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2019年6月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 蓑田 透

働く人が利用可能な社会保険(健康保険/雇用保険/労災保険/厚生年金)

 新年度も3か月目に入り新たに社会人になられた人達は、新しい環境に少しずつ慣れてきたのではないでしょうか。これから先、人生の多くを働きながら過ごしていくことになりますがその途中には結婚、出産、転職などのイベントや、失業、病気・ケガなどのアクシデントがあるかもしれません。こうした時には、まとまったお金の支出や働けずに収入がなくなるなど経済的に困った状況となることがありますが、日本では社会保険制度によってこうした状況を国がサポート(援助)してくれます。そこで今回は働く人が利用できる主な社会保険を紹介します。

社会保険の概要

 日本は社会保障制度が充実していて、国民の様々なリスクに対し公的援助を受けることができます。こうした援助は実は国民からの税金や、皆さんが毎月納める社会保険料を財源としていて国民が相互に連帯し支え合う形で実現しています。社会保障の中でも社会保険は、病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などのリスクに対応していて、具体的には健康(医療)保険、介護保険、雇用保険、労災保険、年金保険などがあります。雇用保険と労災保険は併せて労働保険と呼ばれています。今回は介護保険を除く各保険についてスポットを当てていきます。

主な給付内容

(1)健康保険
■療養給付
 広く知られている給付内容として療養の給付や家族療養費があります。これは病気やケガで自分や家族が医療機関を利用した際、自己負担額は医療費の3割(70歳以上と小学生未満は2割、75歳以上は1割)となり、残りは健康保険から支払われるというものです。
■高額療養費
 上述の通り健康保険では自己負担額は医療費の3割ですが、それでも重い疾病(がん、脳梗塞、心臓病、糖尿病など)にかかり手術や長期の治療、または寝たきり状態での介護を必要とするケースでは自己負担額がそれなりに高額となってしまいます。高額療養費は自己負担額が一定の額を超えた場合に追加で健康保険から支払われます。
■傷病手当金
 傷病のため療養が必要となり(働くことができない)、会社からの報酬が得られない場合に報酬の3分の2に相当する金額が支給されます。期間は最大1年6か月です。
■出産手当金
 出産のため休養し、会社からの報酬が得られない場合に報酬の3分の2に相当する金額が支給されます。利用できる期間は出産の日以前42日から出産の日後56日までとなります。
■出産育児一時金
 出産にかかる費用の保障として一児につき40万4千円が支給されます。
■埋葬料
 本人や家族が死亡した場合、葬儀など諸手続にかかる費用を補填する目的で一律5万円が遺族に支給されます。
■退職後の継続給付
 上記傷病手当金、出産手当金を受給している場合、会社を退職しても継続して受給することができます。また退職後6か月以内に出産した場合は出産育児一時金が支給されます。(いずれも退職前に引き続き1年以上被保険者である場合に限られます)

(2)雇用保険(失業保険)
■求職者給付
 広く知られている給付内容としては、失業した際に受けられる求職者給付(基本手当)があります。これは失業して次の仕事が見つかるまでの間収入が得られない場合に、一定期間支給されます。したがって求職活動をしていないと受給できません。
■再就職手当・就業促進定着手当
 失業し求職者給付を受給していたものの、早期に次の仕事が見つかり基本手当の支給日数を多く残している場合に支給されます。
■教育訓練給付
 現在働いている労働者や離職後1年以内の失業者が各種の教育訓練(国から指定を受けた教育機関に限る)を受講した場合にその費用の20%が教育訓練給付金として支給されます。また訓練期間が長い専門実践教育訓練については、その費用の40%~60%が支給されます。
■雇用継続給付
 現在働いている労働者が育児や家族の介護で休業を余儀なくされ、報酬が得られなくなった場合に一定額が給付されます。育児休業給付金は1歳に満たない子を養育するために休業した期間、介護休業給付金は2親等以内の家族を介護するために休業した期間(最大93日まで)支給されます。

(3)労災保険
 労災保険は業務または通勤により負傷、疾病、障害、死亡した場合に支給されます(健康保険は業務または通勤以外による傷病に対して適用されます)。主な給付内容は以下のとおりです。
■療養補償給付
 医療機関での療養(診察、治療、薬、看護、移送など)にかかった費用が支給されます。
■休業(傷病)補償給付
 療養のため働くことができずに賃金を受けられない場合の所得補償として支給されます。
■障害補償給付
 障害状態となり仕事ができなくなった場合の所得補償として支給されます。
■遺族補償給付
 労働者本人が死亡してしまった場合、遺族のための補償として支給されます。
■介護補償給付
 障害状態や疾病の状態が悪く介護サービスが必要な場合に、その費用の補填として支給されます。

(4)年金保険(厚生年金)
 年金と言えば老後(通常65歳から)に受給する老齢年金として広く知られていますが、傷病により障害状態となった場合に障害厚生年金が支給されます。身体の障害だけでなく精神疾患による障害にも適用されます。また労働者自身が死亡した場合は遺族厚生年金が遺族に支給されます。

補足情報

・上記の社会保険は、就労先企業/団体が社会保険の適用事業所であること、労働者の雇用形態が被保険者となる正社員/正職員である必要があります(企業により短時間労働者への適用もあり)。したがって一部の個人企業での就労やアルバイト契約では適用されません。
・2つ以上の給付に該当する場合は、いずれかの給付が停止または金額調整される場合があります。
・各給付については支給要件や給付額が細かく決められています。詳細情報については各機関(健康保険組合、協会けんぽ、ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所など)にお問合せ下さい。また加入、脱退手続きについては企業・団体の福利厚生担当者へお問合せ下さい。
・本来支給要件に該当し受給できるものの、請求手続きをする前に転職または退職すると受給できなくなる場合があります。

 いかがでしょうか?こうした制度を知らなかった、知っていても有効期間内に申請できずに支給を受けられなかったということがあります。ふだんからこういった知識を身につけておき、万が一のときでもあわてず有効利用できるようにしておくとよいでしょう。

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