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2014年11月号
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 加藤 梨里

パート主婦が気になる「年収の壁」
2016年からは「106万円の壁」が追加に

会社員や公務員などのご主人様の扶養に入って、パートタイム労働者として仕事をしている主婦の方は、年末が近づくと年収が扶養の枠を超えないか気になってきますね。

奥様の年収がいくらか、扶養に入るか入らないかは、ご主人と奥様の所得税、住民税、健康保険、公的年金に影響します。これが、一般的に「103万円の壁」「130万円の壁」「141万円の壁」と呼ばれるものです。

まず気になるのが「年収103万円の壁」

奥様の年収がパート収入のみの場合、年収103万円以下であれば、所得税がかかりません。これは、所得税には38万円の「基礎控除」と、最低65万円の「給与所得控除」というしくみがあるからです。

38万円と65万円を足した103万円以下であれば、この2つの控除の範囲内になるので、奥様の所得はゼロとみなされて、所得税がかからないようになっています。

また、年収103万円までであればご主人の所得税に「配偶者控除」が使え、ご主人の税金も少なくなります。なお、年収100万円を超えると、次の年に住民税がかかりますので注意しましょう。

健康保険と年金の負担がない「年収130万円の壁」

103万円を超えて働くことになったら、次に気になるのが「年収130万円の壁」です。ご主人が会社員や公務員などで、奥様の1年間の収入の見込みが130万円未満であれば、ご主人の健康保険の「被扶養者」になれます。また、国民年金は第3号被保険者になり、保険料を自分で払わなくても将来老齢年金を受け取ることができます。

年収130万円以上になると、奥様が自分で健康保険や公的年金に加入しなければならなくなります。健康保険は、奥様のお勤め先の健康保険組合か、お住いの自治体が運営する国民健康保険に加入します。公的年金は、自営業の人や学生などと同じ第1号被保険者として加入するか、お勤め先で厚生年金や共済年金に加入するかになります。

健康保険や厚生年金は、原則として1カ月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上で、1日または1週間の労働時間が正社員のおおむね4分の3以上であれば、パートタイマーでも加入できます。

ご主人の税が優遇される「141万円の壁」

パート収入が年間130万円以上になると、奥様に所得税と、健康保険、国民年金の負担が生じます。しかし、年収141万円までであれば、ご主人の所得税が少なくなります。

これは「配偶者特別控除」といって、奥様の年収が103万円超141万円未満の場合に、奥様の年収に応じた控除額を、ご主人の所得から差し引けるものです。ただし、ご主人の合計所得金額が1,000万円を超えていると使えません。

2016年10月から「106万円の壁」が追加に

厚生年金は、2016年10月からパートタイマーの加入要件が拡大されます。以下の要件をすべて満たすと、パートタイマーでも厚生年金に加入することになります。

  • 1.

    勤務時間が週20時間以上

  • 2.

    1カ月の賃金が8.8万円以上

  • 3.

    勤務期間が1年以上

  • 4.

    勤務先が従業員501人以上の会社である

  • 5.

    学生は対象外

1カ月の賃金が8.8万円以上というのは、年収にすると106万円です。これまで、所得税は払っても厚生年金の負担がかからないようにと、年収103万円~130万円の間に収まるように働いていた人の一部には、新たに「106万円の壁」ができることになります。

2016年10月以降に、厚生年金に加入せずに働きたい場合は、従業員が少ない会社などに転職すれば、現行制度のままご主人様の扶養に入れます。ただし、従業員人数の要件は今後変わる可能性があります。制度の動向をみながら、働き方を考える必要が出てきそうです。

  • 平成26年10月現在の情報をもとに作成しています。
  • 本稿では、妻の年収がパートによる収入のみと仮定し、扶養者を夫、被扶養者を妻としています。また、一部省略、表現を簡略化している箇所があります。

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