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2020年2月号(1)
税制・相続・贈与
CFP®認定者 小柳 祥子

学生にもある!!親子で知っておきたいアルバイト収入の壁

 配偶者が働く際に税金や社会保険料の負担が増える「収入の壁」についてはよく耳にすると思いますが、実は学生にもいくつかの「収入の壁」があり、それを超えてしまうと家計に大きな影響を及ぼす場合があります。今回は、子どもがアルバイトを始める前に、ぜひ親子で知っておきたい「収入の壁」について解説します。

「収入の壁」は大きく分けると2種類

 学生の「収入の壁」には、配偶者と同様「税金」と「社会保険」に関する2種類があり、税金には更に、本人と親(扶養者)の負担が増える別々の壁があります。また、学生には他にも注意すべき壁があります。
(1)103万円の壁(親の税金の壁)
 子どもの収入が給与収入のみの場合、年間103万円を超えると税務上は扶養を外れるため、親が扶養控除を受けられなくなります。所得税の一般の扶養控除額は38万円ですが、年齢が19歳以上23歳未満は特定扶養親族として控除額は63万円になります。仮に親の所得税率が10%だと、約6万円の所得税が増えます。また、住民税では、特定扶養親族の控除額が45万円(一般は33万円)なので、約4万5千円増えることになり、合計で親の税金が年間約10万円も増えることになります。

(2)130万円の壁(子どもの税金の壁)
 給与収入が130万円を超えると本人の納税義務が発生します。通常は所得税では103万円、住民税では100万円(市区町村による)を超えると税金の支払いが発生しますが、学生には「勤労学生控除」として更に所得税27万円、住民税26万円の所得控除があり、年収が130万円以下であれば、勤務先での年末調整や確定申告をすることで控除を受けられます。(住民税は126万円以下であれば非課税)。

国税庁HP「勤労学生控除」

 また、住民税には所得に応じて決まる所得割のほか一律にかかる均等割があり、こちらの年収基準は93万~100万円(市区町村による)超となっています。ただし、1月1日時点で未成年者の場合、前年の合計所得金額が125万円以下(給与収入204万4千円未満)であれば、均等割も課税されません。

(3)130万円の壁(子どもの社会保険の壁)
 130万円には、もうひとつ本人の社会保険料の支払いが発生する壁があります。年収が130万円以上になると、親の扶養から外れ、国民健康保険に加入することになり、世帯主に保険料の納付義務が生じます。もし、勤務時間の要件(週の所定労働時間及び月の所定労働日数が正社員の4分の3以上)を満たせば、例えアルバイトでも勤務先の社会保険に加入することになり、毎月の給与から保険料が引かれます。
 なお、従業員数501人以上の会社に適用される短時間労働者の「106万円の壁」※と雇用保険については、昼間部学生は適用対象外となっています(一部例外あり)。
※厚生年金・健康保険が適用される短時間労働者の要件の一つが、「月額賃金8.8万円以上」であることから、この要件を年額に換算し、「106万円の壁」と呼ばれています。

その他の収入の壁

 20歳以上の学生は、国民年金の「学生納付特例制度」を利用している方もいると思いますが、利用条件として本人の所得基準が「118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等」以下となっています。掛け持ちなどで高額を稼いでいる場合は注意が必要です。
 また、奨学金を利用している場合、収入が家計基準を超えると奨学金の減額や停止になることもあるので、自分の利用している制度を確認した方がよいでしょう。

親が注意すべき点

 子どもが学生だと、社会経験が少なく、知識がまだ浅いため、自分の置かれている状況や年収を把握していなかったりします。複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は特に注意が必要です。子どもが年収基準を超えているのに扶養親族のまま届けていると、後で親が追徴課税を請求されるケースも実際にあります。
 また最近では、人手不足を理由に長時間労働を強いる、要件を満たしているのに社会保険への加入を拒む、源泉徴収票を発行しないといったブラックバイトも存在します。この春、進学後にアルバイトを始める学生も多いと思いますが、トラブルを未然に防ぐためにも、親も子どもの勤務先や就労条件について確認し、少なくとも子どもがいくら稼いでいるかは把握するよう努めることが大切です。

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