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ボーナスではじめる資産運用
ボーナスの使い道は人それぞれですが、近年、老後不安に備えてまずは貯金をすると答える人が多いようです。
しかし、貯金をしているだけでは、なかなか資産が増えないのも事実です。
ボーナスはまとまった金額が入るため、資産運用に取り組もうと考えている方に、留意点等をご説明いたします。
運用をしてよい人・いけない人
資産運用は、元本保証のない商品に投資をしますので、「余裕資金」で行います。
余裕資金とは、
・生活資金
・住宅購入や子どもの教育費など「今後10年以内に使う予定があるお金」
・万一働けなくなったときなどに備えて持っておきたい「緊急資金」
を除いたお金のことです。
緊急資金は、通常の生活費の最低3か月~1年分で、元本保証のある預貯金などで備えておくとよいでしょう。例えば、1か月30万円つかう家庭は90万円~300万円程度が緊急資金になります。
まだ緊急資金の準備ができていなければ、ボーナスはまずは預貯金で蓄えるとよいでしょう。
投資のリスク(値動きの幅)
投資には、リスクがあります。リスクの幅は色々ありますが、残念ながらリスクが小さく、リターンの大きい商品はありません。
もし、住宅ローン、奨学金、カードローンなどの借入金があれば、ボーナスを投資せずに借入金の返済にあてれば、支払う利息を減らす効果がありますので、そちらを先に検討することも大切です。
どんな金融商品を選ぶか?
金融商品は、大きく分けると債券と株式で、通常は異なる値動きをすると考えられます。
一般的には株式の方がリスクは高く、債券の方がリスクは低いです。
それぞれ国内物と外国物がありますので、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4つになり、これらの組み合わせと割合が重要です。
外国物は、為替の影響を受けて変動しますので、リスクは国内物より高くなります。また、新興国は先進国よりリスクが高いといえます。
外国債券は、場合によっては国内株式と同程度かそれ以上のリスクがあります。
リスクを低めに設定するためには、リスクの少ない商品の割合を多くすることです。
初めから個別の株式や債券を選ぶのは難しいかもしれませんので、売買を専門家が行う投資信託を使って運用すれば、手数料はかかるものの、少額から投資でき、資産配分を考えることに集中することができます。
株式投資信託では、日経平均やニューヨークダウなど指標に連動するインデックス型は、手数料が割安で値動きがわかり易いでしょう。
大事なのは分散投資
リスクを軽減するために有効なのは、分散投資です。
・「資産」(国内債券・外国債券・国内株式・外国株式など)の分散
違う値動きをするものを組み合わせて、資産すべてが一度に下がってしまうことを防ぎます。
・「時間」の分散
値動きのある商品を買うタイミングをずらして定期的に一定金額を買うことで、結果的に安い時にはたくさん買い、高い時には少ししか買わないことを実現できます。
何のために運用するのか?
老後のためか、子供の教育費のためか、住宅の頭金を貯めるためなのか、目的により運用期間や運用先が変わります。
運用期間が短い場合は、値下がりした際にもとの価格に戻るまで待つ時間をあまりとれないので、リスクを低めにしておくとよいでしょう。
投資信託の購入には、積立NISA・NISA(どちらかを一方のみ)や個人型確定拠出年金(以下iDeCo)など税制優遇のあるところから始める方法があります。
老後費用などの長期運用なら積立NISA、60歳までおろさない予定で積み立てるならiDeCo、住宅の頭金を貯めるなどの5年以内の運用ならNISAを使います。
まとめ
資産運用を始めるなら、
1.投資対象(金融商品)を分散する
2.一度にたくさんの金額を投資せず、定期的に一定の金額を投資する
例えば、ボーナス毎に同じ投資信託を一定金額買う、或いは、毎月買っている投資信託をボーナス月は上乗せして買う、ということもできます。
iDeCoを利用している方は、ボーナス月は多めに掛金を払うこともできます。
市場がよくても悪くても、投資を続けることが長期運用では大切かもしれません。
また、運用には値動きがあるため、運用を始めた時に決めた資産割合は、時間の経過とともに変わってきます。
そのため、①元の資産割合にもどす、又は②新たな資産割合に変更する、のどちらかへ定期的な見直し(リバランス)が必要です。
誕生日や記念日などにリバランスをすれば、毎年忘れずに行うことができるでしょう。
- ※バックナンバーは、原則執筆当時の法令・税制等に基づいて書かれたものをそのまま掲載していますが、一部最新データ等に加筆修正しているものもあります。
- ※コラムニストは、その当時のFP広報センタースタッフであり、コラムは執筆者個人の見解で執筆したものです。

