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FPジャーナル2012年2月号:会員投稿コーナー

ハイブリッド車は地方生活者にとってエコカーたり得るか?

『FPジャーナル』では、継続教育の一環、会員の皆さまの情報共有として幅広いテーマによる投稿をご紹介しています。今月は福島県南相馬市の会員の方からの投稿です。地方、特に東日本大震災で交通網が打撃を受けた地域では、自動車は生活必需品です。「エコカー」はガソリン車に比べて家計にやさしいか、ご自身で調べた情報をもとに寄稿くださいました。

AFP認定者 京谷 則幸

京谷 則幸

(きょうや・のりゆき)地方に立地する電子機器用基板実装工場で20年余り実装用の仕様書管理を担当した後、通信教育にてAFP資格取得。「FP知識の最終的な目的は個人の充実したライフスタイルに寄与することである」ことが持論。

自動車は地方生活者にとって生活必需品

 自動車は地球環境に対して悪者であると言われる。しかし、一方で自動車は公共交通機関が衰退しつつある地方ならびに私の住む福島県南相馬市のように東日本大震災および原発事故により鉄道設備が破壊され、その復旧が進まない被災地においては、そこで暮らす生活者にとって生活必需品と化している。
 自動車は地方生活者の生活資金計画に大きな影響を及ぼす。その内容としては(1)購入時の車両価格ならびに税金などの費用、(2)保有時の費用(税金、燃料代、保険料、車検代など)がそれにあたる。
 そこで、現在「エコカー」の代名詞に挙げられている「ハイブリッド車」の話題に入りたい。ハイブリッド車は、ガソリン車の燃費の良くない低速域においてモーターで手助けしてエンジンの負荷を減らし、燃費を良くしようとするものである。ハイブリッド車のカタログで燃費性能が高いのはそのためである。
 それでは、生活必需品としてハイブリッド車を考えたとき、車両価格と燃料代(ガソリン代)を含めた費用面においてガソリン車のそれと比べてどれほどメリットがあるのか検証する。サンプルとして商品構成内にハイブリッド車と2種のガソリン車(1,300cc/1,500cc)を配するH社F車を例として取り上げる。
 図表1は、車両価格とガソリン代にスポットを当てている。ポイントは「ハイブリッド車とその基本となる1,300ccガソリン車の車両価格差は(ハイブリッド化の費用は)ハイブリッド化した燃費性能でカバーしきれるか?」ということである。燃費データの条件を合わせるため、一般的に実走行条件に近いと言われるJC08モードでのカタログデータを採用した。ガソリン代については一般的に使用終了とされる100,000km走行時でのガソリン代を掲載した。その結果、この場合における100,000km走行時のガソリン代は、ハイブリッド車では557,692円となり、ガソリン車の703,883円に対し146,191円分ガソリン代を節約できることがわかった。しかし、ハイブリッド車の燃費の良さだけではハイブリッド車159万円の車両価格とガソリン車123万円の車両価格差36万円をペイできないし、さらに100,000km走行時のガソリン代と車両本体価格を合算した費用で考えると、ハイブリッド車2,147,692円に対して、ガソリン車1,933,883円となり、ガソリン代で圧倒的な優位を見せたハイブリッド車が、車両本体価格を含めた費用でガソリン車より21万円程度高くなるということも判明した。

図表1■ガソリン車とハイブリッド車のガソリン代を含む車両価格の比較 筆者作成
タイプ 13Gガソリン
1,300ccガソリン車
(自動変速機)
13ハイブリッド
1,300ccハイブリッド車
(自動変速機)
15Xガソリン
1,500ccガソリン車
(自動変速機)
原動機 1,300ccエンジン 1,300ccエンジン
+モーター
1,500ccエンジン
車両価格-【A】 1,230,000円 1,590,000円 1,498,000円
13Gに対する価格差 +360,000円 +268,000円
燃費(カタログ燃費 JC08モード)-【B】 20.6km/L 26km/L 19km/L
燃料タンク容量(カタログ値) 42L 40L 42L
燃料計下限値における燃料消費量。リザーブは10L(筆者の経験則)-【C】 32L 30L 32L
実用走行距離(【B】×【C】) 659.2km 780km 608km
実用走行距離走行時の給油代(【C】×145円) 4,640円 4,350円 4,640円
100,000km走行時の給油代 (100,000km÷【B】×145円)-【D】 703,883円 557,692円 763,157円
上記【D】の13Gに対する価格差 ▲146,191円 +59,274円
100,000km走行時の給油代を含めた車両価格(【A】+【D】)-【E】 1,933,883円 2,147,692円 2,261,157円
上記【E】の13Gに対する価格差 +213,809円 +327,274円
注1: レギュラーガソリンは145円/Lとする。
注2: 今回、取り上げたハイブリッド車は、2011年度購入時の自動車税は50%減免、自動車重量税と自動車取得税は100%減免。しかし車両購入時総額(車両本体+税金+諸費用)でみるときは、タイプ別に値引きが発生することがあるため、購入時における税金の差額については考慮しない。また、購入年度の次年度以降の自動車税・自動車重量税もここでは考慮しない。
注3: メンテナンス費用についてはハイブリッド車において比較的高額とされるモーター駆動用の電池交換があるが、それは200,000kmくらいまでの耐久性があるといわれているため、今回はメンテナンス費用についてはタイプ間に差はないとする。
注4: 自動車保険はユーザーの考えで金額が変わるので、ここでは考慮しない。

