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活動報告
  • テーマ

    社会保障制度をじっくり考えてみよう

  • 日程

    2025年5月10日(土)

  • 時間

    15時30分~17時30分
    (所要時間:2時間00分)

  • 活動場所

    四谷地域センター 11F 集会室4

  • 講師

    田川 勝久(たがわかつひさ)氏 /CFP、外部講師
     企業年金連絡協議会 専任顧問
     元ジェーシービー企業年金基金副理事長。
     現在、年金シニアプラン 総合研究機構評議員、日本年金学会幹事。
     特定社会保険労務士、中小企業診断士、1級DCプランナー、
     J-FLEC(金融経済教育推進機構)認定アドバイザー。

  • 課目

    ・ライフ・リタイアメントプランニング

  • 単位数

    2単位

  • 参加人数

    合計19名

  • コメント

     社会保障の基本的な考え方やその仕組みと意義について解説。
     社会保障とは、安心や生活の安定を支えるセーフティネットで、社会保険(年金・医療・介護)、社会福祉、公的扶助、保険医療・公衆衛生からなる全ての人々の生活を生涯支えるもの。社会保障制度は、多岐にわたって自治体等様々な主体がそれぞれに役割を担い連携しながら実施されている。米国や北欧を中心に成長してきた。
     現在の社会保障制度は、戦後の復興期を経て高度経済成長期の1960~70年代に骨格が築かれた。昭和20年代の戦後混乱期は救貧(緊急援護と基盤整備)、昭和30/40年代の高度成長期は防貧(国民皆保険・皆年金と社会保障制度の発展)で積極的な拡充への改革が進行した。昭和50/60年代の高度経済成長期終焉と行財政改革により制度の見直しが行われた。平成以降の少子化やバブル経済崩壊・長期低迷で少子高齢化社会に対応した制度の構造改革が行われた。社会保障制度は自助・共助・公助の組み合わせで考えられ、昭和時代は自助をベースに進められてきたが、平成以降は自助をメインに共助で支える仕組みに変わってきた。社会保障費は増加の一途をたどり、2024年度で社会保障給付費は約138兆円(GDP比22.4%)で、給付割合は年金62兆円・医療43兆円・福祉介護33兆円。しかし、日本の人口は近年減少局面を迎えており、2070年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率が39%の水準になると推計されている。
     日本の年金制度は3階建てで、1階部分の国民年金(基礎年金)と2階部分の厚生年金の公的年金が国民の老後生活の基本を支え、3階部分の企業/個人年金と合わせて老後生活の多様な希望やニーズに対応する形態となっている。公的年金の積立金は2022年度で250兆円。年金制度は長期的にバランスを取る財政枠組みとして、①保険料の値上げ、②国庫負担率の引き上げ、③積立金の活用を行い、更に財源が足りない場合には、④マクロ経済スライドによる給付水準の調整が行われる。マクロ経済スライド調整とは、賃金・物価の上昇率から社会全体の保険料負担能力の変動を反映させる調整で、5年毎の財政検証で100年間の財政見通しを作成して調整終了年度の見通しを作成する。
     公的医療保険制度・介護保険制度・生活保護・ひとり親世帯・貧困化などについても、それぞれ対応すべき課題がある。
     老後の不安を抱く人は多く、年金・医療・介護への公的支援といったリタイア世代への再配分は支持を得やすい仕組みと思われがちだが、高齢者への再配分に疑問を抱く勤労世代が増えている。政府の財政状況を懸念しており、制度維持に伴う負担増を受け入れるには実行力ある社会保障制度が自身の老後まで持続するという確証が必要。情報公開を徹底して支出を検証できるようにすると共に、再配分制度への信頼を取り戻すための実現可能な将来計画の策定が求められている。現状のトレンドを前提とした現実的な計画を立てることが、再配分政策の支持を広げるカギとなる。