SGネクスト:活動報告
日時 2024年11月09日(土) 15時30分~17時30分(所要時間:02時間00分)
開催場所 四谷地域センター 11F 集会室2
テーマ 2024年財政検証と年金法改正の動向
講師 佐藤 麻衣子(さとうまいこ)氏 /CFP
 SGネクストメンバー
 ㈱ウェルスプラン代表取締役、社会保険労務士
課目名と
申請予定単位数
課目名
・ライフ・リタイアメントプランニング
単位数:2単位
参加人数 合計22名
コメント  財政検証の内容を整理し、今後の年金法改正の動向について解説。
 財政検証とは、公的年金財政の定期健康診断に当たるもので、少なくとも5年毎に、最新の人口や経済の状況を反映した長期にわたる財政収支の見通しを作成し、年金財政の健全性を検証すること。財政検証の結果を受け、社会保障審議会年金部会において必要な議論がされ、法案が国会に提出され成立することで年金法改正が進んで行く。
2004年/平成16年の年金制度改正において財政フレームの見直しが行われた。
・保険料引き上げ
・国庫負担の1/2への引き上げ
・積立金の活用
・給付水準の自動調整(マクロ経済スライド)の導入
マクロ経済スライドとは、社会全体の公的年金を支える力(現役世代の人数)の変化と平均余命の伸びに伴う給付費の増加というマクロで見た給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組み。給付水準は、所得代替率(=年金額/賃金額)で測られる。
2016年/平成28年の年金制度改正の概要は、
・被用者保険の適用拡大(100人以下任意適用)
・国民年金第1号の産前産後の保険料免除
・年金額改定ルールの変更
2020年/令和2年の年金制度改正の概要は、
・被用者保険の更なる適用拡大(100人超→50人超)
・在職定時改定の導入+特別支給の在職緩和
・繰上げ率の変更+繰下げ可能年齢の拡大(受給開始時期の選択肢の拡大)
・確定拠出年金/DC加入要件の見直し等
 2024年/令和6年の財政検証については、前提条件として社会経済状況の変化をみると、被保険者数・収支・積立金残高・労働力の年金財政への影響はプラス。財政検証結果として、所得代替率は61.2%、5年後の2029年度の所得代替率の見通しは約60%。女性や高齢者の労働参加が進んだことを背景に年金財政の改善が確認された。モデル年金に加え平均年金額が示され年金額がイメージしやすくなった。更なる適用拡大、基礎年金の拠出期間延長、マクロ経済スライドの調整期間の一致、在職老齢年金、標準報酬月額の上限についてオプション試算が行われた。
 これら財政検証結果を踏まえて、今後の年金制度改正の議論が進められる。適用拡大改正の方向性としては、企業規模要件の撤廃と非適用業種への適用拡大、年収の壁や第3号被保険者制度見直し、在職老齢年金制度の廃止・縮小、遺族年金の性差・有期給付化の見直し、加給年金の廃止、マクロ経済スライド調整期間の一致、標準報酬月額の見直しなど。年金財政の維持・改善だけでなく、時代の変化に合わせて就労を阻害しないように制度改正がなされていく見込み。 

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