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2018年3月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 伊藤 魅和

教育資金と老後資金準備の両立を考える

 近年、晩婚化が進み、教育資金・住宅ローン・老後資金準備と、資金面でダブルどころかトリプルパンチを受けている家庭が多くみられます。教育資金がかかる中で、自分たちの老後資金をどう確保すればいいのか、直面する課題にどう向き合っていけばいいのかを考えていきましょう。

晩婚と教育資金

 晩婚ということは晩産になり、30代後半から40代にかけて末子が産まれることになります。晩婚の親はある程度貯蓄があり、習い事など、子どもの教育にお金を使ってしまう傾向があります。30代前半までに出産を終えた場合は、子どもが大学を卒業するときの親の年齢が50代前半です。しかし、晩産の場合は親の年齢が60代となり、子どもの卒業は定年間近、ないし定年後になってしまいます。

人生の貯蓄時期

 人生の中で、お金を貯められる時期が主に2回あります。一つが独身時期から教育資金がかかる前の時期、もう一つが子どもの卒業から定年までです。50代前半までに教育資金が終了していれば、そこから老後資金を貯めたとしても、定年までに10年ほど時間がありますので、老後資金の準備をすることが可能です。しかし、晩産の場合は、前半の貯蓄時期は長いのですが、後半の教育資金終了から定年までの期間がありません。子どもが卒業してから貯蓄をしようとしても間に合わないのです。また、住宅購入も遅くなり、定年までの返済期間が短くなります。教育資金・住宅ローン・老後資金といった大きな支出が、人生の後半に凝縮されてのしかかってきます。

お金を増やす方法

 それではどのように老後資金を準備すればいいのでしょうか。お金を増やす方法は3つしかありません。
①収入を増やす
②支出を減らす
③運用をする
のいずれかです。専業主婦であれば、パートに出て①の収入を増やすことが可能でしょう。正社員であれば産休・育休を取得して復帰が可能ですが、親の介護と重なるなど、復帰を断念せざるを得ないかもしれません。③の運用をいきなり始めるのは難しい面もあります。まずは②の支出を減らすため、家計の見直しをしていきます。

家計の見直し

 家計を見直す際に、最初に注目するのが固定費です。家計の固定費とは、家賃(住宅ローン)・水道光熱費・通信費(携帯代含む)・生命保険料・駐車場代など、毎月の支出が決まっているものです。その中から、①絶対削れない②削れるかもしれない③削れるの3つの項目に分け、洗い出してみましょう。
 晩婚の方は、独身時代が長いこともあり、結婚前の生活スタイルを変えられない方も多いようです。例えば、結婚後に通わなくなったスポーツジムの利用料を毎月払い続けるなど、無駄な出費が多くなりがちです。ですから、一度、きちんと家計の見直しを行い、本当に自分の家計で、何が必要で何が必要でないかを仕分けすることが大切です。②削れるかもしれない項目と③削れるの項目から、例えば毎月2万円ずつ固定費が削減できれば、その分を老後資金の積立に回せます。
 このような家計の見直しを行うことで、晩婚晩産の方は、教育費の負担が重くなる前に、老後資金の積み立てに取り組むことが可能になります。

まとめ

 教育資金がかかる中、老後資金を準備するための即効性のある特効薬は、残念ながらありません。自分の家計の中でできることを、一つずつ確実にやっていくしかありません。まずは人生の後半に、教育資金・住宅ローン・老後資金といった大きな支出が重なることを認識し、教育資金と同時進行で老後資金を準備する必要があります。できればキャッシュフロー表を使い、シミュレーションをしてみるとイメージがつかみやすいでしょう。
 キャッシュフロー表とは、一定期間の収支と金融資産残高の推移を時系列に表示したものです。教育資金をかけすぎ、老後資金不足に陥り、子どもに頼ることになっては本末転倒です。限られた収入の中で、支出に優先順位をつけ、時には方向転換をしながら、コントロールをしていくことが大切です。
 そのためには、夫婦で一日でも早く話し合い、時間を味方につけ、早めに準備を始め、教育資金と老後資金を上手に準備していただきたいと思います。

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