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2018年4月号(1)
資産運用
CFP®認定者 岩永 真理

低金利時代に負けない!親子3世代で考える資産づくり

 国内で低金利が続く中、預貯金のみではなかなか資産は増えないため、海外への投資も含めて、資産形成を考える時代になりました。
 こうした中、お金を使う時期のピークは人生の中でバラつきがあることに着目し、「家族」という枠組みを利用して、お金を使っていない世代から最も必要な世代へと、家族間でお金を融通し合い、どの世代でも金利や税金の負担を減らそうという考え方があります。
 非課税枠などの制度も近年整ってきておりますので、今回は「親子3世代で考える資産づくり」について考えてみたいと思います。

効率的な資産づくりのために

 資産づくりには、まず、各種ローンなど生涯の借入金をできるだけ少なくして、支払う金利を減らすことは効果的といえます。人生には3大支出(教育費・住宅費・老後の費用)があると言われますが、そのすべてを手持ちの預貯金で賄うことが難しい事があり、その時には部分的にローンを利用することもあるでしょう。例えば、教育ローンや奨学金、住宅ローン、リバースモーゲージなどです。
 これらのローンを利用しなければ、金利を払わないで済み、運用でこれらの金利を得たのと同様の経済効果が期待できます。

年齢別にみる貯蓄額・負債額

 総務省の家計調査報告(2016年)によると、1世帯当たりの貯蓄額(二人以上世帯)は、40歳未満は574万円であるのに対し,60歳以上は2,000万円を超えています。
一方の負債額は、40歳未満が1,098万円と最も多く、住宅ローンや教育費の負担が大きいと考えられます。40歳以上の負債は、年齢が高くなるにつれて少なくなっていきます。
 仮に60歳以上の親世代が、40歳未満の子世代、孫世代へ贈与や貸与をすることができれば、3世代各々の貯蓄高は均一化し、相続対策や借入金の減額が期待できます。

世代により異なるリスク

 高齢化に伴い、一世代で全うする人生も長くなる一方で、世代によるリスクは以下の通り異なります。
1.親世代(60代以上)
 ・長期運用が難しくなる時間的なリスク
 ・認知症になり法的行為や運用ができなくなる  など

2.子世代(30代~50代)
 ・高度経済成長期のような右肩上がりの昇給が見込めなくなる
 ・退職金が出ない  など

3.孫世代(0歳~20代)
 ・上記2の子世代が教育費を負担できず孫自らが奨学金などで学費を負担することになる
 ・社会保険料の負担が増え、年金の受給開始年齢も上がること  など

 親は長生きに備えて貯蓄をしていても、認知症になってしまうと運用はもちろん、贈与することも困難になるでしょう。生前贈与は、相続させるよりも感謝される様子を直接見ることができる利点があり、子・孫が一層積極的に親の介護を行ってくれる可能性もあります。また、手持ちの資産を減らすことは、親世代の相続対策にもなります。子・孫は親から資産の分配を受けて、一時的に経済的負担が軽くなる分、のちに親の生活費や介護費用として返済すれば、結果として家系全体で有利にお金を融通しあえるといえます。お金の世代間移動は、家族だからこそできることです。ただし、子や孫が複数名いる場合は、不平等にならないように気を配る必要はあるでしょう。

世代間の資金移動の方法は?

 たとえ家族間とはいえ、方法と金額によっては贈与税が課されます。
 課税されずに移動させるには、次の三つの方法が考えられます。
 1.非課税枠を活用した贈与
 2.その都度の実費負担
 3.その他

 1の「非課税枠を活用した贈与方法」は主に5つに分類できるかと思います。

  • (1)

    暦年課税
    1年(1月1日~12月31日)ごとに110万円まで:ただし、毎年同じ額を同じ時期に継続的に行うと一括贈与とみなされて課税されることもあるので、注意が必要です。

  • (2)

    相続時精算課税
    60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、2,500万円まで非課税で贈与でき、父母又は祖父母が亡くなったときに相続税として精算します。

  • (3)

    直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税
    平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母から自宅の新築、取得または増改築等にあてるための金銭:諸条件により700~1,200万円(消費税8%、平成32年3月31日までの場合)

  • (4)

    直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
    平成31年3月31日までの間に、30歳未満の子や孫に対する教育資金:1,500万円まで

  • (5)

    直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
    平成31年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の子や孫に対する結婚・子育て資金:1,000万円まで

(1)は上の世代から下の世代へ、下の世代から上の世代へ、双方向に贈与できますが、(2)~(5)は、上の世代から下の世代へのみ使える制度で、申告手続きが必要です。
贈与についての詳細は、以下サイトからもご確認いただけます。
http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm

 2の「その都度の実費負担」については、家族は相互扶助の義務がありますので、以下のものが考えられます。
・教育費・結婚費用・出産費(上の世代→下の世代へ)
・生活費
・介護費用(下の世代→上の世代へ)
 こちらは金額や期間などの制限はありませんが、主に実態に即した実費になります。

 3の「その他」については、親子間であってもお金の話はしにくい場合や、贈与や家族間でのお金のやり取りに抵抗がある方は、親との同居や二世帯・三世帯住宅に住むことで、賃貸、購入いずれも高額になる住居費を抑えることができます。その分、教育費や老後の生活費へ加算することができるでしょう。

まとめ

 このように、3世代で合理的に家系全体の負担を減らし資産を増やす方法はいくつかあります。これらを活用することで、人生の選択肢を広げることができるでしょう。この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

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