SGネクスト:活動報告 |
日時 |
2024年05月11日(土) 15時30分~17時30分(所要時間:02時間00分) |
開催場所 |
四谷地域センター 11F 集会室2 |
テーマ |
FPが知って役立つ相続法改正内容のポイントと実務での留意点 |
講師 |
浅川 一也(あさかわかずや)氏 /CFP
SGネクストメンバー |
課目名と 申請予定単位数 |
課目名
・相続・事業承継設計 単位数:2単位 |
参加人数 |
合計12名 |
コメント |
相続法改正内容について、FPが把握しておく必要性が高い事柄を解説。
相続法の改正が2019年より40年振りに実施されている。人生100年時代と言われ、高齢社会への社会環境の変化も進展していて、相続に関する相談件数も最近増加傾向にあるとのこと。
改正内容のポイントは以下の通り。
①夫婦間の居住用不動産の贈与持戻し免除として、20年以上の長期婚姻期間の夫婦間での居住用不動産の遺贈・贈与に対して、遺産分割の際にその贈与分が優遇される。
②遺産分割前の預貯金払戻し制度として、家庭裁判所の判断を経ずに預貯金債権の一定割合を金融機関で払戻し可能。
③自筆証書遺言の方式緩和として、財産目録は手書きの必要性無し。自筆証書遺言の保管制度も新設され、家庭裁判所での検認が不要。
④配偶者住居権の新設により、生存配偶者は無償で居住環境を確保しながら生活資金等の財産も確保できる。6ヶ月間の配偶者短期居住権も新設。
⑤遺留分制度の見直しとして、遺留分請求権の金銭債権化することで、侵害額に相当する金銭の請求ができ、共有関係も回避できる。
⑥特別な寄与制度の新設により、相続人以外の者の貢献を考慮した金銭請求が可能となり、相続における実質的平等を図る。
上記改正内容を踏まえて、相続手続きの実務での留意点は以下の通り。
①遺言の作成においては、コスト等の比較検討を行う。自作の場合は、無効リスクが高く検認が必要。自筆証書遺言保管制度を利用した場合は、無効リスクは低く費用は安く検認不要。公証役場に依頼する場合は、承認が必要で費用は5万円程度で検認不要。弁護士に依頼する場合は、遺言書作成10万円程度で公正証書費用に5万円追加で遺言執行を依頼すると更に33万円以上追加。銀行に依頼する場合は、全てセットで100万円超。
②死亡前の贈与については、年110万円以内は非課税だが3年(7年)以内は相続税の対象、原則特別受益となり遺留分算定財産の価額に反映される。死亡前の預貯金は遺産分割対象財産になるので、引出しには要注意。
③死亡後の手続きとして、相続放棄の判断は3ヶ月以内で弁護士費用に10万円程度かかる。準確定申告が4ヶ月以内、相続税の申告が10ヶ月以内。遺言の執行については、自筆の場合は家裁に申し立て、公正証書の場合は遺言執行者。遺留分侵害額請求権として法定相続分の1/2の権利がある。包括受遺者を含め相続人全員参加で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成。生命保険は相続税上みなし相続財産で500万円×法定相続人が非課税。香典は喪主、弔慰金は遺族への贈与、但し弔慰金はみなし相続財産になる場合あり。葬儀費用は債務控除の対象。
④相続人の所在不明時には、失踪宣告(生死が7年以上不明)か不在者財産管理人の選任を家裁に申し立てる(予納金:20~100万円程度)。 |