FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2020年6月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 小柳 祥子

ひとつではない土地の価格、一物四価(五価)とは?

 土地の価格というと、自宅の購入価格や不動産広告に掲載されている価格を思い浮かべる人が多いと思いますが、実際には同じ土地なのに複数の乖離した価格を目にすることがあります。実は、ひとつの土地でも目的に応じて、4つもしくは5つの異なる価格が存在し、これを「一物四価(五価)」といいます。今回は、それぞれの価格が適用される場面と評価方法について解説します。

実勢価格

 実際に取引される際の価格で、売買する当事者間で合意した価格を指します。土地は同じ地域、同じ面積であっても、その形状や方角、接道状況などひとつひとつ条件が異なります。実勢価格は、こうした土地の固有条件や、時には売買当事者の事情(売り急ぎ、買い進み、縁故など)も加わって決定されます。なお、よく耳にする時価とは、通常の取引状態の場合に成立する価格を指すので、実勢価格とは若干異なります。

公示地価と基準地価

 「公示地価」とは、一般の土地取引の指標や公共事業用地を取得する際などに基準となる価格で、毎年3月下旬に国土交通省から公表されます。具体的には、その年の1月1日における全国の標準地(2020年は計2万6000地点、うち7地点は調査休止)の1㎡当りの価格で、建物がある場合は建物がない更地として評価されます。

 また、「公示地価」に類似したものとして「基準地価」があります。こちらは、毎年7月1日における全国の基準値2万2000地点の価格で、9月下旬に公表されます。調査主体は都道府県で、標準地が都市計画区域内中心であるのに対し、基準地は都市計画区域外や林地も対象(一部標準地と重なる地点もある)なので、「公示地価」の補完的役割も果たしています。また、2つの公表時期の差から、土地価格の動向を知ることが出来ます。

固定資産税評価額

 土地の所有者に課される固定資産税や都市計画税のほか、不動産取得税や登録免許税の算定基準となる価格です。各市町村(東京23区内は東京都)によって決定され、「公示地価」の70%が目安になります。基準日は毎年1月1日ですが、評価額の見直しは3年毎となっており、次回は2021年になります。

相続税評価額(相続税路線価)

 土地の相続税や贈与税の算定基準となる価格で、毎年1月1日における価格が、7月初旬に国税庁から公表されます。評価額は、相続税路線価(道路に面する標準的な宅地の1㎡当りの価格)を土地の形状に応じた補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じて算出され、「公示地価」の80%が目安となっています。なお、地方では相続税路線価が定められていない地域もあり、その場合には、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じる倍率方式によって評価額を算出します。

評価額を知るには?

 これらの価格は、各公表時期に新聞やテレビなどでも取り上げられますが、具体的に知るには、各省庁のWEBサイトで確認できます。国土交通省の「土地総合情報システム」では、全国の「公示地価」や「基準地価」のほか、実際に行われた土地取引情報も検索でき、「実勢価格」の参考になります。また、「相続税路線価」は国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認することができます。

 「固定資産税評価額」については、固定資産税の納税通知書に添付されている課税明細書で確認できます。その場合、課税標準額は固定資産税の優遇措置により評価額と一致しない場合があるので、必ず価格欄を確認するようにしましょう。なお、市町村役場に備え付けの固定資産税課税台帳でも確認できますが、納税義務者や借地人といった関係者しか閲覧できません。

 今後自宅を購入する予定の人や既に土地を所有している人は、是非土地の適正価格や税金の目安を知る際の参考にしてみてください。

国土交通省 土地総合情報システム
国税庁 路線価図、評価倍率表

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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