バックナンバー

2019年6月号(2)
ライフプラン
CFP®認定者 坂本 綾子

共働き夫婦の家計管理

 共働き夫婦の家計管理は最初の取り決めが肝心です。お金の使い方は習慣になると、途中で軌道修正するのがけっこう大変だからです。住宅購入や子育てを2人で乗り切れるよう、なおかつどちらかが不満を感じないための家計管理の方法を考えてみました。

収入と基本的な生活費、貯蓄目標を夫婦で共有しよう

 共働き夫婦の家計のメリットは、収入が2人分あり、片働きより余裕が生まれやすいこと、どちらかに何かあっても収入がゼロにはならないことです。一方デメリットは、お金の入口が2つあるため、家計全体のお金の流れが見えにくいことです。
 結婚後、自分のお金の情報をどこまで相手に公開するべきか、悩んだ方もいることでしょう。日本では税金や社会保険に関して、個人の収入のみならず世帯の状況も考慮されるため、お互いの年収は把握しておくのが鉄則。
 そうは言っても、お金の使い方については、とやかく言われたくないと思う方も多そうですね。自分が稼いだお金を自分の判断で使う。独身時代には当たり前だったことですが、結婚してひとつの世帯になれば共通の費目が生じますから、ここはふたりで情報共有して予算や使い方を考えたほうが合理的です。
 例えば、家賃、食費、水道光熱費、通信費、車を持っているならその維持費など。それぞれ、どの費目にいくら負担するかを話し合いましょう。そうすることで、今後の住宅購入や、子どもが生まれて教育費の負担が大きくなった時の準備もスムーズに進むでしょう。必要な基本生活費を出した残りが、各自のお小遣いや貯蓄になります。生活費の負担割合を決めるだけではなく、今後の生活を思い描き、例えば3年後までに○○万円などと貯蓄目標を決めて、これも共有しておきましょう。

銀行口座の使い分け

 具体的には、自分が担当する費目を自分の給与振込口座から引き落とす、これが一番手間がかからず便利です。ただし、この方法は自分の担当分については把握できても、相手の担当する費目には無関心になりかねませんので、口座の入出金はオープンにして、いつでも互いに確認できるようにしておくとよいでしょう。いわゆる家計口座の位置づけです。さらに、この家計口座には自動積立定期預金をセットしておくのもひとつの手です。毎月自動で振り分けられるので、目標としている住宅購入の頭金や子どもの教育費などを着実に貯めることができます。
 一方、余裕の部分や、自分のお小遣いなどを管理する口座をもう一つ持っていると、ストレスが溜まりません。その口座に毎月給与から一定額を入金します。こちらについては、使い道を互いに詮索しないこと。せっかく働いているのですから、仕事上の付き合いや趣味の費用など自分の判断で使えるお金がなければ息が詰まってしまいます。自分の出費については専用のクレジットカードを作って、自分の口座から引き落とすのがおすすめです。また、自分用の貯蓄も自由にできます。
 つまり、夫婦それぞれ用途別に2~3口座を持つということです。給与振込口座は家計用にして互いにオープンにし、他に自分専用の口座を持ちます。毎月の給与額を知られたくないなら、家計専用の口座を作って、そこに自分が担当する分の金額を入れる方法もあります。その場合も、年間の給与の総額がわかる「源泉徴収票」は公開しましょう。なぜなら世帯年収を把握できないと、住宅ローンの適切な借入額がわからないし、子どもをどちらの扶養に付けた方が税金面で得かの判断ができないからです。

話し合って時には分担の見直しも

 どちらが生活費を多く出しているかで喧嘩になることもあるかもしれません。分担を変更したいときは、自分が支払っている数字を出して冷静に交渉を。転職で給与に変化があった、産休により妻の収入が一時的に減ったなど、状況が変わった時も見直すのによいタイミングです。
 「家計簿」と聞くと面倒くさく感じるかもしれませんが、なるべく記録が残る使い方を心がけることが大事です。銀行口座からの引き落としやクレジットカードは記録が残りますが、現金で支払うといくら使ったかわからなくなることもあるでしょう。その場合は、レシートを写真に撮ると自動的に記録し分類してくれるスマホの家計簿アプリなどを活用するのもよいですね。

 共働きは毎月2人分の収入が入ってくるので、つい財布のヒモがゆるみがちになります。また、片方がせっせと節約して貯めているのに、もう片方は無頓着だったり、目標の貯蓄が達成できなかったりすることで不公平に感じる時もあるでしょう。
 しかし、人生いつも順調とは行きません。相手に不満があるときは、今どんなくらしをしたいかのみならず、失業や病気など困った時にどうするか、また家族としての将来像(住む場所や子どもの育て方など)を話し合うと、すぐに意見が一致しなくとも互いの考えを知ることができます。

 夫婦とは言え、元は他人。100%考え方が一致する方が珍しいのではないでしょうか。それぞれの希望と許容範囲を確認しながら、50%~80%の部分が共有できていればなんとかなるというのが、結婚以来、約30年間共働きをしている私の実感です。
 お金を管理することが目的ではなく、2人でちゃんと管理することにより安定した家計を維持し、楽しい生活を送ることこそ大事です。熱くなりすぎず、かといって投げやりでもなく、肩ひじ張らずに取り組むのがいいですね。

さらに過去のFPコラムをカテゴリ別で見る

上へ