FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2020年3月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 太矢 香苗

住宅購入、家計に見合ったローンはいくらか

 家計に見合った住宅ローンとは、住宅購入後もローン返済をきちんとしながら、家族の将来に向けて教育資金、老後資金などの積み立てのペースが維持できる額ではないでしょうか。今回は、家計に見合った住宅ローンを「返済額」と「自己資金」から考えていきます。

目的別に分けて貯める

 いつか住宅を購入したいと思ったら、住宅購入資金、老後資金、教育資金と、目的別に貯めることをお勧めします。そして、住宅購入はあくまでも住宅購入のために貯めた貯蓄で資金計画を立てることが重要です。     
 住宅購入資金が足りないからといって、教育資金や老後資金を流用しないようにしましょう。そもそも住宅購入は、すべての預金をかき集めてまでするものではありません。住宅ローン破綻は、教育費や老後資金を流用してしまったところから始まることも多いのです。

家計に見合った「返済額」とは

 無理のない毎月返済額を計算するうえで、住宅を購入した後にかかる固定支出も見積もる必要があります。住宅購入後にかかる固定支出として、固定資産税、都市計画税、火災保険料(更新時)、床面積が広くなると増えることが多い水道光熱費や、マンションでは管理費・修繕積立金などがあります。毎月家賃を支払いながら住宅購入資金を貯める家計が多いと思いますが、住宅ローンの家計に合った無理のない返済額としては、現在支払っている家賃と住宅購入のために毎月貯蓄している金額の合計額を超えない程度にとどめておいた方がよいでしょう(図1)。

図

物件価格+諸費用と緊急資金

 住宅購入時には、物件価格の他にも5~10%の諸費用がかかることを念頭に資金計画を立てなくてはなりません。住宅購入の諸費用とは、所有権を登記するための登記費用や住宅ローンを借りるための手数料、保証料、固定資産税精算などの税金、火災保険料などです。その他不動産業者への手数料や転居費用、新規に購入する家電や家財も見積り額に加えます。
 また、諸費用の中には、不動産業者に払う手付金のように、契約時に現金が必要となる場合もありますので、住宅資金は、必要な時に自己資金として払い出しができるようにしておきたいものです。
 さらに、住宅購入した直後でも、緊急時に備えるお金として最低でも生活費の6カ月分のお金は手元に残しておきます。

自己資金に充てられる金額と住宅ローン額

 上記を踏まえて、住宅購入の自己資金額とは、住宅購入のための貯蓄額から緊急資金(生活費6カ月分)を差し引いた金額です(図2)。従って、住宅ローンで調達するべき金額(住宅ローン額)は、物件価格と諸費用の合計額から自己資金額を差し引いた金額となります(図3)。
図

自己資金の役割

 自己資金には住宅ローン負担を軽減する役割があります。自己資金が多いほど、住宅ローン借入額が少なくなり、借入額が少なければ、毎月返済額もより少なくなります。自己資金が10%以上あればローン金利の優遇を行っている金融機関もあります。
 そのため、長らく自己資金は20%以上が理想と言われてきましたが、低金利や住宅取得等特別控除の条件拡充により、物件価格の20%相当額以上の貯蓄があっても、自己資金は10%にとどめ、貯蓄として持ち続ける人も増えてきました。

資金計画はしっかりと

 長期にわたる住宅ローン返済の負担を考えると、住宅購入のための貯蓄経験(事前準備)は大切です。最近は「物件価格+諸費用」の100%を借り入れできる金融機関も多くなってきています。しかし、自己資金に充てられる金額がゼロで購入に踏み切ることはおすすめできません。なぜなら、住宅購入時に想定外の支出はつきものです。自己資金ゼロでは、そうした事態に対応できないリスクがあります。
 家計に見合った住宅ローンを利用するためには、まずはトータルでどのくらいの費用がかかるか、その後、家計が圧迫されない毎月の返済額を計算し、現金で準備しなければならない諸費用分の貯蓄ができてから、住宅購入に向けて動かれてはいかがでしょうか。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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