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2020年8月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 杉山 夏子

フリーランスのライフプランニング~仕事と生活を守るための知識

 ここ数年、働き方が多様化し、フリーランスで活躍される方も増えてきました。自由度が高い反面、収入は毎月一定ではなく、社会保障費の負担や納税など自分で考えて準備しなければならないことも多い働き方です。
 今回は、フリーランスの方の仕事と生活を守るために必要な知識をまとめました。

フリーランスの貯金はどれくらい必要か?

 取引先によっては業務完了から入金があるまでタイムラグが発生します。売上が入金されるまで生活しなければなりませんので、生活費は最低でも3カ月分、収入が著しく低い月や働けなくなった場合に備え、できればさらに2~3カ月分の生活費を目安に貯蓄は確保しておきましょう。さらに税金は給与天引きではありませんので売上金から支払いの準備をしておくのは必須です。

急な病気や怪我に備えること

 会社勤めで健康保険組合等に加入している方は、「傷病手当金」という病気やケガで仕事を休み給料が十分でない場合、休業中の生活を保障する制度があります(休業1日につき標準報酬日額の3分の2を上限に支給される)。しかしながら、フリーランスの方が加入する国民健康保険にはこの制度がありません。
 そのため、自身で万が一に備える必要があります。民間の保険会社で提供されている医療保険や所得保障・就業不能保険への加入や小規模企業共済の加入者が利用できる「傷病災害時貸付け」の活用でカバーすることを検討しましょう。小規模企業共済については後半で説明します。

フリーランスの年金

 フリーランスの方は国民年金第1号被保険者となります。2020年度の国民年金の定額保険料は月額16,540円です。一方で2020年現在、老齢基礎年金の受給額は満額(40年間支払い続けた方)で約78万円。これだけで生活するのは難しいですし退職金も老齢厚生年金もないため、病気やケガへの対策と同様、生活に困らないように自分で備える必要があります。
 将来の年金受取額を増やす手段として、国民年金保険料に月額400円を上乗せする付加年金があります。将来、老齢基礎年金が受給開始になると「200円×付加保険料納付月数」が加算されます。さらに、老後に向けた蓄えとして、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済への加入という方法もあります。

老後資金の備えにiDeCoと小規模企業共済を併用する

 iDeCoは国民年金第1号被保険者の方の場合、掛け金は月額5,000から最大68,000円まで設定でき、年額で最大816,000円を拠出できます。国民年金保険料を支払っていることが加入条件ですが、掛金は全額所得控除の対象となります。ただし金額変更は1年(12月~翌年11月分の掛け金)に1回しかできないため、収入が不安定な場合は拠出する金額をよく検討する必要があります。

 次に、個人事業主などが加入できる小規模企業共済は、廃業や退職時に積み立てた掛金に応じた共済金を退職金代わりに受け取ることができる制度で、加入者は掛金の範囲内で事業資金の借入も可能です。掛金は月額1,000円から70,000円の範囲で、500円単位で自由に設定でき、年払い、半年払いも可能です。また、こちらも掛金は全額所得控除の対象となります。掛金を12カ月以上滞納し機構解約となった場合や、掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約をした場合、解約手当金の受取額は掛金合計額を下回りますので、加入する際はご注意ください。
 小規模企業共済の掛金はいつでも調整できますので、iDeCoと併用する場合はどれくらいの金額を拠出できそうか、並行して検討しましょう。

フリーランスは事業も金銭管理も自分次第

 フリーランスは、ライフスタイルにおいて会社員とは違った面がある一方で、人生の三大支出(住宅・教育・老後)はもちろん、日頃の生活費が必要なことも変わりません。ここまで紹介したように、税金や年金、老後の備えを自分で行うことが多く、収入の上昇や落ち込みが会社員よりも出やすいため、事業だけでなく金銭面の計画を立てる力も必要となります。場合によってはFPや税理士、社会保険労務士などの専門家に相談しながら、働き方を描くことをおすすめします。

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