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2023年1月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 山内 真由美

金利の動向で変わる住宅ローンの組み方や留意点

 2022年は、米国等の先進国において大幅な金利の上昇に伴い、住宅ローン金利も上昇しました。現状、日本は引き続き金融緩和政策が行われて、低金利を維持しています。しかし、住宅ローンは長期間に渡る契約です。今後の景気動向及び金融政策によっては、金利が上昇する可能性も想定しておかなければなりません。住宅金融支援機構が実施した「住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月調査)」によると、変動金利を選択した人は住宅ローン利用者の73.9%に上ります。そこで今回は、住宅ローンの商品特性及び気をつけるべき点について確認してみましょう。

固定金利のメリット・デメリット

 固定金利には「全期間固定型」と「固定金利期間選択型」があります。全期間固定の中で代表的なものは「フラット35」です。住宅金融支援機構が民間金融機関(銀行・信用金庫等)と提携し、最長35年間の全期間固定金利の住宅ローンを提供しています。固定金利期間選択型は、固定金利を利用する期間を「固定2年・5年・10年」などから自分で選択し、終了後に再度借り方を選択するものです。固定金利のメリットは、固定期間中の支払い額が一定になることです。返済計画が立てやすく、家計が安定します。一方、デメリットは一般的に変動金利よりも適用金利が高く、高い金利の負担が続くことです。

変動金利のメリット・デメリット

 変動金利は、半年ごとに適用金利が見直されます。一般的には固定金利に比べて年間の金利が低く、金融機関によっては0.5%を下回ります。そのため、多額の借り入れとなる住宅ローンにおいては、変動金利で借り入れることにより、返済総額を大きく減らせるメリットがあります。反対に急激な金利上昇が起きた場合には、返済総額が膨れ上がるというデメリットがあります。住宅ローンの返済額が増えると、教育費など他の必要資金が足りなくなるなど、家族の資金計画に影響が出る可能性もあります。

金利上昇時の対応と注意点

 金利上昇時の対応策としては主に2つあります。一つ目は変動金利から固定金利に借り換えをすることです。この場合の注意点は、一般的に固定金利の基準となる長期金利の方が変動金利の基準となる短期金利よりも先に上昇するため、変動金利が上昇し始めるころには、固定金利はすでに上昇しています。しっかり金利動向をチェックしておくことが大切です。二つ目は繰り上げ返済をして借入金を減らすことです。この場合は、月々の返済などの他にまとまった資金が必要になりますので、あらかじめ余裕資金を確保しておきましょう。

まとめ

 住宅ローンの返済は長期間に及ぶため、返済期間中の金利の動向は誰にも予想がつきません。すでに変動金利を利用している人は金利上昇に伴い、返済額が増えた場合にどう対応するのか、あらかじめ想定しておくとよいでしょう。また、変動金利での住宅ローンの利用を検討している人は、もしも返済の途中で金利が上昇し、住宅ローンの返済額が増えた場合でも無理なく返済が可能か、借入前にシミュレーションをしてみましょう。

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