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2019年10月号(2)
住宅・不動産
CFP®認定者 柏木 真一

住宅は賃貸?それとも購入? どっちを選べばいいの?

 住宅を借りるのか、購入するのか、住宅の話になるといつも議論されている問題です。どちらにもメリット・デメリットがありますが、各家庭のライフスタイルによって、どちらがより有利となるのかは変わります。そのため、今回はライフスタイルから、考えてみましょう

短期間での住み替えが多い場合

 賃貸と購入の物件がほぼ同等として、住宅ローンと管理費などの毎月負担額は家賃の額に合わせることができます。よって生活レベルは同等にすることが可能です。
 ただし、頭金や購入時の諸費用の合計が、賃貸の場合の敷金・礼金等の合計と比べると多く必要になり、その分購入時の負担が大きくなります。そのため、短期間での住み替えが多い場合は、賃貸の方が有利となりそうです。

将来住み替える場合

 20年後など子供が独立して広い部屋が不要となり住み替える場合、どちらが有利かは売却価格によって違ってきます。
 (ローン残高+購入時頭金等)<(売却価格-売却時諸費用)となれば、売却の方が有利となります。20年前に購入した物件を今売却するとして、場所によっては購入価格よりも売却価格の方が高くなる場所も存在しています。短期間のローンを組めば新しいマンションが買えるケースもあるほどです。そこまでいかなくても、資産価値があって値下がりが少ない場所であれば購入の方が有利になります。
 (ローン残高)>(売却価格-売却時諸費用)となるような物件を購入しますと、売却後にまで住宅ローンが残ってしまう可能性がありますので、購入の際は、資産価値の観点も考慮するといいですね。資産価値が下がりにくい物件についてはこの後に記載します。

ローン完済後

 人生100年時代とも言われるようになり、30歳の時に35年ローンを組んで購入したとしても、完済後まだ35年程度住まいが必要となってきます。リフォームも必要となりますが、年金収入だけで家賃を負担することを考えると、やはり購入の方が有利となりそうです。
 できるだけ資産価値が下がりにくい物件を購入し、子供の独立時などに売却、他の少し狭いマンションなどに住み替えることで、定年時には住宅ローンの負担を大きく抑え老後に備えることができます。

資産価値が下がりにくい物件とは

 では、資産価値が下がりにくい物件とはどういう物件でしょうか。
可能な限り住宅ローン完済後も資産価値が残る物件を購入しておきたいですね。そこで、物件を選ぶ際に考えるポイントとして、一例を上げると、

 1.街の中心地に近い
 2.大きな駅に近い
 3.駅から4分以内
 4.人気の街 などがあります。
 資産価値がある物件に住むことで、老後の負担がかなり抑えられます。もし、資産価値が下がったとしても、住宅ローンが払い終われば、少ない負担でそこに住み続けることができます。

さいごに

 賃貸・購入のメリットやライフスタイルごとに有利な点について説明しましたが、次のような見落としがちなデメリットがあることも理解しておきましょう。例えば、
 賃貸の場合
  ・自分の財産として残らない
  ・リフォームできない
 購入の場合
  ・固定資産税の負担がある
  ・老朽化したらリフォームや修繕が必要となる
  ・土地や建物の値段が下がり、売却が難しくなるケースがある
 また、マンション購入の場合は、
  ・数年毎に管理組合の理事になる 
  ・修繕積立金や管理費の負担がある などがあります。
 「住宅」に関する資金は人生3大資金の一つです。賃貸とするか購入にするかは、多角的な視点から情報を取り入れて、考えてみてはいかがでしょうか。

 また、賃貸か購入かを迷った方は、今後の家計や将来のライフプランを考えた上で、今後どんな場所で、どのような住まいに住むのか、長期での考え方を検討してみるのが良いと思います。住みたい場所の不動産価格の動きや住宅ローン金利傾向など、ファイナンシャル・プランナーに相談してみましょう。

 また、住宅金融支援機構のHPでは資金計画や住宅ローンのシミュレーションができます。様々なツールやサイトを活用し、長期の収支を試算してみてはいかがでしょうか。
 住宅金融支援機構

 どちらが有利かは、家族構成やライフスタイルなどで変わってきます。将来を見通しながら、じっくり検討してみてはいかがでしょうか。

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