SG-Nextステージ千葉
-
テーマ
相続FPが語る!相続実務でFPが求められること・業務のポイント~FPが相続案件をビジネスにするにはどうする?~
-
日程
2010年7月22日(木)
-
時間
18時45分~20時45分
(所要時間:2時間00分) -
活動場所
I-linkルーム ルーム2
-
講師
江里口 吉雄 様
(外部講師 / 相続支援ネット代表 エリグチFP事務所代表 )
1950年東京生まれ。相続に特化したFP=相続FPの提唱者。全国の地主の相続問題を支援する相続スペシャリスト。現在・過去・未来における相続支援で 活躍中。全国で相続人を支援するセミナーを開催。相続の講演・相続専門誌等に執筆多数。相続FP養成スクールで人材育成にも力を注ぐ。
相続FPとは?
相続FPは、相続の各専門家(税理士・不動産鑑定士・家屋調査士・一級建築士)とネットワークを組み、お客様が的確な相続を実現するためのアドバイスと支援を不動産スペシャリストとしてご提供する相続専門のファイナンシャルプランナーです。
-
課目
・相続・事業承継設計
-
単位数
2単位
-
参加人数
合計25名
-
コメント
相続問題の解決のためにFPは注目されてきているが、実際どのように進めればよいのか模索しているFPがあまりに多いです。
そこで、7月の定例勉強会は日本トップクラスの相続専門FPである江里口氏を招き相続案件においてFPができる相続ビジネスの実際についてお話いただきます。
【研修報告】
FP6 相続事業承継設計 1.2.15.24 に該当
学習内容:相続実務の実際 FPができる相続実務 FPが関わる相続業務のポイント等
【講義録~一部抜粋~】
SG-千葉FP実践会 定例勉強会 2010年7月22日
相続FPが語る! 相続実務でFPが求められること・業務のポイント
~FPが相続案件をビジネスにするにはどうする?~
相続支援ネット 代表 江里口 吉雄
大変お待たせしました。相続支援ネットの江里口です。
実は市川というのは、何年ぶりでしょうか、久しぶりに来てびっくりしました。私は今年還暦で、もう年金をいただいております。世間でいう“年金FP”、年金をもらいながらFP活動をしているわけです。
相続という中身は非常に幅広いものですから、今日お話する内容は、地主さんの相続層に焦点を当ててお話します。
まずみなさんのバックグラウンドをお尋ねします。独立されている方は? 半数弱ですね。あとはお勤めということですね。お勤め先ですが、銀行、保険会社、証券会社など金融系の方? 意外と少ないですね。不動産、建築、住宅関係にお勤めの方? 不動産関係の方はいらっしゃらない。それから、士業の方は? いらっしゃいますか。行政書士で開業をされているのですね。あとは、メーカーなどの方?
