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2020年4月号(1)
資産運用
CFP®認定者 森内 東香

あなたの投資が社会を良くする?SDGsとESG投資の関係

 iDeCoやNISA、という言葉をたびたび耳にする時代です。投資や資産運用に興味を持ち、少しずつ始めている方も多いのではないでしょうか。
 ところで、あなたはどのような観点で投資先を選んでいますか?
 もし、「あなたの投資が社会を良くするとしたら・・・」、そんなことが本当にできるものなのでしょうか。今回は、ビジネスの力で社会の諸問題を解決するという発想の「ESG投資」とは、また、その元になる「SDGs」とは何かについて、考えてみました。

社会の課題を解決するための開発目標、SDGsとは

 SDGs(エス・ディ・ジーズ)は、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)の略称で、2015年の国連サミットにおいて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で採択された、2030年までの国際目標です。17の目標と169のターゲットから構成されています。地球上の「誰一人取り残さない」ことを誓い、「貧困」「安全」「環境」などの社会の課題が網羅されています。

外務省HP「JAPAN SDGs Action Platform」

 これらの課題に取り組むにあたっては、国だけでなく企業の協力も不可欠で、趣旨に賛同した企業がいろいろな形でSDGsに関する取り組みを行っています。
 例えば、海洋汚染問題においてプラスチックストローが問題になっていることはよく知られていますが、アメリカのコーヒーチェーンでは2020年までに世界中の店舗でプラスチックの使い捨てストローの使用を廃止することを発表しています。

これまで行われてきた企業の社会貢献とどこが違うのか?

 これまでの企業の社会貢献では、「企業の利益の一部を社会に還元する」という考え方が一般的でした。この考え方だと、貢献活動は景気動向に左右され、「社会貢献」と「企業利益」とが相反する存在となってしまいます。しかし、SDGsに関連する活動では、「社会貢献」と「企業利益」とが同じベクトルであることが特徴です。
 例えば、先のコーヒーチェーンでは、一昔前のビジネスモデルのようなコーヒー生産者から搾取することによって利益を上げるという形ではなく、むしろコーヒー生産者には適正な価格が支払われることを目指しています。生産者が品質と収益性の両方を高め続けられる栽培方法を確立するための手助けすることで、将来にわたって安定的に高品質なコーヒーが提供でき、結果として、顧客から求め続けられるブランドが構築され業績もアップするという考え方です。
 社会貢献を果たしつつ、利益もあげながら社会を変えていこう、という発想がSDGsに関する活動の特徴で「持続可能な」と表現されるゆえんでもあります。

日本におけるESG投資

 このようなSDGsの考え方に基づき、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」に配慮した責任ある企業への投資を「ESG投資」といい、日本では2017年に、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)がESG関連指数への投資を始めたことで周知されるようになりました。
 消費者は社会に有益だと判断した製品やサービスを購入し、SDGsを考慮しない商品は買わなくなるので、SDGsに取り組む企業が投資リターンの高い優れた企業であると認められ、ESG投資をする投資家が利益を得るようになる…このような経済の循環ができた時に「誰一人残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会が「投資」によって実現できるとされています。

社会問題への関心と長期的な視点

 環境問題や社会問題に取り組みたいと思っていても、何をすればいいかわからなかったり、個人の活動には限界を感じることも少なくありません。しかし、まずはSDGsに積極的に取り組む企業や団体を調べ、その活動内容を知ることが第一歩となるのではないでしょうか。
 これからの資産運用においては、社会問題にも関心を寄せつつ長期的な視点を忘れないよう心掛けることが自己の利益にもつながっていく、ということを心に留めておく必要があるかもしれません。

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