田舎の親の土地の相続が心配です

田舎にある親の土地と家屋、
相続するにあたり、どんな準備が必要でしょうか?

先日、宮崎県に住む私の父親が入院しました。
そのとき考えたのは、親の持つ土地と家屋のことです。宅地は150坪ほどあるものの、空港からJRとバスを乗り継いで2時間はかかる、とても不便な立地です。
ひとりっ子である私がいずれ相続するわけですが、東京に家を購入して、まだローンも残っています。たとえ定年後であっても、都会大好きの妻と移り住むことはあり得ません。
とは言え、相続すると固定資産税が発生するでしょうし、相続税とは無縁とは思いますが、少し心配でもあります。
支出面も含め、今から備えておくべきことがあるでしょうか。

簡単ではない
地方の実家の相続

お父さんの体調はその後いかがですか?

股関節を手術し、歩行のリハビリをしていますが、日常生活には支障がない程度に回復しています。母親は今年77歳になりますが、私より元気かもしれません(笑)

ご自身は土地と家屋をいずれ相続することについて、どう考えていますか?

正直に言えば、今は迷っています。もう東京に来て35年。実家は、生まれ育った場所ですが、その地域にさほど愛着があるわけではありません。ただ、だからと言って、あっさり切り離してしまっていいものか……

それはたとえば売却ということですか?

はい。しかし、実家は典型的な過疎地です。すぐに売れるような土地ではないことは、不動産に詳しくない私でもわかります。また、家屋を取り壊すには費用がいるし、所有すればそのコストがかかる。とは言え、移り住むのも現実的ではありません。すでに東京に家族の生活圏がありますし、妻は虫全般が大の苦手ですから、あんな田舎に住んだら毎日絶叫ですよ(笑)

わかりました。ここ数年、地方の「空き家率」の高まりが社会問題になっていますが、その背景には、地方に住む親の家の相続があります。子ども世代の多くが、都市部に移っているため、相続そのものが難しくなっているからです。実際に相続になった場合に慌てないために、そういう状況ではどのような選択肢があるのか、まずはそこから考えてみましょう

相談者プロフィール

K・Oさん

東京都在住 

性別
男性
年齢
52歳
職業
会社員

持ち家一戸建て
家族は、妻55歳の2人。
妻は専業主婦、長男は3年前に就職し、大阪府在住。

MONEY DATA

収入

  • 給与(手取り)40万2000円
  • ボーナス(年間手取り)95万円

月額合計 40万2000円

月間支出

  • 住宅ローン12万5000円(ボーナス払い年間30万円)
  • 食費6万円
  • 水道光熱費1万5000円
  • 車両費(※1)1万7000円
  • 通信費(※2)2万円
  • 家族の小遣い5万円
  • 交際費・娯楽費2万円
  • 保険料1万8000円
  • 雑費2万7000円

合計 35万2000円

  • ※1 駐車場代、ガソリン代、保険料など
  • ※2 携帯・スマホ代、プロバイダー料金、有料テレビ代など

貯蓄/運用

  • 普通預金38万円
  • 定期預金85万円(毎月3万円、ボーナス年間30万円積立)
  • 年金財形貯蓄120万円(毎月2万円積立)
  • 持株会120万円

合計 363万円

いろいろな選択に対して情報収集を

まず考えられるのが、とりあえず相続をして、その後どうするかを検討するというケース。ただし、その時点で相続税と固定資産税が発生します。
相続税は、相続人1人であれば3600万円までの基礎控除があります。相続する資産が土地と家屋だけならおそらく課税されないでしょうが、預貯金などを含めたすべての資産が対象となりますので、そこは注意が必要です。
また、固定資産税は手放さない限り毎年課税されます。現在の税額だけでも、ご実家に確認されるといいでしょう。現行の法律では、住まないからと更地にすると、固定資産税の軽減措置が外れ、税額が数倍跳ね上がります(※)。空き家が増えている理由のひとつに、この軽減措置にあります。

相続後、売却するという選択肢もあります。しかし、K・Oさんも言われていたように、地方の家屋はその売却が難しいと言われています。

家屋そのものを人に貸す、あるいは建替えてアパート経営といった土地活用の方向もありますが、借り手がつかず空室が続く可能性も考えなくてはなりません。その場合でも固定資産税が発生しますし、とくに後者は建替え費用を考えれば、現実的ではないでしょう。

税金やコストを極力抑え、かつ煩雑な手続きも避けたいのなら、相続そのものを放棄するという選択肢もあります。ただし、これはそれ以外の資産も放棄することになります。慎重に検討すべきでしょう。市区町村への寄付も可能ですが、維持管理費がかかるため、断られるケースも少なくないようです。

もしかしたら、今後、田舎暮らしに魅力を感じたり、定年後は自分の育った土地で生活したいと思ったりするかもしれません。その場合、都内の自宅を人に貸すといった方法もあります。
ともあれ、まだ時間はあります。今はいろいろな選択肢を用意しながら、ご実家が利用している地元金融機関や司法書士、税理士、不動産業者などに幅広く相談したり、情報収集をしてみるといいでしょう。

(※)敷地面積が200平方メートル以下の住宅用地の敷地面積の課税標準額は、固定資産税評価額の6分の1、敷地面積が200平方メートルを超える部分は3分の1となるというもの。この優遇措置は「空き家」でも適用される。

相談を終えてK・Oさんの感想

老後を考える機会にしたいと思います

アドバイスで指摘されたように実家そのものに住む可能性はゼロでないかもしれません。長年の会社勤めで、私もいろんな意味で疲れていますし……。冷静に考えれば、そろそろ老後と真剣に向き合う年齢です。
自分がどう老後を過ごしたいのかについて考えるいい機会だと思って、田舎嫌いの妻とも話し合ってみます。

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