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2020年6月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 杉山 夏子

人生100年時代のリフォームの考え方

 人生100年時代と言われる中で、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅など、介護サービスは様々です。近年は在宅介護サービスも充実し、住み慣れた我が家で余生を送りたいという方も少なくありません。今回はご自宅に住み続けるために必要なリフォームと、介護保険制度での住宅改修費用の支給について解説します。

ご自宅に住み続けるために必要なリフォーム

 マンション、戸建て、いずれもゆくゆくは修繕しなければ住み続けることはできません。
 マンションの場合は管理組合で修繕計画を立てる場合が多いですが、計画が未整備であったり、修繕積立金の未収やそもそもの見通しが甘かったりすると、追加で費用負担が発生する場合もあります。また、マンションの修繕計画は共有部分のみです。冷暖房、給湯設備、トイレ、浴室、キッチンなどの水回り、段差の解消など自分の専有部分は自身の負担となります。
 さらに一戸建ては、屋根、外壁の修繕も発生します。

 10年から20年に一度発生する費用ではありますが、工事によっては100万円単位で資金が必要になってくるものもありますので、計画を立て必要な資金はきちんと貯めておきましょう。

高齢者のリフォームには介護保険の給付金がある

 住み慣れた我が家に住み続けたい。しかし加齢に伴い、今までの住宅では使いづらい、病気などでリフォームの必要が出てくることもあります。そういった方には介護保険で住宅改修費用の給付制度があります。
 あらかじめ市区町村の窓口へ申請し、工事完了後に領収書などの書類を提出することで対象となる住宅改修費の9割まで戻ってくる制度です。金額は、工事の上限金額(支給限度基準額)は20万円までで、そのうちの9割の18万円までが戻ってきます。
 これは、認定区分に関係なく定額でお一人生涯1回利用可能です。
 ただし、状態が変わって要介護状態が3段階上昇したときや、転居した場合には、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

 対象となる住宅改修の種類は以下の6つです。
① 手すりの取付け
② 段差の解消
③ 滑りの防止及び移動の円滑化などのための床又は通路面の材料の変更
④ 引き戸などのへの扉の取替え
⑤ 洋式便器への便器の取替え等
⑥ 上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

具体的な手順

 まずは、ケアマネージャーに介護保険の住宅改修の支給対象となる改修ができるかを相談します。申請の手順は、工事前に申請書、見積書、住宅改修が必要な理由書、間取り図など改修後の完成予定の状態が分かるものを提出します。
 リフォーム完了後には領収書、工事費内訳書、完成後の状態がわかる写真などの書類、住宅所有者の承諾書を提出します。
 原則として、工事前に必要な書類を提出していなければ支給されません。

 住宅改修が必要な理由書は介護支援専門員、地域包括支援センター担当職員、作業療法士、福祉住環境コーディネーターが作成します。かかりつけ医や介護サービスを利用する中で住宅改修の必要性が出てくる場合が多いので、通常はこの流れで理由書の作成まで進みますが、ご自身やご家族でリフォームが必要なのではないかとお悩みの方は、最寄りの地域包括支援センターに相談することもできます。
 注意点として、施工業者への支払いは改修費が支給される前に発生しますので、そのための資金は準備しておく必要があります。

ライフプランとマネープランは早い段階で話し合いを

 地域包括支援センターは高齢者が住み慣れた地域で過ごすことができるよう必要な援助をしてくれます。相談を通して介護保険制度もうまく活用できるようになり費用の負担も抑えることができます。大事な老後資金を守りながら住み慣れた家で充実した人生を送るためにも、制度や支援を積極的に活用しましょう。

参考資料
厚生労働省 住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策の推進について「居宅介護住宅改修・介護予防住宅改修に係る介護保険の給付」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf

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