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2014年9月号
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 福島 えみ子

知っておきたい個人型確定拠出年金の利用法

老後のお金を増やす手段のひとつとして、税制上の優遇措置があり自分で運用ができる「確定拠出年金」があります。会社に確定拠出年金がないからとあきらめる人も多いようですが、確定拠出年金制度がない場合や自営業の場合でも、個人で加入できる「個人型確定拠出年金」があります。

個人型確定拠出年金に加入できる人とは?

加入できる人は、20歳以上60歳未満で、(1)自営業者等国民年金第1号被保険者(2)企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金など)のない会社に勤めている人(国民年金第2号被保険者)等です。
反対に加入できない人は、勤め先に企業年金制度がある人や公務員等共済組合に加入している人、専業主婦等の国民年金第3号被保険者等となっています。

加入資格や掛金上限額など制度の詳細は、国民年金基金連合会の個人型確定拠出年金のHPでご確認ください。

国民年金基金連合会

個人型確定拠出年金の最大のメリットは税金の優遇

税金の優遇措置は、掛金拠出・運用・給付と大きく3つの場面に分けられます。

まず、掛金拠出時には、支払う掛金全額が所得控除となって所得税・住民税が軽減されるのが大きなメリットです。所得により所得税率が異なるため、この軽減効果はその人の所得によって変わること、他の所得控除が多かったり住宅ローン減税の利用中だったりと支払うべき所得税・住民税が少ないような場合には、このメリットは小さくなることは留意しておく必要があります。

そして運用場面における収益は、利息や分配金、配当、売却益などを含め全て非課税です。

また、受取時には、年金で受け取る場合には公的年金等控除が、一時金で受け取る場合には退職所得として扱われるため退職所得控除が適用されます。

個人型の加入で注意すべきこと

このようにメリットのある個人型確定拠出年金ですが、気をつけておきたいことがいくつかあります。

手数料コストも考えておきたい

個人型確定拠出年金の場合は、すべての手数料が自己負担となるため、手数料をコストとして意識しておく必要があります。

例えば、掛金を支払って新たに加入者となる場合、加入時に必要な国民年金基金連合会への手数料2,777円のほか、金融機関により毎年以下がかかります。

  • 事務手数料     毎月103円 年間1,236円  (国民年金基金連合会へ)
  • 運営管理機関手数料 ☆毎月378円 年間4,536円 (運営管理機関へ)
  • 資産管理手数料   ☆毎月64円 年間768円   (事務委託先金融機関へ)

掛金拠出時における手数料合計 月額545円 年間6,540円
(※ ☆マークの手数料は、金融機関によってそれぞれ異なります)

なお、掛金拠出時だけでなく、運用のみ行う運用指図者となった場合でも手数料が必要となります。
上記のように手数料が掛かるため、掛金が毎月1万円程度ですと、所得が低く(所得により所得税率は異なるため)運用益があまり出ていなければ、所得税・住民税軽減メリットが少なくなってしまうこともありますので、個人型確定拠出年金を始める前に十分確認することが大切です。

また、金融機関により異なる手数料額ですが、手数料が安ければよいかというと一概にそうともいえません。金融機関によって運用商品のラインナップが違いますから、自分が運用したい商品を扱っているかという視点も大切です。

働きかたによって運用指図しかできなくなる場合も

さらに、先述した加入資格要件があるため、個人型を始めた後に転職したり専業主婦になったりして、企業型や個人型加入資格に該当しなくなれば掛金を拠出し続けることはできず、運用指図をするのみとなります。その場合、掛金の拠出による所得税・住民税のメリットがなくなり、先述の運用・給付場面における他の税金優遇メリットのみになるため、場合によっては手数料だけがかさんでしまうことも考えられます。

目的は老後のお金

この制度は老後資金の積み立てを目的としているので、基本的に60歳以降から運用したお金を手にすることになります。そのため、積み立ての途中でマイホームや教育費にお金が必要になったとしても、その目的でお金を取りだすことは原則できない点は今一度確認しておきたいところです。

預金だけではなかなか老後資金がふえないので、投資運用も取り入れたいと考えるなら個人型確定拠出年金は大いにメリットがある手段のひとつと言えます。
ただし、一旦始めると後戻りや変更がしにくい場合もあることを考えあわせると、自分のライフプランや働き方、そして老後のお金をいかに準備するか、自分の場合は?というところをしっかり見渡したうえで始めたい制度といえるでしょう。

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