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2019年4月号(2)
保険
CFP®認定者 向藤原 寛

若いファミリーに知ってほしい万が一への備え

 「保険に入るのは無駄。」そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。実際に、結婚して子供がいるものの、貯蓄はあまりなく保険も加入していないというような30歳前後の方が以前より増えているように感じています。
 保険は無駄な出費なのか、必要な支出なのか。保険に対する考え方を整理していきましょう。

社会人になったら自動的に加入する国の保険

 就職したら通常、厚生年金保険、健康保険、雇用保険、労災保険に加入することになります。今回は社会保険の中でも、厚生年金保険について確認しましょう。

 厚生年金保険に加入すると、老後に「老齢基礎年金」、「老齢厚生年金」を受け取る準備をすることになりますが、同時に、けがや病気で重い障害を負ってしまった時に受け取れる「障害年金」、本人が死亡した時に遺族が受け取れる「遺族年金」という「公的な保険」に加入したことになります。それぞれの年金は2階建てになっていて、1階部分の基礎年金は加入者全員が共通であり、2階部分の厚生年金は会社に勤める人や公務員であれば上乗せされるものになります。

 例えば、子供のいる厚生年金保険加入者が亡くなった際、多くの場合、遺族基礎年金と遺族厚生年金が家族に支払われます。対象となるのは、子のある配偶者、子です。現状で子供1人の場合、子供が18歳になるまでの間、約100万円が遺族基礎年金として支払われます。
 併せて遺族厚生年金が、亡くなるまでに受けていた給与水準に応じて支給され、在勤期間が短くても25年働いたものとして計算されます。こちらは、妻、子、孫、55歳以上の夫が対象となります。

 また、障害年金は初診日から1年半たたないと受け取れない可能性がある一方、障害等級に該当しない場合でも、働けない状態になり欠勤すると、1年半にわたり、それまでの給与(標準報酬月額)の約3分の2に相当する金額の傷病手当金を健康保険より受けることができます。
 医療費については、所得水準に応じて月額の自己負担限度額が高額療養費制度により定められ、例えば、年収500万円程度の方の場合は月額9万円前後までの自己負担で済むような仕組みがあります。

 これらの仕組みでは、不足する部分を補うために備える。これが保険を検討する際の指針になります。

死亡保障の必要性を確認しておきましょう

 では、具体的にどのような保険を探せばよいのか。万が一の際に残された家族を守る方法はいくつかあります。

 まずは社会保険と貯蓄では足りない部分について、日常の生活費や、子供の教育費、配偶者の老後の生活について、将来に渡る必要資金を想定したうえで、定期保険、収入保障保険といった死亡時に受け取れる保険を中心に考えると良いでしょう。
 れらはいずれも一定期間のみ保障される、いわゆる掛け捨ての保険です。将来への積み立てがない分、保険料を抑えることができる商品ですので、貯蓄が少ない段階では、低額な保険料で大きな保障を備えることができます。
 定期保険は、万が一の際にまとまった保険金を受け取るタイプの商品です。
 収入保障保険は、亡くなった時点から満期までの間、死亡保険金を給料のように年金形式で受け取ることのできるタイプです。

まとめ

 不幸は起こらないことが一番ですが、残された家族が困らないための備えは、いつ始めても早すぎることはありません。公的な保障が守ってくれる範囲と、自分で準備しておく範囲を若いうちから把握しておくことをお勧めします。ただし、保険は金融商品であり、リスクのある商品も存在しますので、よく確認して利用しましょう。
 また、保険に加入した後はそのままにするのではなく、家族や収入の状況を踏まえて見直すことで、無駄な出費になることを防ぐことが可能です。

 今後の生活設計や、万が一の際の家族の生活を考え、最低限の保障を備えることで、お金の面から長い人生の選択肢を増やすことができます。この機会に、ご家族で将来のことをお話しされてみてはいかがでしょうか。

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