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2020年12月号(2)
ライフプラン
CFP®認定者 柏木 真一

2020年 年金制度改正 わたしたちへの影響は?

 ニュースで目にした方も多いと思いますが、2020年の年金制度改正ではパートタイム勤務に対する厚生年金保険等の適用拡大や、仕事をしながら年金を受給する場合の仕組みの見直しなどが決定しました。2022年より順次施行予定ですが、みなさんの生活に直結することもありますので、今回は主な改正内容をそれぞれ確認していきましょう。

短時間労働者の厚生年金加入対象が広がります

 パートタイムなどの短時間労働者について、現状では従業員数500人超の比較的大きな企業では給与が月8.8万円以上、労働時間は週20時間以上、そして勤務期間が1年以上見込まれる場合、学生を除いて厚生年金への加入義務があります。
 2022年10月より従業員数100人超の企業、2024年10月からは従業員数50人超の企業も厚生年金や健康保険の加入対象となり、短時間労働者の勤務期間についても1年以上から2カ月超の見込みに変更となります。
 給与が月額8.8万円を超えると厚生年金保険料等が控除され手取額が少なくなりますが、将来的に受け取る年金額が増え、休業時の補償等が受けられるようになります。手取り額を確保するために勤務時間をセーブして厚生年金に加入しない方法もありますが、老後まで見据えてより多く働くことも検討しましょう。

60歳以降働く人の年金額が有利に(2022年4月1日施行)

 定年退職後に嘱託などの形で働き続ける方も多いですが、60~64歳に働きながら年金を受給する場合、現状では月収と年金の合計額が28万円を超えると年金額が減額されます。この減額となる基準額が28万円から47万円に引き上げられ、働いても不利になりにくい仕組みに変更されます。
 また、65歳以上で働きながら年金を受給する場合、現状では退職時または70歳になった時に年金額の見直しが行われていましたが、毎年見直し、働き方に応じて年金額が調整されるようになります。

公的年金受け取り開始年齢が75歳まで引き上げ(2022年4月1日施行)

 現在、年金受給開始年齢は60~70歳の間で指定できますが、これが60~75歳までに拡大し、受給開始時期による減額、増額が次のとおり変更されます。

  65歳より早く受給開始
(繰上げ受給)
65歳より後に受給開始
(繰下げ受給)
現在 <年金額>
1カ月あたり0.5%減額、最大 ▲30%
<年金額>
1カ月あたり0.7%増額、最大 +42%
変更後 <年金額>
1カ月あたり0.4%減額、最大 ▲24%
<年金額>
1カ月あたり0.7%増額、最大 +84%
<上限年齢>
70歳から75歳に変更

 ただし、年金額が増額されることで税金が増えたり、加給年金が受け取れない場合があります。

企業型確定拠出年金(DC)・個人型確定拠出年金(iDeCo)も見直しに

1.加入可能年齢の引き上げ(2022年5月1日施行)

 企業型確定拠出年金(DC)の加入可能年齢は65歳未満、 個人型確定拠出年金(iDeCo)は60歳未満ですが、企業型DCは70歳未満、iDeCoは65歳未満とどちらも5歳引き上げられ、運用できる期間が延びることになります。

2.受給開始時期の選択肢拡大(2022年4月1日施行)

 加入可能な年齢の引き上げと併せて、受け取りの開始時期も変更されることとなり、企業型DCは現状60~70歳が60~75歳、iDeCoは60~65歳が60~70歳と、選択肢が広がります。また、企業の確定給付型年金(DB)も、労使合意のうえ規約変更することで60~65歳となっている受け取り開始時期を60~70歳とすることができるようになります。

3.企業型DCとiDeCo両方へ加入する要件の緩和(2022年10月頃施行予定)

 企業型DCに加入している企業の従業員がiDeCoにも加入するには制限がありますが、2022年10月以降は制限が緩和され、一定の条件の下、月2万円以内であればiDeCo に加入できるようになる予定です。

まとめ

 今回の年金制度見直しは年金制度を支えている現役世代、既に年金を受給している方にとってお得だと考えられる項目も多くあります。
 パート勤務や60歳以降の勤務など、これからの働き方を見直すきっかけにもなります。今後の生活や老後に備え、どのように働くのが良いのか改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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