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2019年11月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 小柳 祥子

「人生80年時代」とはここが違う!「人生100年時代」に向けたライフプラン

 平均寿命の延びに伴い、人生は「80年時代」から「100年時代」へと移行しつつあります。長寿になれば当然、老後の過ごし方や必要資金も以前とは異なってきます。ここでは「100年時代」のライフプランについて「80年時代」と比較しながら検討してみます。

「人生80年時代」と何が違う?

■ 金利情勢
 90年代前半までは預貯金や生命保険の利回りが高く、預けていれば増えました。金融機関によっては、10年で倍になる時期もあったほどです。現在の超低金利時代(定額貯金で0.01%)に利子で増やすことは困難です。

■ 退職金
 厚生労働省の調査によると、退職金は減少傾向で、ここ20年で大卒定年退職者の平均給付額は、約1,000万円減少しています。退職金制度がない企業の割合も増加傾向です。

■ 年金
 年金は、老後の生活費すべてを保障する制度ではありません。年金財政検証による今年度の所得代替率(現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合)は、61.7%で5年前より低下しました。日本の年金制度は、現役世代の保険料で賄われる賦課方式のため、少子高齢化に伴い将来の所得代替率は50%近くまで低下すると予想されています。

■ 晩婚化
 晩婚化とともに出生時年齢も上昇しています。以前は、子供が大学を卒業してから定年まで老後資金を貯める期間がありましたが、現在は定年後も教育費がかかる家庭は珍しくありません。そのため、早い時期から教育費と老後資金を同時に準備していく必要があります。

「老後リスク」を見える化しよう!!

 退職金や年金の給付水準が下がり、老後期間が長くなることで、当然、老後資金が不足する可能性があります。このような「老後リスク」は、個々の資産状況や家族構成によって異なるため、まずは自分の老後収支を知ることが大切です。
 大まかですが、年金・退職金等の老後の収入見込額から定年後の生活費(30~40年分)と予備費(医療・介護・自宅修繕等)の支出予定額を引いて、結果がマイナスならその分を老後資金として準備する必要があります。漠然としていた「老後リスク」を数値で見える化することで、それぞれの実情に合った資金計画が立てられます。(※年金見込額は、「ねんきんネット」や50代であれば「年金定期便」で確認できます)

老後資金対策は組み合わせると効果的

 老後資金の捻出が難しいと感じる場合、次のような対策を組み合わせて考えてみましょう。
■ 収入を増やす
 一番は、できるだけ長く働くことです。収入があれば、貯蓄を取り崩すスピードが遅くなります。また、厚生年金への加入や年金の繰下げ受給をした場合、生涯にわたって受け取る年金額が増えます。

■ 支出を減らす
 定年後の急な収入ダウンに対し、生活費を急に落とすことは容易ではありません。特に高収入やボーナス補填をしている家庭は、現役時代から無駄な出費を減らし、毎月の収入内でやりくりする習慣を身に付けることです。老後は、旅行や車などにかかる特別支出や保険料を見直すことも大切です。

■ 運用する
 元手が少ない場合は、短期間で資金を増やすのは難しくリスクも伴うため、多くの場合、長期の積立運用が適しています。例えば、月2万円でも年利2%で複利運用することにより、30年で1,000万円近くになります。「つみたてNISA」や「iDeCo」のような非課税メリットがある制度も検討するなど、自分に合った運用方法を選択するとよいでしょう。

思い立ったらすぐ始めよう!!

 せっかくライフプランを立てても、その通りにいかないこともあります。そのため、定期的に現状確認と見直しを行うようにしましょう。
 また、お金以外に健康や就労面でのリスクもあり、これらはライフプランを大きく左右します。資産寿命だけでなく、いわゆる健康寿命、職業寿命も延ばすことが「100年時代」には必要です。費用はかかりますが、定期的な人間ドックの受診やリカレント教育等を、将来のリスク回避や自己投資のためと考えて、ライフプランに追加するのもよいと思います。

 「人生100年時代」を安心して過ごすためには、できるだけ早く将来の見通しを立てて、行動に移すことが大切です。今不安を抱いている人は、まずは「老後リスク」の見える化から始めてみませんか。

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