそれぞれに以下のような税制優遇があることもメリットです。  

  • 積み立て時

     積立金額は「所得控除」の対象となり、所得税や住民税の節税となる

  • 運用時

     運用で得た利息や運用益は「非課税」であるため、複利効果で運用効率がよい

  • 受け取り時

     年金形式「公的年金等控除」、一時金「退職所得控除」の対象となる


 なお、勤務先で企業型確定拠出年金制度(企業型DC)を導入している場合や加入する保険制度によって、加入の可否や限度額が異なるので注意が必要です。  

つみたてNISA

 2018年から始まった長期的な資産形成を支援する制度。年間40万円まで20年間にわたって積み立てることで、最大800万円までの投資による利益が非課税となります。
 対象となる投資信託は、販売手数料や信託報酬の低いものなど法令上の条件にあった商品に限られるため、価格変動リスクは抑えられています。
 金額の上限や2042年までの期限が定められていますが、途中で引き出すことも可能です。老後資金を目的とするほか、子どもの年齢にあわせた教育資金の積み立て、住宅購入の頭金の準備などライフプランに合わせた活用ができます。

NISA(一般NISA)

 2014年に開始された個人投資家のための税制優遇制度。NISA口座内の投資枠120万円までの株式や投資信託の売買益、配当金など投資で得た利益が5年間非課税になる仕組みです。
 期間を過ぎると課税口座に移すか、新たに開設したNISA口座に移す(ロールオーバー)かを選択します。なお、新しい制度が2024年から始まるため、新規設定は2023年までとなります。

2024年からの新制度とは?

 新しいNISAは2階建て構造が特徴で、合計122万円の非課税枠を使えるようになります。

  非課税枠 購入条件
1階部分 20万円 法令上の条件にあった投資信託のみ
(つみたてNISAと同様)
2階部分 102万円 株式、債券、投資信託など
(これまでのNISAと同様)

 もちろん、すべて安定的な商品で122万円の利用枠を使っても問題ありません。さらに、これまでと同様に5年間の非課税期間が設けられますので、新しい制度での運用を利用することが可能です。

使い分けとポイント

 家族構成や住まい、働き方など、それぞれの人生において状況や価値観は様々です。人生100年時代においては定年退職後に大学で学び直すといったことができる反面、将来が見えない、イメージできないといった「漠然とした不安」を抱える場合も多くあります。
 「自分がどうなりたいのか」という観点で考え、「何年後の何のために」といった目的があるとゴールに向かって進むことができます。そのための手段として、税制優遇などの制度をうまく活用しつつ、お財布事情も含めた自分にあった資産形成を考えてみましょう。まずは、その一歩を踏み出すことが安心への近道かもしれません。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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