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いよいよスタート!新NISA制度
抜本的拡充・恒久化が図られた新しいNISA制度がいよいよ2024年1月に導入されます。今回は、資産形成を行ううえで注目を集めている新NISAについて、NISA制度の概要や現行NISAから変更される点、注意点などについて解説します。
そもそもNISA制度(少額投資非課税制度)とは
株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、これらを売却して得られた利益や受け取った配当金に対して、通常は約20%の税金がかかります。一方、NISA制度を利用すると、1年ごとに定められた金額の枠内(年間投資枠)で購入した金融商品を売却して得られた利益や受け取った配当金にかかる税金が非課税となります。
現行NISAには、「つみたてNISA」「一般NISA」「ジュニアNISA」の3種類があり、それぞれに非課税となる年間投資枠や非課税保有期間などが定められていますが、来年から始まる新NISAでは「つみたてNISA」と「一般NISA」が一本化されることになりました。
現行NISAからの主な改正点
新NISAでは併用可能な「つみたて投資枠」「成長投資枠」が新設されます。現行NISAの「つみたてNISA」「一般NISA」との主な改正点を下表で確認してみましょう。
新NISAでは非課税となる年間投資枠と非課税保有限度額が拡充し、非課税保有期間が無期限化されることで、現行NISAより多くの資金を長期間運用することが可能となります。長期投資は安定的な資産形成のためのポイントの1つですので、NISA制度の恒久化や非課税保有期間の無期限化により期待できます。なお、現行NISAの「ジュニアNISA」については、2023年12月末で制度終了となります。
【NISA制度の主な改正点のまとめ(現行NISAと新NISAの比較)】
現行NISA | 新NISA | |||
つみたてNISA | 一般NISA | つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
併用の可否 | 不可 | 可能 | ||
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 | 無期限化 | |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 | 合わせて1,800万円 (成長投資枠は1,200万円まで) ※保有商品を売却すれば枠の再利用が 可能(簿価残高方式で管理) |
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口座開設期間 | 2023年12月末まで | 恒久化 |
新NISAの主な注意点
現行NISAの「一般NISA」や「ジュニアNISA」では、非課税期間が終了したときに保有している金融商品を翌年に新たな非課税投資枠を利用して移管(ロールオーバー)することができました。しかし、現行NISAから新NISAへのロールオーバーはできませんので、現行NISAと新NISAは別々に運用する必要があります。
なお、現行NISAで保有する金融商品を非課税期間中に売却した場合は、売却益が非課税となりますが、非課税期間が終了した場合は、順次課税口座へ払い出しされます。
まとめ
個人の資産形成を後押しする税制の優遇制度である新NISAは、現行NISAから大幅に拡充されます。NISA制度が恒久化されることで長期的な投資計画を立てやすくなりますので、制度を正しく理解したうえで、自身の資産形成手段の選択肢の1つとして利用してみてはいかがでしょうか。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。