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2020年5月号(1)
保険
CFP®認定者 前田 菜緒

自動車保険のオプション補償、どう考えればいい?

 自動車を保有している人は自動車保険に加入しますが、様々なオプション補償(特約)がある中で、どの補償を付けるべきか迷ったことはないでしょうか。今回は自動車保険の考え方についてお伝えします。

自動車保険は2種類ある

 自動車保険には、強制保険(自賠責保険)と任意保険の2種類があります。
 自賠責保険は、相手に対する最低限の補償をするもので、補償の範囲は「人」です。物や自分自身に対する補償はありません。保障の内容も保険料も保険会社や代理店によって変わることはありません。
 一方、任意の自動車保険は相手に対する補償はもちろん、自分や自分の車、他人の物なども補償の範囲に含まれます。保険料も保険会社や補償内容によって異なります。

任意保険の補償内容とは

 相手と相手の物に対して補償する対人・対物賠償保険と、運転者や同乗者に対して補償する人身傷害保険については、重要度の高さと保険会社が加入必須としているケースが多いため、自家用車では約8割の加入率です。
 しかし、それ以外の補償については、付けるべきかどうか悩むこともあるでしょう。判断するためには、補償の内容を理解することです。例えば、以下の特約は、多くの保険会社でオプションの補償として販売されています。

■車両保険
 車両保険は自分の車が損害を受けた際に、保険金が支払われる補償です。損害は、必ずしも走行中に起きるとは限りません。ここ数年は自然災害が甚大化し、台風やゲリラ豪雨等で車が水没している映像を目にしたことがあるのではないでしょうか。車両保険では、台風・火災・盗難・落書きなども補償の対象となります。
 車両保険は、オールリスクタイプ(一般型)と補償内容を限定した危険限定タイプ(エコノミータイプ)の2つのタイプで販売されていることが多く、台風による損害は限定タイプでも補償されます。ただし、地震による災害は補償されません。

■地震・津波・噴火車両全損時一時金特約
 地震、津波、噴火による車の補償には、これらの災害専用の特約を付ける必要があります。そして、多くの場合、オールリスクタイプの車両保険を契約している必要があります。保険金は50万円を上限としている会社が多く、全損時に支払われます(車両保険金額が50万円未満の場合は、保険金額はその金額になります)。自動車によっては買い替えるには十分な金額ではありませんから、加入の際には、保険金が支払われる条件などよく確認しておきましょう。

■個人賠償責任特約(日常生活賠償責任特約)
 日常生活で他人や他人の物に損害を与えてしまい、法律上の賠償責任を負った場合に保険金が支払われる特約です。例えば、自転車に乗っていて他人にぶつかってしまい、けがをさせてしまったり、お店の物を誤って壊してしまったりした場合など、日常生活における不測の事態に備えられます。
 ここ数年、自転車事故の高額賠償事例を受けて自転車保険の加入を義務付ける自治体は多くなっています。義務化される保険は、他人の生命や身体に対する損害を賠償する保険ですから、個人賠償責任特約の加入で義務化に対応できます。補償内容にもよりますが、保険料は月100円程度から設定している保険会社が多く、この特約一つで同居の家族など全員補償されます。
「自転車保険」の基礎のキソ(2017年9月号(1))

■弁護士費用特約
 自分に責任がないもらい事故の場合、保険会社は示談交渉ができません。これは、弁護士法に抵触するためです。よって、自分自身で示談交渉をしなければなりませんが、専門知識なく示談交渉を行うことは大変で、時間も労力もかかります。弁護士費用特約は、示談交渉を弁護士に依頼した際の費用を補償する特約です。

自分に必要な補償を

 オプション補償は保険会社によって様々です。必要な補償はライフスタイル、家族構成、車の使用頻度、住んでいる地域などによって異なります。例えば、運転頻度が高いなら、安全運転を心がけているとしても弁護士費用特約は付けておくと安心です。また、自動車が比較的新しい場合は保険会社によっては新車割引が適用されますので、車両保険を付けても保険料を抑えられます。
 自分に必要な補償をよく検討して、選択するようにしましょう。

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