参考資料として、今年の2月に取材をされた『エコノミスト』に載った相続の問題を億張りしています。いま抱えている相続問題を的確に表現された内容ですので、お読みください。
今日のテーマは「相続FPが語る」、つまり私が語る「相続の実務でFPが求められるもの」。それから実務を業務にするということは、相続関係をビジネスにするということ。ビジネスにするということは、お金をもらう、ボランティアではないです。お金をもらうにはどうしたらいいか。もう少し突っ込めば、相続ビジネスでどのくらいもうかるのかということなんですね。
この辺の市川というのは地主さんが多いんです。市川で数件の相続の案件を扱いました。市川市内ですと農家層で資産総額がだいたい10億くらいですね。いまは路線価が下がって6~7億でしょうが、7~8年前でした。市川の郊外でもともと農家、10億ぐらいの地主ということですと、畑、田んぼ。でも生活の主体はアパート経営者です。あるいは駅前にマンションを持っている、街道筋にすかいらーくを経営している。こういうパターンで年間収入で5000万円レベルの不動産所得です。そこで相続が起きると、いまは少子化で子どもが2人とか3人ですから、払う税金がだいたい2億前後、ひどいと3億の相続税を払うことになります。2億払うために預金があるかというと、まずありません。多くて1億、普通数千万円。足りないですから残りをどうするかというと、お決まりのコースで市川の駅前の駐車場を売却すると、こういう不動産の動きになってくるのが相続の実態です。そんな中で我々FPがどうやってビジネスをしていくのかというのが今日のお話です。
いま言ったような地主層、土地富裕層といっていますが、相続上の悩み、争続問題があります。一時、相続は「争族」と表されたこともありましたが、これはタクトの本郷尚さんが20年くらい前に「族」を書いて話題化した、本人も自分が命名したと言っています。最近は「争続」という書くケースが増えています。それから納税問題。
相続問題は大きく分けて三つ。アパートオーナー層の相続の問題。もう一つは自営業者。これは事業承継の問題です。跡取りがいないのと、事業が組み立てられない。特に不動産業などは二代目が継がないわけです。一代限りの事業というのも多いです。次に、セカンドライフを迎える団塊世代の悩み。私は1950年生まれですから団塊世代ではありません。団塊世代は1949年生まれまで。私の先輩です。太平洋戦争が終わってベビーブームの時代です。私の世代で1学年約160万人。団塊世代は200万人です。みなさんは、団塊世代の二世の方もいらっしゃるようですね。
(中略)
これが相続の実態になります。それを前提として、我々FPはどうしたら相続で儲かるのかなということを考えるわけです。
その前に、相続とは何かをしっかりととらえていかないとビジネスにならない。ビジネスにするには相続とは何かを知らなくてはいけない。FPのみなさんは、有資格者で、非常に勉強熱心で、知識と経験といろいろなことをお持ちです。今日も勉強会に起こしになっている。皆さんはライセンスや知識でお腹が膨らんでいる。あるいは肩にザックでたくさんしょっている。それでお客さんのところにいったら、行くだけで精一杯、悩んでいるお客さんの話を聞くどころではない。我々はビジネスというのは裸でいかなくてはいけない。今まで勉強したこと、知識は関係ない。全部置いて裸一貫でいくのがビジネスの現場なんです。そうすると、儲かる話がぼんぼん見えてきます。
(中略)
現実の土地の話に戻ります。現実は、100平米の土地を分けるとき、さきほどの分け方では家が建たない。住宅地というのは、窓先の採光基準がある。北側斜線とか道路斜線とか諸々の建築基準法の規制があります。50センチ離れて塀があったら、真っ暗です。部屋にならない。二階建てだったらまったく風も光も入りません。マンションで「2LDK+S」というのがありますが、「S」は納戸、窓があっても光が入らず採光基準がクリアできないから居室として認められない部屋なんです。
(中略)
実務というのは経験を積んでいくこと。1回経験するとだいたいわかります。実務の第一歩。理屈ではありません。教習所で運転免許を取るのも同じです。みなさんがいろいろ勉強してきたのは教習所の世界。ビジネスの現場は、現場ですから人が亡くなってお客さんが財産の問題で色々困っているわけですから、そこに入っていかなくてはいけない。
実務では寸法というのはものすごく大事です。靴が0.5センチ合わなかったら大変でしょう。寸法はドンピシャリでなくてはいけない。相続は不動産。不動産はなにかというと、さきほどから延々と言っていますが、寸法なんです。寸法単位を意識する。
