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SGネクスト

活動報告
  • テーマ

    床屋の経済学から考える、なぜ日本のGDP・生産性・賃金は上がらないのか

  • 日程

    2023年2月11日(土)

  • 時間

    15時30分~17時45分
    (所要時間:2時間15分)

  • 活動場所

    Webセミナー(Zoom)

  • 講師

    西巻 樹一(にしまききいち)氏 /CFP
     SGネクストメンバー

  • 課目

    ・金融資産運用設計

  • 単位数

    2単位

  • 参加人数

    合計16名

  • コメント

    (新型コロナウイルス対策のため、ZoomにてWebセミナーを実施)
     床屋の経済学から日本のGDP・生産性・賃金が上がらない状況・理由を分析し、その対策を提示。
     若い人は美容室へ行き、なじみ客は高齢化して顧客が減少するため、理容室のマーケットは縮小傾向にあるが、街の床屋(旧型理容室)で潰れない店舗がある。潰れない理由としては、そこそこの需要があり、人件費・設備等の固定費が低く抑えられており、年収300万円程度でも十分に生活できるから。同様のインフラ系サービスとして低賃金・低価格の1000円カット店舗も出現したが、収入は客数次第で生産性向上の無いサービス形態である。それに対し、コンテンツ系サービスであるニュースタイル理容室は顧客の新しいニーズを取り込み割高料金でサービスを提供する新たなビジネスモデルを開拓した。床屋業界の問題は、縮小するマーケットに対し人件費と価格を下げるだけの戦略で、新規設備投資をせず減価償却が済んだ旧型設備を使い続けるため労働生産性も上がらず、ニュービジネスへの脱皮もできないことである。これは、日本の縮図と考えてよい。
     日本経済を見てみると、GDP成長率は低迷し続けていて、そのため実質賃金が30年に渡り横這いだったが、2022年には減少し賃金が目減りしている状況。賃金を上げるにはGDPを上げ、世帯所得への分配を高めなければならない。しかし、日本経済全体として行ってきたことは、
    ①縮小する国内市場での利益確保のため、設備投資を減らし、労働分配率を下げた
    ②低生産性産業が社員を低賃金の非正規に置き換えコストダウンを図り生き残った
    ③IT投資を含めた設備投資を減らし、効率の悪い旧型設備を使い続けDX化も遅れた
    ④構造改革の未達、低生産性→高生産性産業へ労働人口・設備投資の移動が遅れた
    ⑤非製造業(主にサービス業)の設備投資が遅れ、生産性が低迷する中で、非正規の採用、過剰サービスで生き残った
    ⑥労働者に対する保護が判例上強く、不採算事業の整理が難しい
     床屋の問題と日本経済の問題で多くの共通点が見られたが、それらを踏まえ、日本のGDP・生産性・賃金を上げるためには、
    ①設備投資の増加で古い生産設備は更新し、成長性が高い産業に投資を集中させる
    ②IT投資を増やしDX化を促進する
    ③構造改革で、低生産性→高生産性の産業へ労働人口・設備投資を移動させる
    ④企業が労働分配率を上げる
    ⑤不採算で成長性の無い産業まで保護する政策を転換する
    ⑥高級・高度なサービスで低価格路線から脱皮、インフラからコンテンツへ