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2020年4月号(2)
資産運用
CFP®認定者 嶋田 哲裕

気になる「海外投資」、注意するポイントは?

 「人口が減っていく日本より人口が増えていく新興国の方が成長性ありそうだし、投資するなら日本より新興国がよさそう」という考えで海外投資に関心を持つ人がいらっしゃいます。
 その一方で、「新興国は政治が不安定な国もあるし、円安や円高により為替レートのリスクもあるし、確かに債券の金利も高いけれど、ちょっと不安」という声も聞こえます。
 どちらの意見も正しいと思います。では、海外投資を考えるうえで、どのような点に気をつければ良いのでしょうか?今回は、海外投資の種類やリスク、税金面からお伝えいたします。

大きく2つのパターンがある

 海外投資を行う方法として、大きく2つのパターンがあげられます。
 (1)国内金融機関が取り扱う株式や投資信託、債券などの金融商品を利用するパターン。
 (2)日本国内で販売されていない金融商品を、海外で外国の金融機関で購入する。あるいは、海外の不動産を現地の不動産業者から直接、購入するパターン。

 (1)のパターンは、すべての手続きや説明などが日本語で受けられる事と、日本国内の法律の下で保護されているため、海外投資を始めやすいと思います。ただし、金融庁などが許可した商品しか国内では販売されていないので、海外にはもっといいものがあるのでは?という気持ちは残るかもしれません。

 一方(2)のパターンでは、次のようにいくつかの特有のリスクがあります。
 ①外国語によるリスク 
 ②業者のリスク
 ③商習慣、制度の違いによるリスク

 まず①ですが、口座開設などの契約が、一部で日本語サポートを実施する業者があるとはいえ、ほとんどが外国語(英語)での契約書がベースとなるため、理解不足などのリスクが日本語だけの部分よりも高まります。
 ②は、多くのケースでは、海外商品や取扱業者を紹介・仲介する業者を介して、商品やサービスの情報を取得し契約することになります。紹介・仲介の業者の信頼度や、紹介先の信頼度などを把握する情報収集は、個人に委ねられます。
 ③は、特に海外不動産の購入に代表されますが、物件完成前にお金の支払いが発生するという、日本とは異なる制度・商習慣がある場合があります。お金は払ったが、物件が期限通りに完成しないなどのトラブルが発生することも考えられます。

 このように、(2)のパターンでの投資を検討する際には、正確な情報を集めることや信頼できるアドバイザーの存在がとても重要になります。富裕層が利用するプライベートバンカー、海外投資に強いファイナンシャル・プランナーなどは、その一例です。

リスクを理解し、把握する

 日本以外の国への投資ですので、最終的な投資の結果は為替レートの変動の影響を受けます。つまり、日本円と投資先の国の通貨との間の為替レートが、投資開始時点に比べて、配当や利金、売却といった現金化時点で円高になると、当初想定の「円」での利回りを得られません。逆に、円安になると当初想定以上の利回りを得ることが出来ます。
 また、円を外国の通貨に両替した時や、外国通貨を円に戻すときに為替手数料が発生するため、為替レートだけでなく、手数料がいくら発生するのか把握することも大切です。

税金の問題

 国内の金融機関で購入できる投資信託や、配当・値上がり益への課税は、源泉徴収を選択できるため、確定申告を不要にすることが選択できます。一方、海外で外国の金融機関に口座開設して購入した場合は、源泉徴収ができないため、確定申告を行う必要があります。

上手に海外投資を取り込もう

 「国際分散投資」の観点からも、日本以外の国の株式や債券、不動産などへの投資は有効です。私たちの年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、基本ポートフォリオでは、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券をそれぞれ25%とすることにしています。

 自分でどこまでの手間やリスクを負えるかをよく考えて、自分に合った形で海外投資を始めてみることをお勧めします。

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