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2012年5月号
資産運用
ファイナンシャル・プランナー 市川 雄一郎

資産運用初心者は、グローバルニュースに目を向けよう!

FP広報センターへお電話をいただく多くの相談者は、資産運用の初心者である場合が殆どです。そのため、既に持っている金融商品を売るべきか、それともまだ維持するべきか、というような相談も多々あります。
この原因は資産運用に関する知識不足が殆どです。どのような金融商品に分散をしていても、大抵の場合、グローバル経済に影響を受けることが殆ど。そのため、様々な国際事情を把握しておくことが資産運用にとって必要不可欠になります。しかし、いきなり国際事情と言われても、何をどのようにチェックすればいいのかわからないという方が初心者投資家の共通点と言えます。そこで今回は、資産運用の基本的な勘所を二つだけ押さえたいと思います。

アメリカ経済をチェックしよう

世界経済の中心は、何といってもアメリカです。その影響を日本は最も受けやすい国のひとつと言えます。アメリカ経済の良し悪しにより、日本経済は影響を受けると言っても過言ではありません。
その大きな理由は、世界で最も流通している通貨が米ドルであり、米国債の保有率も2010年現在日本は外国の中では中国に次ぐ2番目の保有率で9,124億ドル(米財務省)、日本円(1ドル=80円換算)で72兆9,920億円保有しています。企業の多くも米ドルを主たる外貨としているため、1円の円高は、円に換算した際に大きな影響を受けることになります。

例えば、世界でもトップクラスの知名度のある日本企業のひとつであるトヨタ自動車の場合、1円の円高ドル安により350億円の利益が減少するとも言われています。

米ドルの行方によってこれだけ為替の影響を受けるわけですから、過度の円高ドル安は日本企業にとって悪影響であることがわかります。

全て単純にはいきませんが、米国経済が悪化すれば、ドルが売られて円が買われることで円高が進み、日本企業、日本の経済マーケットへ影響を及ぼす可能性が大いにあることが理解できると思います。

米国の株式市場情報や為替を含む経済情報は、必ず日々のニュースで触れられますし、今はインターネットで簡単に調べることができますので、資産運用を行う上でまずはアメリカ経済のチェックは最低限しておきたい項目といえます。

運用の損失を埋めたい気持ちが命取り

FP広報センターの相談で上位にランクされるのが、投資信託の相談です。相談者の多くは、グローバル型の投資信託を保有し、気が付いた時にはその損失が膨らんでおり、こんなはずではなかったのに…と困り果てて藁をもつかむ思いでお電話をしてきます。

投資信託は中長期で運用するのに優れた商品であると言われて購入している場合が多く、なかには投資信託はもうからない商品だという相談者もいらっしゃいます。全ての投資信託は悪い商品だ、どれに投資をしても値上がりしていない!と思っている方が多いのも事実です。

ところが実際相談を受ける殆どの場合、同じような商品を保有しているケースが多いのが現状です。必ずしも全ての投資信託がそうだと言うわけでないことが伺えます。そして相談者は、これ以上損失を膨らませたくないのだが、少しでもいいところで手放したいと思っているわけです。

しかし、今まで自己判断ができなかった投資家が、これから仮に基準価格が上がったとしても今度は売るタイミングがつかめず、結果また価格が下がってしまったというケースが多く見受けられます。つまり、『知識がない』『売買の判断ができない』という投資家は、損失は確定してしまいますが一旦売ってしまうというのも勇気ある決断だと思います。

 「このまま持ち続けることでドキドキしながら日々下がるかもしれないというリスクと、手放してスッキリした状態でもう一度資産設計をやり直すのでは、どちらがいいと思いますか?」と聞くと、大抵は「もう手放したい」と言います。

なかには勉強代というには、余りに高額な損失を出している初心者投資家もいますが、さらなる損失を生むリスクを考えるよりは、今までの分配金などを加味して総合的に判断すると、売っておく方が賢明と判断できる投資家が実に多いのです。

株式と違い、投資信託は1日の中で大きな下落にならない代わりに、大きな上昇も見込めない金融商品のひとつです。もし保有し続けて上昇を期待すると、相応の時間を要するというデメリットがあるわけです。

時に勇気ある決断が、資産だけではなく心の傷も抑えることができるということを理解してほしいと思います。そして、自己防衛のためには、様々な情報に目を向け、定期的に資産状況を見直すことを忘れないようにしたいものです。

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