これは三角スケール、「サンスケ」といいます。ここで一緒に遊んでみましょう。1円玉の直径は何ミリでしょう? 「10ミリ」という声が多いですね。では三角スケールで測ってみましょう。正解は2センチ。正解は1人ですね。
1円玉は2センチもあるんです。では、10円玉は? 正解は23ミリ。100円玉は22.5ミリ。つまり15%直径が長いだけで、10円玉と1円玉はこんなに違う。実務の部分というのは寸法というところで、ものすごい勘違い、錯覚をしている。1円玉は直径20ミリだと知ってしまえばどうということはない。
そういうところで、土地を見るんです。土地というのは面積です。先ほどのA、Bの土地の話に戻ると、2メートルだと確認申請はおりるけれども、軽自動車も入らないんです。住宅地は最低2.5メートルです。3ナンバーの車でもぎりぎりドアがあく。5ナンバーなら、車の横を自転車も通れます。車の幅は普通1.7メートル。
1円玉と10円玉の差が、立体でモノを見るともっと大きさが違って見えます。車の幅は、軽自動車は幅1.4メートル×長さ3.5メートル、5ナンバーは1.7×4.7、ベンツは1.8×4.9。15%どころじゃなく、いくらも変わらない。でも大きさは全然違いますね。
土地は面積をみていかないと値のつけようがない。AかBか、2.5メートルあればどちらでもいいですね。相続の問題をやるときに、そこをわかっていないとこれだけで争いになるわけです。2.5メートルなければ車が置けない、市川なら欠陥の土地です。ところが、これが青山ならどうかというと、車社会ではないから2メートルでもいい。土地の価値は高い。
(中略)
地主の遺産分割の典型は、本家以外の相続人の遺産は自宅用地のみ、あと現金で200万円ぐらい。納税資金を預貯金で用意していないのが大半です。売却を前提としている。圧倒的に長子相続です。遺産分割なんか考えていないんです。全部長男ですから、遺産分割という言葉はない。アパート、マンションの建築資金の借金がある。当然遺言書なんか書いていない。この10年間で150件ぐらいの相続をお手伝いしましたが、アパート地主さんで遺言書を書いている人はいませんでした。もうちょっとすごいのは、相続税の納税額を正確に把握していません。10億ある市川のアパート農家だと、納税が2億と考えています。銀行がいろいろ持ってきますから、2億3000万とか書いてあるんです。「2億ぐらいにしたいですね」といわれて「お任せいただければ頑張ってやりましょう」とシビアに土地評価をして1億7000万ぐらいまで減らすと、銀行がもってきたのより5000万も安いんですけど、全然喜ばないんですね。逆もありまして、2億だと銀行に言われていたものが、こっちがやってみると2億2000万になった。2000万増えてしまっても、驚かない。納税額に対してはアバウトです。20億ぐらいだと、簡単に納税が5億を超えます。そうすると1億ぐらいぶれても動じない。7億でも8億でも9億でもどっちでもいいのかと。これが地主さんの納税感覚です。ギャップが大きいんです。
(中略)
地主さんは保険はまったく無関係で入っていません。なぜかというと、保険料がもったいない。保険金1億といってもしれています。土地に1億、2億、畑に転がっているわけです。とはいっても、保険をやっている人はこれからビジネスチャンスです。地主さんも二次相続で争いの時代に入るから、お金を保険でうまく活用することが必要。
最近、24条で保険業界は大騒ぎをしていました。保険も儲かりますね。この間、ジブラルタ生命で100人ぐらいの職員に講演をしてきました。ジブラルタ生命は三菱東京UFJ銀行の窓口販売で、600億売ったそうです。それで下期のノルマが上がってしまって、私のところに、地主攻略の知恵を教えてほしいとやってきました。
(中略)
相続をやると、土地の売却の話が出てきます。自ら宅建業である必要はなく、パートナーの中でやればいい。保険もあります。土地の仲介手数料は3%、地主さんの場合は両手ビジネスが多い。不動産業は売主と買主の両方に業者がつくのですが、1人で二つの業者をやると、3%売主からもらって、買主を自分で探せば3%買主からもらいますから、1億で600万もらえます。ちょっと大きな地主さんですと、2億、3億の土地売却に我々FPが絡んできます。宅建業ならまるまる6%ですが、宅建業でなくても、それなりにもらえます。相続というのは金額が大きく動いて、一つのお客さんからビジネスフィーが高い。そんなに多くのお客さんを追いかけなくても充分やれます。
というところで、時間になりましたね。