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2021年7月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 上野 誠

進学に向けて「奨学金を利用しよう」と思ったら知っておきたいこと

 大学等への進学の際、奨学金を利用しようと考えている方もいらっしゃると思います。今回は、奨学金の中でも利用者の多い日本学生支援機構の奨学金について解説します。

申込前に注意しておきたいこと

 進学にあたり日本学生支援機構の奨学金を利用する場合、高校3年生となった春頃から申し込みが始まり、秋から冬にかけて採用決定となります。この流れを「予約採用」といいます。
 また、「予約採用」となっても、奨学金は進学先に入学した後、振り込みが始まります。入学前に納める費用については、奨学金を充当できないため、各家庭で準備する必要があります。

奨学金の概要を確認する

 日本学生支援機構の奨学金には2つのタイプの奨学金があります。奨学金を返還する必要のない「給付型」と卒業後に返還していく「貸与型」です。
 更に、「貸与型」には、無利息の「第1種奨学金」と利息付の「第2種奨学金」の2つがあります。また、2つのタイプには世帯収入と学生本人の学力に関する基準があります。
 「給付型」の対象となるのは、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯です。例えば、両親、学生本人、中学生の兄弟の4人家族で、両親のいずれかに給与収入がある場合、世帯年収約380万円未満が基準の目安となります。また、学生本人の学力について、高校時の成績が評定平均3.5以上もしくは学修意欲も評価基準となります。

「貸与型」の注意点

 「貸与型」の申込時には、本人が奨学金を返還できない場合に備え、代わって返還してもらう「保証」が必要になります。保証は「人的保証」か「機関保証」のどちらかを選択します。
 「人的保証」は、連帯保証人に父または母を、保証人に叔父または叔母等の親族をそれぞれ立てます。
 「機関保証」は、一定の保証料を支払うことで保証機関が連帯保証を引き受けます。なお、保証機関が本人の代わりに返還した場合、その後、保証機関に対して本人が返還していく必要があります。
 奨学金の返還方式には、本人の前年年収に応じて翌年の返還金額が決まる「所得連動返還方式」と返還する期間と毎月返還額が自動的に決まる「定額返還方式」があります。

卒業後のことを見据えた返還を考える

 「貸与型」奨学金は本人が返還します。返還は、大学等卒業後の社会人1年目の10月から始まりますが、奨学金を借り過ぎてしまうと返還の負担が大きくなります。厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況※」によれば、大学卒の初任給の平均は約21万円となっています。ここから社会保険料等が引かれますので、いわゆる「手取り額」は更に少なくなり、その中から返還をしていくことになるため、奨学金利用の際には、将来どのくらいの返還額であれば毎月無理なく返還できるか考えておくことも大切です。
 また、勤務先の業績悪化や本人の体調不良等で、返還が厳しくなることもありえます。返還延滞状態になると、クレジットカードの利用や住宅ローンを組む際に影響がでることもあります。返還が難しくなった場合は、「減額返還」や「返還期限猶予」といった制度もありますので、日本学生支援機構に早めに相談することをお勧めします。

まとめ

 今回は、日本学生支援機構の奨学金について解説しましたが、日本学生支援機構の奨学金以外にも進学先が行う独自の奨学金制度等もあります。
 奨学金の利用を検討する際は、お近くのファイナンシャル・プランナーにご相談してみてはいかがでしょうか。

(※出典:厚生労働省令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況

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