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(先月に引き続き、リアル会場開催を実施)
政府が策定した総合的な資産所得倍増計画とそれに伴うNISAその他の諸施策について説明。
昨年末に策定したプランでは、NISA/少額投資非課税制度の抜本的な拡充や、iDeCo/個人型確定拠出年金制度の改革といった制度面の支援に加え、消費者に対して中立的で信頼できる助言者制度の創設など、中間層を含む幅広い層の資産形成支援を計画している。
日本では、家計が保有する個人金融資産が約2,000兆円あるが、半分強の1,100兆円は現金預貯金であり、投資信託・株式等で運用されている資産は12.2%の245兆円に過ぎない。それと比較して、米国では61.5%の8,215兆円、英国では23.1%の271兆円が投資信託・株式等の投資に向かっている。
その結果、過去20年間の家計資産は、米国で3.4倍・英国で2.3倍に対し、日本では1.4倍にしかなっていない。欧米では、投資資産の運用により個人金融資産の増加が日本に比べ早く大きい伸びを見せている。
日本においても、家計の保有する2,000兆円の金融資産のうち、半分の1,000兆円を投資につなげることで、利回り3%の運用で30兆円、5%の運用で50兆円の資産所得が得られる。これはGDP/550兆円の9%に相当する額である。金融資産を預貯金から投資に回すことで、将来的に個人資産・個人所得の倍増を目指す。日本の家計金融資産の現状としては、高齢者の保有比率が6割超、高齢者世帯の現預金額が626兆円を占めており、保有目的は①老後資金68.5%②病気・災害の備え50.9%③教育費20.9%。
その施策として2024年1月から始まる新NISAでは非課税の保有期限を無くし制度を恒久化した。つみたて投資枠と成長投資枠はそれぞれ120万円、240万円に増額され併用が可能になり、非課税保有限度額も合計1800万円に拡大された。これにより、貯蓄から投資を進め、家計の保有する金融資産の1,000兆円を投資につなげるねらいがある。NISA以外では、加入年齢の引き上げなどiDeCo制度の改革、中立的な金融アドバイザーの仕組みの創設、安定的な資産形成の重要性を浸透させていくための金融経済教育の充実及び実施などがある。 |