FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。
最新号
2017年3月号(2)
ライフプラン
CFP®認定者 黒澤 佳子

会社を退職するとき、転職するとき、知っておきたい社会保険の手続き

 社会保険の手続きは面倒で敬遠しがちです。特にサラリーマンは「会社が手続きをしてくれるので、知らなくても大丈夫」と思っている方も多いでしょう。でも知らないと損をするかもしれません。平成27年雇用動向調査結果によると、常用労働者4,744万人に対して713万人(約15%)が離職しています。このような時代だからこそ、押さえておきたいポイントです。

1.退職前に気にしておくこと

 サラリーマンの社会保険には、健康保険、年金、雇用保険、労働保険があります。このうち労働保険以外は、個々の状況に応じて取扱いが異なります。
 退職後、日にちをあけずに転職した場合は、社会保険をスムーズに引き継ぐことができ、手続きは会社間でほぼ完了します。
 しかし再就職までの期間がある場合は、自分で社会保険の手続きを行わなければなりません。家族の扶養に入れれば手続きは簡単で、保険料負担もありませんが、そうでない場合は、行政の窓口で手続きを行い、保険料を負担する必要があります。

2.健康保険は選べる?

 すぐに再就職する場合を除いて、健康保険は、(1)これまで加入していた健康保険組合を2年間継続する(任意継続)、(2)国民健康保険に加入する、のどちらにするかを選べます。
(1)と(2)では保険料が異なるので、どちらの保険料が安くすむか、今後の収入見込みも考えて選択しましょう。
 (1)の場合は、これまで会社が負担していた分の保険料が自己負担になるので、これまでの保険料の約2倍になります。(2)の場合は、前年所得や世帯の加入数などによって保険料が決まります。前年所得が高ければ保険料が高くなります。算出方法は自治体によって異なりますが、Webなどで試算できるところもあります。

3.年金の手続きを忘れずに!

 退職後、転職までに期間があいている場合は、国民年金の加入手続きも忘れないようにしないといけません(第1号被保険者)。その時、これまで扶養家族であった配偶者(第3号被保険者)は、同じく国民年金に加入しなければならず(第1号被保険者)、保険料の負担が発生します。
 国民年金の加入手続きは、年金手帳と離職票など退職日が証明できるもの、印鑑や委任状(配偶者の手続きも行う場合)を持って、市区町村の国民年金窓口に行きましょう。

4.失業給付を受けるには?

 失業認定がされると、退職前の賃金の約50%~80%の失業給付が受け取れて、求職中の生活を支えることができます。失業給付を受けるための条件は以下の3つです。
(1)失業状態である(働く意思があるのに仕事に就くことができない)
(2)退職日2年前までに雇用保険の加入期間が通算12ヶ月以上ある
(3)求職中である(ハローワークに求職申し込みをする)

 上記を満たしたとしても、すぐに給付金が支払われるわけではなく、実際に給付を受けるためには、何度も指定された日にハローワークに出向かなければいけません。
 給付期間は、離職の理由や被保険者であった期間、年齢などによって異なります。倒産や解雇の場合は「特定受給資格者」となり、給付期間が長くなります。一般離職者の場合でも、契約社員の雇止め、妊娠・出産・育児が理由の場合は「特定理由離職者」となり、受給資格が緩和されます。また給付期間を残して再就職が決まった場合は「再就職手当」が支給されます。
 給付金は、退職前6ヶ月の賃金(ボーナスを除く)によって計算されます。したがって、正社員からパートに変わるなど給与が減ってから退職すると、正社員のまま退職した場合に比べて、給付額が少なくなるといった場合もあります。
 また、近年、失業給付の不正受給が増えていますが、多くの場合は虚偽申告です。この場合、給付金の3倍を返還したり、詐欺罪に問われるなど厳しい処分を受けることもあります。

5.家族の扶養に入るには?

 年収が130万円未満であれば、家族の扶養に入ることもできます。会社によって細かい基準がありますので、まずは会社に問い合わせてみましょう。
 ただし、失業給付を受けている期間は扶養に入れませんので、国民健康保険や国民年金の手続きが必要です。
 他にも、これまで給料から天引きされていた所得税や住民税の扱いも注意が必要で、場合によっては確定申告をすることになります。

 これらの手続きを怠ると、受けられるはずの保障が受けられなくなります。将来の年金の受取額が減るなど自分の将来にかかわることなので、忘れずに手続きをしましょう。

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