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2018年1月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 小林 美智子

20歳の若者とその親が知っておきたい年金のはなし

 1月の第2月曜日は「成人の日」。今年も多くの若者が成人式を迎えました。
20歳になるとできることが増える一方、さまざまな義務も生じてきます。そのひとつが国民年金への加入です。

20歳になったら国民年金

 日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金への加入が法律で義務付けられています。20歳になった時点で、厚生年金保険に加入している人、またはその配偶者に扶養されている人以外は、第1号被保険者として国民年金保険料(平成30年度 月額16,340円)を納めなければいけません。
 「想像もつかないような遠い老後のために保険料を払うなんて」と思うかもしれませんが、公的年金制度は老後のためだけのものではありません。

障害のリスクもカバーする公的年金制度

 老後・障害・死亡(遺族に対する保障)という人生における3つの大きなリスクに備える公的年金制度。国民年金からは老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金を受け取ることができます。
 なかでも、若い方に知っておいてほしいのは障害基礎年金です。病気やケガによって障害が残るリスクは若者でもあります。例えば、スポーツ中のケガや交通事故による障害、うつ病などの精神疾患による障害もあります。
 一定の障害状態にある間は障害基礎年金を受け取ることができます。仮に、20歳から65歳まで45年間、障害等級2級に該当し障害基礎年金を受給したとすると、総額で約3,500万円になります(平成29年度 年金額779,300円で計算)。

未納を避けるために

 障害基礎年金を受け取るためには、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないことなど一定の納付要件を満たすことが必要です。未納のまま放置すれば、障害基礎年金を受け取ることができない場合があります。
 障害基礎年金の有無はその後のライフプランに大きな影響を与えます。「もしも」はいつやってくるかわかりません。保険料を納めることが経済的に難しいときは、学生納付特例制度や納付猶予制度を利用するなどして未納だけは避けましょう。

1.学生納付特例制度
 大学生や専門学校生などの学生も20歳になったら国民年金に加入し、保険料を納めなければいけません。保険料を納めるのが難しいときは、学生納付特例制度を申請しましょう。
 学生納付特例制度は、本人の所得が一定以下の場合に保険料の納付を猶予する制度で、猶予期間中は保険料を納めていなくても未納扱いとはならないため、病気やケガで障害が残ったときも障害基礎年金を受け取ることができます。

2.学生納付特例制度の将来への影響
 制度を利用するとその分、保険料を全額納付(40年間)したときに比べ、将来の年金額は少なくなります。
 現在(平成29年度)の年金額で大まかに計算してみましょう。老齢基礎年金は満額で779,300円ですが、例えば、4月2日生まれの人が、大学2年生で20歳の誕生日を迎え、在学中の約3年間納付の猶予を受けると、年金額は約58,000円少なくなり、仮に65歳から90歳まで25年間年金を受け取るとすると、その差は約146万円になります。
 特例制度を受けた期間の保険料は、10年以内であれば追納できます。追納した期間は、保険料を全額納付した場合と同じ扱いになります。

3.納付猶予制度
 50歳未満で学生以外の人は、本人と配偶者の所得が一定以下の場合、納付猶予制度を利用できます。学生納付特例制度と同じく、猶予期間中は未納扱いとはなりません。また、10年以内であれば追納できます。
 その他にも一定条件を満たせば、全額免除や一部免除などの救済措置がありますが、これらの制度はいずれも、申請してはじめて利用できる制度だということをお忘れなく。

親の所得控除と2年前納で負担軽減

 親が生計を一にする子の国民年金保険料を支払った場合、社会保険料控除として親の所得から控除することができます。仮に親の所得税率が10%、住民税率が10%だとすると、保険料の約20%が節税になります。子どもの保険料を支払ったときは忘れずに申告しましょう。
 また、国民年金保険料には6ヶ月、1年、2年と一定期間まとめて納める前納制度があります。例えば、2年前納で口座振替の場合、保険料は毎月支払うよりも約4%割引(15,640円の割引)になります。
 2年前納は、4月から翌々年の3月分の保険料が対象で、年金事務所に申し込みが必要です。口座振替およびクレジットカードによる前納の申込期限は、毎年2月末です。まとめて払えそうな場合は、検討してみてはいかがでしょうか。

 長い人生の大きなリスクに備えるための公的年金制度。まずは自分にかかわりのある部分から関心を持ってみてくださいね。

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