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2017年7月号(1)
住宅・不動産
CFP®認定者 尾上 好美

親子で住宅資金を借りる方法:ペアローンとリレーローンについて

 住宅を購入したいけれど、「年齢が高いため、長期のローンが契約できない」、「自分の年収だけでは、必要な金額が借りられないかもしれない」などの不安をお持ちの方からご相談を受けることがあります。このような場合には、親子や夫婦等が協力し住宅ローンを契約する方法があります。そこで、今回は、親子で契約するペアローン型とリレーローン型について、その特徴と利用上の注意点をまとめます。

 親子で住宅ローンを契約する際に比較検討されるのは、次の二つの方法です。
 ・ペアローン型
 ・リレーローン型
 これらは、二人の収入を合算して申請し、借入額を増やす点で共通していますが、“似て非なる”特徴があり、一般的には、親子ともに現役で一定の収入が続けられる見込みがある場合にはペアローン型、親が高齢で長期の住宅ローンが難しい場合にはリレーローン型の検討をお勧めしています。

ペアローン型

 ペアローン型は、一つの住宅を購入するために親子二人で借入金額を分担し、別々に契約する方法です。借入時から二人が同時に返済を開始します。
 購入した物件は共有名義となりますが、頭金への出資分と住宅ローンの借入分によって、持分割合が決まり、相互に連帯保証人になることが条件です。
 それぞれが住宅ローン控除制度を利用できるので、年末時点での借入残高(持分割合)の一定割合分を所得税(※1)から10年間控除し、世帯単位の税金負担を減らすことができます。
 なお、ペアローン型では、2つのローン契約を組むため、登記費用等の諸費用や書類手続きの手間が倍かかってしまう点には注意が必要です。

リレーローン型

 リレーローン型は、契約者である親が後継者である子を指名し、住宅ローンの返済期間をずらして二人で返済する契約です。最初に、契約者(親)が80歳(※2)になるまで返済し、後継者(子)が残りの返済額を引き継ぎます。
 契約時点の、契約者(親)の年齢にかかわらず、後継者(子)の年齢によって返済期間が決定するので、親の年齢が高く長期間の住宅ローンが組めない方でも返済期間を延ばし、毎月の返済額の負担を抑えつつ、希望の融資を受ける可能性が高められます。
 なお、リレーローン型の利用には、連帯債務者となる後継者(子)が条件に該当することが必要なので、事前によく確認してください。

ペアローン型とリレーローン型を利用する上で注意したいこと

 親子が同じ一つの住宅の返済義務を持つことで、子どもの将来に対する選択肢を狭めてしまうという見方もあります。例えば、住宅ローンを組んだ後、子どもが結婚し家族が増えて、もっと別の家が欲しくなったとしても、さらに別の住宅ローンを組むことが難しくなるようなケースです。
 親子で住宅ローンを契約する前に、お互いのライフプランが途中で変わる可能性も視野に入れて、家族でよく話し合っておきましょう。

 また、長期に渡る住宅ローンの契約では、途中で重い病気や死亡等でどちらかが返済できなくなるような事態も考えられます。
 万が一、どちらかが亡くなった場合、ペアローン型では、団体信用生命保険(団信)(※3)によって返済残額を免れる範囲はそれぞれの負担返済分だけなので、一方の返済分は残ってしまいます。
 一方で、リレーローン型では、団信への加入は任意(フラット35の場合)ですが、その保障期間は契約者(親)が80歳の誕生月末日までに限定されます。さらに、団信の加入者を親か子のどちらか一人に選ばなければなりません。仮に親が団信に加入した場合、80歳前に親が亡くなるとその時点での借入残額の返済は免れますが、80歳以降は団信の保障が終わるので、その後は借入残額の返済がすべて遺された子の負担になります。
 このような場合に備えるには、団信で保証されないリスクを他の生命保険等で補うなどの対処が必要です。

 親子で借りるペアローン、リレーローンは、二人が協力して住宅ローン契約を可能にし、借入総額を増やせる点は大きなメリットではありますが、当然、返済負担も大きくなります。借りられる限度額まで借りるのではなく、無理のない借入額に抑え、余裕のある返済計画を立てることが大切です。

(※1)住宅ローンの年末借入残高の一定割合を所得税から控除しきれない場合には、残った分を住民税から控除できます。
(※2)利用条件等は、金融機関によって異なります。
(※3)団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者の死亡や高度障害になった場合に、金融機関が住宅ローンの返済残額を負担する制度です。

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