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2013年12月号
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 平下 淳

退職後の生活にはどのくらいのお金がかかるのか?

老後の生活に不安を抱える生活者からの相談は多い

FP広報センタースタッフとして、一般生活者からの「くらしとお金」についての相談を受けています。お金にかかわる相談の中でも「老後」の生活についての不安を抱える相談者の方から、「老後の生活費として、いくらくらいを見積もっておけばよいのか」「このくらいの貯金と退職金で足りるかどうか」という相談をよく受けます。これについては、現役時の生活水準や老後に希望する生活水準、お住まいの地域や物価水準、今後必要となるライフイベント資金などをお聞きした上で、個別に設定するのが一般的で、「月に○万円見ておけば、必ず安心」といった明確な数値があるわけではありません。また、相談するFPの見積もり方によっても、多少の差は出るでしょう。

退職後に必要となる生活費の見積もりについて

一般によく参考にされる数値としては、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によって公表される「ゆとりのある老後生活費」と、総務省統計局の「家計調査」によって公表される「60歳以上の無職世帯の支出」の2つがあります(図表1、2)。これらの調査の違いに注目すると、前者は「(現役世代も含めた調査対象者が)これくらいあるとゆとりがあると感じる」という意識調査的な性質のものであるのに対して、後者は「(退職者層が)実際にこれくらい支出している」という「実態調査」であるということです。大まかにいえば、前者のデータは「理想」や「希望」であり、後者は「現実」だということになります。

表1 60歳以上無職世帯の支出(月額)

支出合計
(1)+(2)
(1)消費支出 (2)非消費支出
(税・社会保険料)
60歳以上の単身無職世帯 155,658円 143,456円 12,202円
高齢夫婦無職世帯(※) 275,706円 243,864円 31,842円
(※)高齢世帯:

夫65歳以上、妻60歳以上のみの無職世帯
出典:総務省統計局「家計調査(平成27年)平均速報」

表2 ゆとりのある老後生活費(月額)

ゆとりのある老後生活費
(1)+(2)
(1)老後の日常生活費 (2)老後のゆとりのための上乗せ額
354,000円 220,000円 134,000円

出典:生命保険文化センター 平成25年度「生活保障に関する調査(速報版)」

つまり、どちらのデータを参考に見積もるのかによっても、退職後にかかる生活費や退職時に必要となる貯蓄額などの結果は大きく変化します。また、これらの調査結果は全国の平均値ですから、実際には、お住まいになっている町の規模や物価水準などによっても左右されるでしょう。なお、「生活費を何歳まで見積もっておけばよいのか」については、退職時における男女別の「平均余命」を参考に見積もるのが基本となります。

(男女別の平均余命)

60歳男性:23.36年
60歳女性:28.68年
出典:厚生労働省、平成26年「簡易生命表」

「支出はやや多めに、収入はやや少なめに」見積もるのが基本

基本的に、将来の数値を見積もるときには、支出はやや多めに、収入はやや少なめに見積もるのが基本となりますから、あまり楽観的(支出を少なめ、収入を多め)に金額を見積もるのは避けるべきでしょう。
また、実際に生活してみないと判らないこともありますから、退職後も家計簿を付けるなど、こまめな収支の見直しは必要です。働いているときは家計管理を奥様任せにしていた御主人も、退職後の生活では夫婦間の協力が欠かせません。ご夫婦で退職後の生活水準やライフスタイルをよく話し合った上で、協力しながら家計管理をしていきましょう。

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