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2021年12月号(2)
資産運用
CFP®認定者 水野 崇

投資で育てるお金と豊かさ

 みなさんにとって「投資」とは楽しいものでしょうか。それとも難しいものでしょうか。
投資サービスの選択肢も増え、少額投資非課税制度の「つみたてNISA」や気軽に始められる「ポイント投資」など、すでにスタートしている方も多いことでしょう。FP相談では「投資についても聞きたいです…」という形で多くの方からご相談をいただきます。
 そこで今回は、人生100年時代を豊かに過ごす投資との向き合い方について考えてみたいと思います。

年代によって変化する投資の役割

 約10年ぶりに改訂された新学習指導要領では、中学・高校の社会科、公民科、家庭科を中心に金融経済教育が充実化され、新たに金融や投資を深く広く学習することになります。そのため、これからはご家庭でも投資やお金の流れについて、親子で楽しく語り合う機会が増えていくのではないでしょうか。

 多くの方にとって投資を考えるのは、教育費や住宅費、老後資金など将来必要となるお金を貯めるため、銀行預金以上の運用利回りを期待して株式や投資信託などを始めるケースではないかと思います。将来的には誰しも公的年金受給と預貯金を取り崩しながら家計をやりくりする時期を迎えますので、現役時代から資産形成を行い老後に備えることは大切です。とりわけ50代以上の方におかれましては、すでに現実的な問題として受け止められていることでしょう。

投資を続けることでお金と心を育てる

 投資の目的は資産形成だけに限りません。投資を続けることで働き方を変えることができるかもしれませんし、大切なものを優先する生き方も選べるかもしれません。投資は人生の選択肢を増やしてくれる素晴らしいツールでもあります。

 投資で最初の一歩を踏み出してみると、ゆっくりゆっくりお金を育てていくことに気づくのではないでしょうか。10年、20年と積立投資を行い続ければ、長期間の複利運用によって大きな金融資産に育っていきます。積立期間が長期であればあるほど、複利効果で加速度的にお金が殖えていくものです。
 これこそが、投資の本質であり投資の醍醐味です。

人生の選択肢を多く持つことで得られる豊かさ

 長期間の投資を続けていれば、運用している金融資産は大きくなります。であればこそ、少しずつでもいいので投資知識や投資スキルも習得していくとよいでしょう。そうすれば、自立した投資行動ができるようになります。誰でも最初は初心者です。経験を積み、お金と共に一歩一歩自立した投資家に育っていきます。

「苦手だった経済ニュースを見るのが楽しみです!」今まで経済や金融市場について興味なかった方が、投資を始めたことから景気動向や経済指標に関心を持ち、いろいろなことをもっと知りたい・学びたいと考え新聞やニュースに触れる時間が増えたそうです。興味ないものに時間を割くことは難しいですが、芸術に触れ人生の豊かさを広げられるのと同じように、投資に触れ人生の選択肢を多く持つことで、日常をもっと豊かなものにすることもできるでしょう。

まとめ

 「投資」にはいろいろな意味合いがありますが、お金を殖やすことだけが目的ではありません。人生を豊かにするツールの一つでもあります。将来の不安を取り除くこともできますし、現在の生活に潤いを与えることもできます。若い方であれば人的資本(稼ぐ力)が豊富にありますから、金融資産への投資以外にも、スキルや人脈など無形資産を構築するための自己投資も有効的だと思います。

 一度しかない人生を悔いのないものにするために、精神的にも経済的にも、誰かに依存しない自立した人生を歩みたいものですよね。投資と正しく向き合い続けることができれば、必ずみなさんの人生を豊かにしてくれることでしょう。

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