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2021年2月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 武田 務

老後の住まいを考えるポイント

 リタイア後は、収入や生活スタイルが大きく変わります。楽しみたいことはもちろん、医療や介護、相続・贈与について、また、どこでどのようなセカンドライフを送りたいかなど、個々の考えや家族の状況によって住まいの選択肢も多岐に渡るものです。今回は、持ち家にお住いの方向けに老後の住まいの選択肢や制度についてポイントを解説します。

どこで、どのようなセカンドライフを送るのか

  • 持ち家にそのまま住み続ける

     今の住まいに住み続ける場合は、将来のリフォームに備えておきましょう。外壁や水回りなどの定期的なメンテナンスだけでなく、バリアフリーリフォームが必要になることも考えられます。バリアフリーリフォームを行う場合は、介護保険や自治体から助成金が受けられるケースもありますので、各自治体やリフォーム会社へ事前に確認しておくと良いでしょう。

  • 持ち家を建て替える

     二世帯住宅や、賃貸併用住宅への建て替えも選択肢のひとつです。
     二世帯住宅の場合は、一世帯あたりの住宅費・光熱費の負担軽減や、子ども夫婦が家事や子育てのサポートを受けられるメリットがある反面、建築費やメンテナンス費が高くなるといったデメリットもあります。
     賃貸併用住宅の場合は、家賃収入が得られる、実質のローン負担額を抑えられるといったメリットがあります。一方、プライバシーの確保が難しい、入居者とのトラブルや空室のリスクなど、デメリットもあるので、事前にしっかりとトラブル対策を立てることが重要です。

  • 住み替える

     2人暮らしに向いたコンパクトマンションに住み替えるという選択肢もあります。駅やバス停といった公共交通機関へのアクセスだけでなく、スーパーや医療施設などの周辺環境やセキュリティ面も考慮しておきたいところです。
     また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、地方へ移住してスローライフを送りたい方が増えているようです。とはいえ、「どんな生活になるのかイメージできない」という理由でためらう人も少なくないでしょう。こうした方を後押しするため、総務省は2021年度から新たな移住体験として、2週間~3カ月間で国から生活費などの支援を受け、地域の活動に参加し地元の人たちと交流できる事業を始める予定です。また、自治体によっては、移住体験や移住者への支援金を出すといった取り組みも増えています。
     いずれにしても、住み替えを検討する際は持ち家の売却価格や、賃貸する場合の相場価格を事前に確認しておくと良いでしょう。


介護施設の情報も集めておく

 高齢者の増加に伴って、高齢者向け施設の多様化が進み、ニーズに合わせて選べるようになってきました。元気なうちから入居できる施設には、サービス付き高齢者向け住宅やケアハウスなどがあり、介護が必要な方には、特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、介護老人保健施設などがあります。
 なお、様々な選択肢がある反面、施設の違いが分かりにくいことや、事前の説明不足による入居後のトラブルも発生しています。入所要件や費用もそれぞれ異なるので、事前にそれぞれの特徴、受けられるサービス、必要経費の情報を収集しておきましょう。

自宅を活用した資金調達

 定年退職後の年金や老後資金に不安を覚える方も多い中、住み慣れた自宅に住み続けながら、不動産を活用して老後資金を準備する方法に「リバースモーゲージ」や「リースバック」といった制度が注目されています。

  • リバースモーゲージ

     自宅に住み続けながら、自宅を担保に融資を受け、亡くなった後に自宅を処分した費用で借入金を返済する制度です。各金融機関、住宅金融支援機構、社会福祉協議会で取り扱っていますが、それぞれ借入条件や返済条件、資金の使用用途の制限が異なるため、利用される際は事前に比較検討を行うようにしましょう。

  • リースバック

     自宅を売却し、買主であるオーナーにリース料(家賃)を払ってそのまま住み続けるという方法です。まとまった資金が必要になった場合に有効な手段ではありますが、一般的な売却額の相場よりも低くなる可能性があるため、注意も必要です。


理想のセカンドライフのために

 老後の住まいは様々な選択肢がありますが、元気なうちから情報を集め、家族とも話し合って方向性を決めておくこと、老後の資産状況や収支がどのように変化するのか確認しておくことが大切です。
 理想とする老後の住まいを実現するために公的年金や退職金がどれくらいになるか確認しましょう。足りない場合は、「iDeCo」や「つみたてNISA」といった税制面で優遇を受けられる制度を活用し、早めに取り組むことが得策です。
 セカンドライフという名前のとおり「第二の人生」を過ごす住まいであるため、心残りのない選択ができるよう、ライフイベント表の作成など準備を進めましょう。

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