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2020年9月号(1)
税制・相続・贈与
CFP®認定者 柏木 真一

シリーズ:リタイアメントプランニング 「終活の考え方」

 終活とは、「人生の終わりのための活動」と言われており、亡くなった時のことを中心に考えがちですが、もう少し視野を拡げ「老後のこれからの人生を見つめ直す活動」と言い替えることもできます。
 リタイア後の人生を自分らしく充実した日々にするためには、いつ頃からどのようなことを準備すれば良いのか。今回はそれぞれのポイントをご紹介します。

見つめ直すタイミングは50代を目安に

 まず、終活を検討するタイミングは定年が見えてくる50代を目安として考えましょう。
 退職か雇用継続か、いずれにせよ定年は収入が大きく変化するタイミングであると同時に、子どもの独立によって夫婦2人暮らしに変わったり、親の介護や看取りが現実的になってきたりと、生活スタイルのターニングポイントでもあるため、それらが見えてくる50代のうちから見直し始めるのがおすすめです。
 もしご自身や配偶者の親が終活を考えていないようであれば、自分自身の終活内容を伝えることで考えてもらうきっかけにもなるかと思います。

何を見つめ直すか

 具体的に見直すポイントは大きく5つあります。一つずつ確認していきましょう。
(1)自分を見つめ直す
 今まで仕事メインで生きてきた場合、目標がプッツリと途絶えてしまう恐れもあり、これからの生き方、生きる楽しみを考える必要があります。仕事、趣味、ボランティア、それとも他にやりたいことは何か?また、いくつかを並行して行うのも良いでしょう。
(2)物や財産の整理を行う
 それぞれ優先順位をつけて管理しておくことが望ましいです。
 ・財産:預貯金、有価証券、不動産、保険等
 ・貴重品:契約書類、年金手帳、戸籍、パソコン内の書類等
 ・思い出の品:写真、書籍、趣味の品、データ等
(3)住まいの見直し
 子どもの独立後は今の住まいでは広すぎないか、もしそのまま住み続けるとすればリフォームは必要ないか、また、将来は老人ホーム等の介護施設に入居するのか。リフォームや施設への入所について検討する際には、費用等を事前に調べておくことをおすすめします。
(4)医療や介護
 病気になった場合、がん等、病名の告知はしてもらいたいか、また延命治療を行うのか、どの程度までならOKするのかを明確にしておきましょう。
 住まいにも関係しますが、将来身体が弱ってきた時は自宅で介護を受けたいか、老人ホーム等の介護施設へ入居したいか、希望を明確にしておきましょう。ただし、介護する家族の考えも確認が必要です。
 そして、できるだけ長く健康な状態が続くよう、ウォーキングのような運動を日常に取り入れることも重要です。病院にかかる機会が減れば医療費を抑えることになり、将来的には介護施設の世話になる時期も後ろにずれる等、健康は身体だけでなくお財布にもメリットがあります。
(5)ライフイベント表、キャッシュフロー表の作成
 上記の項目を参考に、いつ、何をするのかをまとめたライフイベント表と、そのためのお金の動きを管理するキャッシュフロー表を作成しておきましょう。これらを作ることで金銭面の余裕や不足が明確になり、早めに作成することで不足分の準備も可能となります。

もしもの場合への対応 残された人が困らないように

 万が一の時に備え、相続や葬儀の希望等、以下のポイントを押さえて整理しておくと残された人の負担が軽減できます。
(1)相続方針
 残す財産が確定してきたら、誰にどれだけ相続させるか検討を。方針が固まったら、遺言書の作成に取り掛かりましょう。
(2)もしもの場合の連絡先
 万が一亡くなった場合等に連絡してもらいたい人は誰か、リストを作成しておきましょう。
(3)葬儀方針、希望
 葬儀方法やお墓等の希望があれば明確にしておきましょう。
(4)残された人たちへのメッセージ
 周りの人たちへの感謝、そして何か要望があればメッセージを残しておきましょう。

第2の人生を充実させるために

 冒頭でお伝えしたとおり、終活とは人生のエンディングだけでなく、これからの人生をより充実させるための準備でもあります。エンディングノートや遺言書を作成することで、目標や金銭面の整理をすることもできます。
 リタイア後の目標を明確にし、セカンドライフをどう彩っていきたいか、配偶者や家族ともよく相談し楽しく充実した人生を築きましょう。

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