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2021年5月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 大湯 琴音

ローンが残っている自宅を売却できる?売却額より残債が多い場合は?

 多くの方にとって住宅は一生に一度の高額な買い物です。住宅ローンを利用すると、もし、万が一、ライフプランや環境などの変化があった場合でも数十年間は支払いが続きます。
 昨今、新型コロナウイルス感染症の影響により厳しさを増す経済環境のなかで「収入が減ってしまった」、「会社が倒産してしまった」、「リストラされてしまった」などの声もあります。そのような場合に、住宅ローンの支払いが続けられず、やむを得ず自宅不動産を売却できないかと考えることがあるかもしれません。
 今回は、ローンの残債がある状態で自宅は売却できるのか、また、税制面での救済措置について解説していきます。

住宅ローンが残っていても売却できるか

 住宅ローンが残っていても条件付きで売却することができます。住宅ローンの残っている不動産は基本的に金融機関の「抵当権」が付いています。「抵当権」は金融機関が土地や建物などの不動産を担保にする権利で、これが付いていると住宅ローンの返済が滞った場合に金融機関に不動産が差し押さえられる可能性があります。
 そのため、売却にはローンを完済し「抵当権」を抹消することが売却の条件になります。今後の住宅ローンの返済に不安を感じる場合、借りている金融機関に早期に相談することをお勧めします。

税制上の特例

 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じた場合、救済措置として適用可能な税制がいくつかありますが、その一つに「特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」があります。
 この特例は、令和3年12月31日までに住宅ローンが残っているマイホームを売却し譲渡損失が生じたとき、譲渡損失を翌年以降3年間繰り越して給与所得や事業所得など他の所得から控除(損益通算)できる特例です。なお、旧自宅を売却後に、新自宅を購入しない場合と購入する場合の両方が適用対象となります。利用するためには条件がありますので、税務署に個別にお問い合わせいただいたうえで、ご検討ください。

住宅を新しく買い替える場合

 住宅を新しく買い替える場合で旧住宅を売却した代金を返済にあてても足りないときに、新自宅の住宅ローンに旧自宅の残債を上乗せ可能な「住み替えローン」を利用できる場合があります。この制度を利用することで、旧自宅の住宅ローン残債を考慮し、担保物件の1.5倍、2倍などの金額を借りることが可能です。
 例えば、旧自宅のローン残債2,000万円で売却価格1,000万円、新自宅を2,000万円で購入したい場合は3,000万円を借り入れできるため買い替えが可能となります。
 但し、住み替えローンは、通常の住宅ローンよりも高額な住宅ローンを組む必要があるため、年収や職業などの審査が一般的に厳しくなります。利用する場合は各金融機関にご確認ください。

ご相談はお早めに

 自宅を売却してもローンが残る場合、どの税制特例が適用可能かなど、専門家への問い合わせや金融機関へのご相談は早めに行うことで不安の解消につながります。今後はより慎重なライフプランを考えることが必要になるでしょう。
 また、税制の特例適用には確定申告が必要です。その手続き相談やキャッシュ・フロー表の作成などについて、税理士の資格を持つお近くのCFP®認定者にご相談を検討してみてはいかがでしょうか。

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