FPコラム

日本FP協会が認定するファイナンシャル・プランナーの上級資格をもったCFP®認定者が、くらしとお金に関する社会保障制度や税制の解説から、生活の中で見つけたちょっとしたアイデアまで、みなさまのファイナンシャル・プランニングを考える際のきっかけ作りとなるような情報をファイナンシャル・プランナーの幅広い視野で取り上げ、月1~2回お送りしています。

最新号
2024年3月号(1)
資産運用
CFP®認定者 川又 啓二

ロボアドバイザーとは?上手に利用して資産運用を始めよう

 2024年1月から新しいNISA制度が開始され、資産運用を始めてみようという人が増えています。今回は、投資初心者でも手軽に始めることができ、人気となっているロボアドバイザーについてご紹介します。

ロボアドバイザー

 ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を活用して、その人に合った投資診断や投資アドバイス、運用などを行うサービスです。各社のロボアドバイザーによって最低投資金額も異なり、100円から始めることもできる個人に利用しやすいサービスとなっています。
 ロボアドバイザーには、投資家に対して最適な資産配分などについて助言だけを行う「アドバイス型」と、運用も含めてすべて任せることができる「投資一任型」の2種類があります。
 インターネット取引の普及によりスマートフォン1台で口座開設ができ、資産運用が手軽に始められるようになりましたが、投資初心者にとっては投資先の選定や見直しの判断が難しいこともあり、手間をかけずに資産運用を始めることができるロボアドバイザーを利用する人が増えています。

運用方法

 ロボアドバイザーでは、利用者のリスク許容度に合った運用を実現するために複数の運用プランを用意しています。例えば、国内外の株式や債券、投資信託などの様々な資産に分散投資を行うことで、世界の経済成長の恩恵を受けることもできます。さらに「投資一任型」の場合、ロボアドバイザーによっては資産配分がAIによってリバランス(自動調整)される機能を備えていたり、新しいNISA制度に対応していたりするところに利用者にとって便利なサービスがあります。

ロボアドバイザーのデメリット

 メリットが多いように見えるロボアドバイザーですが、デメリットについても考えてみましょう。
 「アドバイス型」は、資産運用の助言にとどまるため、無料で利用できる場合が多いですが、投資の発注や運用、運用途中での資産配分の変更といった手続きは利用者自身で行う必要があります。そのため、投資初心者や時間に余裕がない人には、負担に感じるかもしれません。
 また、「投資一任型」は投資一任契約という形態をとるため、運用はすべて任せることになります。自分で考えて投資先を決めたり、資産配分を入れ替えたりすることがないため、運用状況について分析をしない傾向があり、結果的に資産運用の知識が身につかないともいえます。さらに、「投資一任型」は手数料がかかります。手数料の基準は各社違いがありますが、預けている残高に対し年率1%前後の手数料がかかるため考慮する必要があります。

まとめ

 すべての人に合致する金融商品はありません。仕組みを理解したうえで、ライフスタイルに合ったサービスをうまく使いこなすことが資産運用成功の鍵といえます。
 ロボアドバイザーは、パソコンやスマートフォンで投資に関する助言や運用サービスを受けられるため、手軽に資産運用を始めたい人に向いているサービスといえます。また、投資経験者も自分で運用しながらロボアドバイザーを併用することで、それぞれの違いを学ぶことも有効です。
 ロボアドバイザーにすべてを任せきりにするのではなく、自分自身の金融リテラシーを高めつつ、上手に利用しましょう。

  • ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
  • ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフです。本コラムは執筆者個人の見解を掲載したものであり、当協会としての意見・方針等を示すものではありません。

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