FPコラム

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最新号
2022年5月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 相澤 和久

不動産投資における利回りの意味

 資産運用の一つとして不動産投資があります。老後の安定収入になることや、不労所得が得られるということで興味を持たれる方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は不動産投資を考えるうえでの基本となる利回りについて解説します。

不動産投資とは

 投資から得られる利益はインカムゲインとキャピタルゲインに分けられます。キャピタルゲインとは資産を売却することで得られる売却益です。インカムゲインとは資産を運用していくなかで継続的に得られる収益です。不動産投資では投資対象となる不動産を売却することでキャピタルゲインが得られることもありますが、主には不動産を他人に貸し出して賃料収入を得ること、つまりインカムゲインを得ることが目的となります。そのため、同じ金額を投資するのであればより多くのインカムゲインが得られる不動産が良い不動産だと言えます。利回りには表面利回りとNOI利回りがあり、利回りが高いということは多くのインカムゲインが得られることを意味します。

表面利回り

 表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100
 一般的に年間家賃収入には、家賃・共益費の他、自販機、基地局(アンテナ設置)による収入が含まれます。一方、アパートなどで空室がある場合は満室と想定して年間家賃収入を計算する「満室想定収入」と、現在の月収×12カ月を年間家賃収入と計算する「現況収入」があります。収入の計算方法に違いがあるにせよ、表面利回りの計算には取得費用や運営管理費は含まれません。そのため、実際の投資金額に対する利回りではありませんので、金融商品等と比較する際には気を付けなければなりません。

NOI利回り

 NOI利回り(%)=(年間家賃収入-運営管理費)÷物件価格×100
 NOIとはNet Operating Incomeの頭文字をとったもので、年間家賃収入から不動産を管理、運営していくための経費を差し引いた純収益を言います。実質利回り、などとも言います。NOIを見るポイントは「運営管理費」には何が含まれるのか、ということです。区分マンションであれば、毎月の管理費、修繕費のほか、固定資産税も運営管理費となります。1棟アパートの場合、清掃費用、共用部の電気、水道料金も発生します。これら定期的にかかる費用は運営管理費として計算します。一方、その年しか発生しない費用、例えば新規入居者を募集した際の仲介手数料や契約更新時の更新手数料、また小規模な修繕工事も運営管理費に含まれているのかどうかは確認が必要です。運営管理費に厳密な定義がないこともあり、NOI利回りどおりの純収益が入ってくるわけではないことに注意が必要です。

 なお、NOI利回りが高い物件は投資効率が良いため、複数の物件を比較検討する際の指標になります。同じ賃料収入・物件価格でも運営管理費が少ないとNOI利回りが高くなります。NOI利回りが高いか低いかはどの程度の費用が運営管理費に含まれているかで大きく変わってきますので、内訳を確認することはとても大切です。

まとめ

 毎月大きなインカムゲインが得られる不動産投資は魅力的に見える一方で、様々なリスクもあります。借り手が見つからなければ収入がないこと、経年等により今より安い賃料で貸し出さなければ借り手が見つからないことなど、安定的にインカムゲインがあるわけではありません。
 また、不動産投資から得られた収益に対しては所得税・住民税が課税されます。そして、多額の借入を行っている場合は、税金が引かれた後の手残りで返済が続けられるかどうかも大事なポイントです。投資金額が大きくなりがちな不動産投資は、詳細な資金計画を立てることをお勧めします。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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