 これは諸費用や優遇策を全く考慮していない状態なので、実際にはハイブリッド車とガソリン車の費用差はもう少し縮まると考えられる。しかし、ハイブリッド車のガソリン代を含めた車両価格の費用がガソリン車に対して同等になるか? となると一般的な使用限度と考えられる100,000kmの走行では難しいといえる。

地方生活者はハイブリッド車を選ぶべきではないのか?

 図表2はガソリン車(2種)とハイブリッド車の使い勝手を比較したものである。
 前出のように、ハイブリッド車はガソリン車の燃費の良くない低速域においてモーターで手助けしてその部分でエンジンの負荷を減らし燃費を良くすることが目的なので、地方生活者の中でも市街地走行中心の人はハイブリッド車を選ぶことでそのメリットを十分に享受できる。

図表2■ガソリン車とハイブリッド車の使い勝手の比較 筆者作成
使用環境 タイプ 13Gガソリン
1,300ccガソリン車
(自動変速機)
13ハイブリッド
1,300ccハイブリッド車
(自動変速機)
15Xガソリン
1,500ccガソリン車
(自動変速機)
市街地 使い勝手など 普通 アイドリングストップによる影響は人によって好みが出る 普通
燃費 1,300ccガソリン車に対して良くなる 1,300ccガソリン車に対して劣る
郊外一般道 走行 普通 場合によって1,300ccガソリン車に対して良くなることも。しかし、おおむね1,300ccガソリン車に準ずる よい
燃費 1,300ccガソリン車に対してやや劣る
高速道路 走行
(高速道路流入を含めた走り)
普通 合流時はモーターの手助けがある。流れに乗ってからは1,300ccモデルと共通 1,300ccガソリン車に対して余裕あり
燃費 高速道路で流れをリードしようとしたときは劣る場合も 一般道よりは期待できない。高速道路で流れをリードしようとしたときは劣る場合も 1,300ccガソリン車に対して良くなることも
使用上の注意点 特になし 長期間使用しない場合は1ヵ月に1度、モーター用電池の放電を防ぐためにエンジン始動を行う必要がある(注1) 特になし
注1: ハイブリッド車の「使用上の注意点」は今回取り上げた車種の場合。ハイブリッド車を購入する際は、購入ディーラーに車両の使用上のポイントを確認する必要がある
※: 上記コメントは一般的に言われることであり、特に燃費はメンテナンスの状況、運転状況で大きく異なる
 だが、使用環境を郊外の一般道に変えた場合、市街地に比べると交差点によるゴー&ストップの機会が減り平均速度も速くなるため、ハイブリッド車の特徴であるモーターの助けが得られにくい場面も存在し、エンジンのみでの走行もあり得る(ハイブリッド車と1,300ccガソリン車とで燃費に大差がなくなる)。加えて1,300ccガソリン車はハイブリッド車より車両価格が低いということもあるので、地方生活者でも郊外一般道の使用頻度が高い人は1,300ccガソリン車を選ぶメリットが大きい。
 では、使用環境を高速道路に移したらどうなるか? 高速道路は停止するケースが少なく郊外一般道より平均速度が速い。高速道路では高い燃費性能とともに出力(車両の駆動能力)にも余裕が求められる。余裕ある出力は万一の場合の危機回避にも直結する。ハイブリッド車は1,300ccガソリン車に対してモーターによる助けがあるので高速道路の合流時には効果があるが、高速走行時ではモーターによる優位性は少なくなる。一方、1,500ccガソリン車は1,300ccガソリン車に対して、出力に余裕があるので高速道路合流時のみならず高速走行時でも運転に余裕ができる。余裕は燃費にも恩恵をもたらすこともある。実際、私の使用車はこのF車の1,500ccガソリン車であるが、カタログ燃費19km/Lに対し実走行燃費で23km/Lをマークできる。地方生活者で高速道路を使用する機会が多い人には1,500ccガソリン車も選択肢の1つといえよう。

まとめ

 ハイブリッド車はカタログ上の燃費性能が良く(地球環境の改善にもつながる)、それ以外にエコカー補助金、エコカー減税があることも知れ渡っている。これらは購入時には魅力があるが、車両価格に保有時の燃料代などを含めたトータルコストでガソリン車と比べたときにはどうなのだろうか? 地方で自動車を生活必需品としている生活者にとってはどうなのか? というのが本稿の目的である。結論は、生活必需品たる自動車を使う生活者のライフスタイルで自動車のトータルコストは大きく変動するとしたい。
 自動車の購入を考えているお客様から「今、ハイブリッド車を考えているのだがどうだろうか?」と相談を受けたときに今回の寄稿の内容を役立ててもらえたら大変うれしい。

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