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2017年12月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 丸子 いずみ

要支援・要介護になった時に受けられる介護サービス

 老老介護や、介護離職など超高齢化社会となった日本では、介護が大きな社会問題となっています。介護はひとたびスタートすると、もう後戻りはできません。前触れもなく突然始まることもあります。場合によっては、介護により家族はライフプランの変更が必要になるかもしれません。介護のスタート時期、費用、いつまで続くのか(期間)などの予想は難しく、仮に予算を立ててもその通りにいかないことが多いでしょう。
 誰もが、介護する側にも介護される側にもなりうるわけです。元気な時から、介護に関心を寄せ、日ごろのコミュニケーションの中でもぜひ家族でも話し合ってみてはいかがでしょうか。

介護が必要になったら

 介護が必要となった時、最初の相談窓口は「地域包括支援センター」です。高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、福祉、医療などとも連携しており必要な機関へつないでくれます。
 次に、公的介護保険を利用するためには、要介護認定が必要です。市区町村に要介護認定を申請すると、訪問調査員が訪ねてきて本人や家族から聞き取り調査を行います(認定調査)。あわせて、主治医の意見書も参考に要介護度が判定されます。
認定調査を受け、介護度の重い方から順に、「要介護5~1」、「要支援2・1」、「自立(非該当)」と認定されます。大雑把な言い方にはなりますが、要支援と要介護の違いは「いま現在介護が必要かどうか」です。支援を受けることで「現状維持や改善」が見込める場合は「要支援」。現状で手助けが必要な場合は「要介護」となり、その中でさらに細かく段階分けされています。要支援では、リハビリなど要介護状態にならないためのサービスを受けます
 また、自立(非該当)と認定された場合、介護保険は利用できませんが、市区町村が実施する介護予防事業(転倒予防教室や認知症予防教室など)を利用することができます。
(公的介護保険制度の概要と利用法については下記も参考にしてください。)
介護保険の概要と利用法について

 介護が必要と認定を受けたら、ケアマネージャーにケアプラン(介護サービスの利用計画)を作成してもらいます。以降はケアプランに基づき、それぞれの介護度に応じたサービスを受けていきます。ケアプランの作成に当たっては、本人や家族が困っていること、どんな支援を望んでいるか、時間帯や曜日の希望、自己負担できる金額などといった要望をしっかりと伝えます。特に、主な介護者が仕事を続けたい場合は、その意思もきちんと伝えることが重要です。

 公的介護保険で受けられるサービスは「在宅サービス」「地域密着型サービス」「施設サービス」となっています。
 このうち施設サービスを利用できるのは要介護の方に限定されます。公的介護保険における施設とは3種類あり、主に医療を中心とする「介護療養型医療施設」、介護とリハビリを行う「介護老人保健施設」、生活介護中心の「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)です。利用希望者が直接申し込みをしますが、介護老人福祉施設はなかなか入居できず、長く待つのが現状です。どうしても施設介護を、と思うなら民間の有料老人ホームも検討することになるでしょう。有料老人ホームに入居中でも公的介護保険でのサービスを利用できます。
 地域密着型サービスとは、住み慣れた自宅や地域での生活を継続していけるように(つまり、施設に入所できなくても)、柔軟なサービスを提供するというものです。夜間も日中も定期巡回や随時の介護・看護サービスが受けられる夜間対応型訪問介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などがあります。認知症対応型通所介護や認知症の方が少人数で共同生活を送るグループホームなども地域密着型サービスです。
 次に、在宅サービスを使った介護保険利用のイメージを考えてみました。
 まず、介護環境を整えるために利用できるサービスが3種類あります。
  ①福祉用具(車いす、特殊寝台等)貸与
  ②特定福祉用具(ポータブルトイレなど)の購入費の補助
  ③住宅改修費(手すりの取り付けなど)の補助
 利用者の負担は支給限度額以内なら1割(収入基準によっては2割)です。
生活面での介護サービス利用費用も、介護度に応じた支給限度額の範囲内なら、利用するサービス費用の1割(収入によっては2割)です。支給限度額を超えての利用は、全額自己負担です。そのほか、通所施設で提供される食事代、日常生活費、ショートステイなどの宿泊費は全額自己負担です。

介護サービス利用の具体例

 Fさん(72歳男性)は要介護3です(標準的な地域での支給限度額が269,310円/月、1割負担なら26,931円)。(冊子「はちおうじの介護保険」第6期介護保険事業計画(平成29年度版)八王子市福祉部介護保険課)
 要介護3とは中等度の介護を必要とする状態といわれ、具体的には下記のような状態です。
  ・食事や排せつに一部介助が必要。
  ・立ち上がることや片足立ちで立位保持ができない。
  ・着替えや入浴に全面的な介助が必要。
  ・問題行動や理解の低下がみられる。

< Fさんの生活 >
支給限度額の範囲での介護を受けています(毎月の自己負担25,000円程度+食事代は自費)。
妻(介護者)と同居で、週末は子供夫婦(近居)の手も借りて介護にあたります。
自宅では福祉用具(車いす、特殊寝台、歩行器)を借りて使用中。
訪問介護を利用していて、週3回はデイケアに通所します。
2~3ヶ月に1回、必要な時は、週末にショートステイ(短期入所療養介護)を利用します。

  月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日
訪問介護 訪問看護 訪問介護 訪問介護 訪問介護    
日中 デイケア   デイケア   デイケア    
夕方   訪問介護   訪問介護      
             

 介護を受ける人やその家族の状況により必要となるサービスも異なります。また、一口にデイケア、デイサービス、訪問介護といっても、そこで利用するサービスの内容や介護度により基本単価は変わります。例えば、訪問介護では、家事援助を行う生活援助(主に独居の場合)と、食事・入浴・排せつなどの援助をする身体介護があり、身体介護のほうが単価は高くなります。これら介護サービスの内容もケアマネージャーが必要に応じ変更していきます。

今からできること

 さて、予算を立ててもぶれ幅が大きいとはいいましたが、過去のデータは参考になります。
あくまで平均値ではありますが、介護に要した月々の費用は平均で約79,000円、一時的な費用の平均が約800,000円。介護期間が平均59.1ヶ月となっています(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」(平成27年度))。これらは過去3年以内に介護経験のある人を対象にアンケートを取ったもので、要介護度にも幅があり、また、民間の有料老人ホームを利用した方も在宅での介護の方も含まれた全世帯の平均となっています。毎月の介護費用が、老齢基礎年金よりも大きいということに注目してください。
 ほぼすべての人にとって、いつか自分も関係する介護です。公的介護保険制度は今後も変わっていくことが予想されます。制度に関心を寄せていくこともとても大切なことです。しかし、介護はお金だけでは解決できない大きな問題でもあります。わが家に介護がやってきたとき、前向きに乗り切っていくには、信頼して介護をプロの手に任せることも必要です。
 また、その時ライフプランはどうするか、もし長引いたら費用はどうしていこうか、など一度じっくり考えてみてください。そして、介護かな?と気になったら、一人で抱え込まず、早めに地域包括支援センターに相談しましょう。

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