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2021年8月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 藤浪 尚代

在宅時間増加による家計収支の影響

 2020年年初から新型コロナウイルス感染症の影響で、人と人との接触を防ぐために、ステイホームを心掛けた方が多いのではないでしょうか。また、緊急事態宣言中は、在宅勤務が奨励されており、自宅で仕事を行う方も増え、それらの要因などから、2020年から2021年にかけて国民の在宅時間は増加しました。そこで、総務省の家計調査のデータをもとに、第1回の緊急事態宣言発令(2020年4月7日)前の2019年4月~2020年3月の1年間と緊急事態宣言発令後の2020年4月~2021年3月の1年間の収支状況を比較し、在宅時間増加による家計収支の影響について見ていきます。

収入の変化

 二人以上の勤労者世帯の実収入から税金や社会保険料など差し引いた手取り収入(可処分所得)は増加となりました。世帯主の「定期収入」および「臨時収入・賞与」は減少しましたが、「特別定額給付金」を含む他の特別収入の増加が大きく、配偶者の収入も若干増加しました。

第1回緊急事態宣言発令前後の収入の差(円)および対前年実質増減率(%)

  宣言発令前1年間 宣言発令後1年間 対前年実質増減率 増減
実収入 589,026 607,586 +3.1 増加
世帯主の勤め先収入 439,573 429,067 -1.8 減少
定期収入 355,739 349,658 -1.4
臨時収入・賞与 83,834 79,409 -2.3
配偶者の収入 84,960 89,491 +6.2 増加
他の特別収入 6,481 28,441 +479.2
可処分所得 479,254 496,872 +3.7

※実収入の内訳は一部抜粋
資料:総務省「家計調査」(2019年4月~2021年3月まで)より作成

支出の変化

 二人以上の勤労者世帯の消費支出は減少となりました。

第1回緊急事態宣言発令前後の支出の差(円)および対前年実質増減率(%)

  宣言発令前1年間 宣言発令後1年間 対前年実質増減率 増減
消費支出 320,573 304,508 -4.6 減少
食料 77,950 79,351 +0.7 増加
光熱・水道 21,478 21,669 +5.0
家具・家事用品 12,041 13,596 +11.4
保健医療 12,752 12,984 +2.0
教育 17,461 17,580 +10.3
住居 19,510 18,947 -3.5 減少
被服及び履物 12,443 10,261 -18.0
交通・通信 54,219 48,766 -9.1
教養娯楽 31,269 26,444 -13.8
その他の消費支出 61,449 54,911 -10.2

資料:家計調査(2019年4月~2021年3月まで)より作成

【増減した費目の主な内訳】( )内は対前年増減率

①「食料」

増加→食材・調味料等37,715円(10.1%増)、果物2,404円(2.9%増)、テイクアウト弁当等11,289円(4.4%増)、菓子類6,974円(3.2%増)、飲料5,226円(4.6%増)、酒類3,946円(23.1%増)。

減少→外食11,796円(26.4%減)。

②「光熱・水道」

増加→電気代10,546円(5.1%増)、ガス代4,738円(3.3%増)、上下水道料5,544円(6.4%増)。

③「家具・家事用品」

増加→電子レンジ等の家事用耐久財2,517円(27.3%増)、エアコン等の冷暖房用器具1,525円(30%増)、電球・タオル等の家事雑貨2,739円(8%増)、トイレットペーパー等の家事用消耗品3,773円(9.8%増)。

④「保健医療」

増加→感冒薬や消毒液等の医薬品2,250円(1.9%増)、マスクや体温計等の保健医療用品・器具3,397円(27.3%増)。

減少→医歯科診療等の保健医療サービス6,488円(6.9%減)。

⑤「教育」

増加→授業料等12,792円(17.7%増)、教科書・学習参考教材362円(33.5%増)、学習塾等の補習教育4,427円(1%増)。

⑥「住居」

増加→家賃地代11,791円(3.9%増)。

減少→住宅,庭等の設備修繕・維持7,156円(10.8%減)。

⑦「被服及び履物」

減少→洋服4,196円(21.5%減)、シャツ・セーター類1,960円(17.6%減)、下着類990円(5.5%減)、履物類1,452円(17.2%減)。

⑧「交通・通信」

減少→通勤・通学等の交通費3,856円(43.4%減)、ガソリン等の自動車等維持18,666円(3.1%減)、通信15,997円(0.6%減)。

⑨「教養娯楽」

増加→テレビ等の教養娯楽用耐久財2,990円(19.6%増)、ゲームソフト等の教養娯楽用品7,666円(1.8%増)。

減少→宿泊費・パック旅行費等の教養娯楽サービス12,822円(25.8%減)。

⑩「その他の消費支出」

減少→美容院等の理美容サービス2,857円(11.4%減)、シャンプーや化粧品等の理美容用品5,222円(1.7%減)、こづかい9,459円(17.5%減)、交際費13,016円(21.8%減)。

まとめ

 第1回緊急事態宣言発令後の1年間は、在宅時間を充実させる巣ごもり消費が増える一方、外食や旅行、レジャー、洋服、靴といった外出型の消費は大幅に減り、結果的に消費支出は減少しました。
 しかしながら、2021年夏の賞与は減少傾向にあり、2020年同様の特別定額給付金が支給される可能性も低いことから、ある程度の支出を抑える工夫が必要だと思われます。今は家計簿アプリが充実していますので、ご自身に合うものを見つけ、支出を管理し、無駄な支出を見直すことも考えましょう。

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