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2017年9月号(1)
保険
CFP®認定者 竹内 美紀

「自転車保険」の基礎のキソ

 「自転車保険に入った方がいいですか?」
 こんなご相談をお受けする機会が多くなりました。

 平成27年3月に兵庫県が自治体としてはじめて自転車保険の加入を義務化したのを皮切りに、現在では大阪府や滋賀県などでも加入を義務化しています。今後もこうした自治体は増えてくるものと思われます。そこで、自転車保険の加入が求められている背景と保険の仕組みなど「『自転車保険』の基礎のキソ」について解説いたします。

1.背景

(1)自転車保有台数の増加と事故件数の増加

 環境への配慮と健康ブームもあり自転車に乗る人が増えてきています。国土交通省の調査によると平成25年の自転車保有台数は7,200万台で、ここ40年でみると2.5倍にも増えています(H27.3 国土交通省 自転車交通)。
それに伴い、交通事故も増えており、平成14年から平成24年にかけて全交通事故数は94万件から67万件と約3割減っているのに対し、対歩行者の事故件数は、1,966件から2,625件と約1.3倍にも増えています。

(2)事故による高額な損害賠償額

 自転車が加害者となる交通事故において、死亡や重度の後遺障害が生じ、高額な損害賠償請求事例が発生しています。たとえば平成25年7月当時小学生が乗った自転車と歩行者の衝突事故において、神戸地裁は母親に対して9,500万円の損害賠償を命じました。自転車利用者の損害賠償責任を負った場合の経済的負担の軽減と、被害者の保護を図るためにも、「自転車保険への加入は必須」ととらえる自治体が増えてきた大きな理由となっています。

2.「自転車保険」の仕組み

 相手にケガをさせてしまった時に賠償できる保険を一般的に「自転車保険」と呼んでいます。つまり「個人賠償責任保険」の付帯を求められています。この保険は単独で加入することができないため、自動車保険や火災保険、傷害保険などと組み合わせて販売されています。
 大きくみると「自転車」にかける保険と「人」にかける保険に分かれます。

(1)自転車にかける補償

 「TSマーク付帯保険」自転車安全整備士が点検整備した普通自転車に貼付されるもので、このマークには傷害保険と賠償責任保険が付いています。
 ※「TS」は、TRAFFIC SAFETY(交通安全)の頭文字TSマークがついている自転車の搭乗者が対象となります。赤色と青色の2種類あり補償額が異なっています。

(2)人にかける補償

 個人賠償責任保険は単体で加入ができないため、「傷害保険」「自動車保険」「火災保険」への付帯か、傷害保険と組み合わせてある「自転車保険」、PTA等の団体保険、共済、クレジットカード付帯保険などで補償を確保することができます。

3.どの補償に加入するか

 加入を検討する場合、加入者本人のケガ等への補償が必要ない場合は、火災保険や自動車保険への付加をおすすめします。保険料も年間で1,000円程度で同居家族全員が補償されるタイプが多いのが特徴です。

 加入者本人の入院給付金や、自転車の損害についても補償したい場合は、自転車保険でトータル的に準備することも可能です。自転車保険が加入者の範囲や補償金額により、年間4,500円~で加入できます。74歳まで、など年齢制限もありますので、注意しましょう。

 TSマーク付帯保険については、自転車点検整備を受けた自転車のみに付加されるため整備を定期的に受けられる人であれば、検討の対象となります。賠償責任金額は、青色TSマークで1,000万円。赤色で5,000万円です。どのくらいの補償をつければ、安心かを検討し、過不足なく加入しましょう。

 実際に事故が起きた時に、自分で相手と交渉するのは大変なことです。
「示談交渉サービス」を付加し、交渉してもらえるようにすることも大切なポイントとなります。

4.まとめ

 自転車保険に付加されている「個人賠償責任保険」は、火災保険や自動車保険、共済などで特約として加入している可能性があります。損害保険は重複して加入しても一か所からしか給付金を受け取ることができませんので、無駄となることがあります。

「自転車保険」という名称に左右されず、内容を確認して必要な補償に無駄なく加入することが大切ですね。

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