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2022年2月号(1)
税制・相続・贈与
CFP®認定者 河野 雅人

会社員の副業はいくらから確定申告が必要か?

副業の収入が「年間20万円を超える」場合は確定申告が必要

 会社員の人が副業としてアルバイトをしている場合、アルバイトの収入が年間20万円を超えると確定申告をしなければなりません。会社員の場合は所属している会社で年末調整が行われますが、年末調整が行われるのは1社のみです。従って、本業として勤めている会社のほうで年末調整が行われ、アルバイトの給与については年末調整が行われません。そこで、アルバイトの方の給与については、確定申告が必要ということになります。
 アルバイトではなく、事業収入や不動産収入、株式投資などの副業をしている場合にも、副業で年間20万円を超える「所得」があると確定申告が必要になります。
 ここでいう「所得」金額は収入から必要経費を差し引いた金額となります。商品を販売した際に、その商品の仕入れにかかった費用は必要経費に該当します。例えば、ある商品を80万円で仕入れ、120万円で売った場合は120万円から80万円を差し引いた40万円が所得金額となります。そして、所得金額が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。

年20万円以下でも確定申告が必要な場合

 副業の所得が20万円以下であったとしても、以下のケースでは確定申告が必要になります。
1.年収が2,000万円以上
 給与収入が年間2,000万円を超える人については、会社で年末調整は行われず、確定申告を行う必要があります。
2.医療費控除、住宅ローン控除などを受ける
 医療費控除、住宅ローン控除などを受ける場合には、確定申告を行うことで、税金を抑えることができ、還付金を受け取ることができます。例えば、「医療費控除」については、年間に支払った医療費のうち10万円を超えた場合は、超えた部分の金額が所得から控除されます。

年20万円以下でも住民税の申告は別途必要

 副業の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要と前述しましたが、これは所得税の確定申告のことを指し、一方で住民税については申告しなければなりません。
 副業の所得が20万円以下なら、副業の分の所得税は納税する必要はありませんが、住民税については20万円以下の金額についても納税が必要ということです。所得税の確定申告をしないのであれば、別途、自治体に住民税の申告をしなければなりません。住民税の申告は各自治体で申告方法が異なります。申告の際には自治体に問い合わせるか、自治体のウエブサイトを確認しましょう。

まとめ

 会社員の場合には、会社側で年末調整を行い納税してもらえるため、通常確定申告は不要です。ただし、副業で20万円を超える所得がある場合には、確定申告が必要になるので注意が必要です。確定申告の必要があるにも関わらず申告を忘れてしまうと、「無申告加算税」や「延滞税」も発生します。
 副業を始めたい人や、すでに副業をしているという人は、確定申告が必要な条件や確定申告の基礎知識について、きちんと理解しておく必要があります。

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