バックナンバー

2017年6月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 辻 章嗣

介護保険の概要と利用法について

 高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして、2000年に介護保険制度が導入されました。そして、2017年1月末現在で65歳以上の高齢者の約18.0%にあたる629.2万人が要介護(要支援)認定を受け、565.5万人が様々な介護サービスの提供を受けています。
 しかしながら、40歳以上の全国民が介護保険の被保険者であるにも関わらず、介護保険について理解している人は少ないように思われます。そこで、今回は、介護保険の概要と利用法について分かりやすく解説いたします。

1.介護保険の概要

  • (1)

    保険者と被保険者
     介護保険は、市町村が保険者となって運営しています。
     また、被保険者は、第1号被保険者と第2号被保険者に区分されています。
    第1号被保険者(対象者:65歳以上)
     介護や支援が必要と認められれば、その原因を問わず介護保険を利用することが出来ます。
    第2号被保険者(対象者:40~64歳)
     末期がんや脳血管疾患等の特定疾病が原因である場合に限られていますが、認定を受けて介護保険を利用することが出来ます。

  • (2)

    介護保険料
     被保険者から徴収する保険料は、介護保険給付費の半額に相当し、残り半分は公費(国、都道府県、市町村)により賄われています。
     第1号被保険者の保険料は、市町村が徴収しており、原則として年金から天引きされます。一方、第2号被保険者の保険料は、医療保険の保険料と合わせて徴収されており、会社員等の場合は給料から差し引かれます。

  • (3)

    要介護度と支給限度基準額
     介護保険制度では、要介護状態に応じて要介護5~1、要支援2~1に区分され、それぞれの区分に応じて介護サービスを利用できる支給限度基準額(月額)が定められています。
     要介護:寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態
     要支援:家事や身支度等の日常生活に支援を必要とする状態

  • (4)

    自己負担額と高額介護サービス費
     介護サービスを利用する者は、支給限度基準額内(要介護5で月額360,650円)であれば利用したサービス費の1割(一定以上の所得がある方は2割)を負担すれば介護サービスを利用できます。
     また、一月の自己負担額が一定の額(世帯の所得により異なりますが一般的に世帯合計で44,000円)を超えた場合に、その超えた額が払い戻される高額介護サービス費制度もあります。


2.介護保険の利用法

  • (1)

    要介護認定の申請
     介護保険は、要介護認定を受けなければ利用することはできません。
     要介護認定の申請は、本人又は家族等が市町村の窓口(地域包括支援センター)に行います。
     認定申請が受理されると、担当職員による認定調査が行われ、主治医の意見書に基づき専門家による判定を経て要介護度が認定されます。

  • (2)

    介護サービスの種類
     介護保険が利用できるサービスは、在宅サービス、地域密着型サービス及び施設サービスに区分されます。
    在宅サービス
     自宅で利用する訪問介護(ホームヘルプサービス)や訪問看護、施設に通うデイサービス、短期間施設に入所するショートステイ等があります。
    地域密着型サービス
     自宅又は住み慣れた地域での生活が継続できるように、市町村単位で提供される定期巡回・随時対応型の訪問介護や訪問看護、小規模のデイサービスやショートステイ等を組み合わせたサービスです。
    施設サービス
     特別養護老人ホームと呼ばれている介護老人福祉施設、在宅復帰を目指したリハビリを目的とした介護老人保健施設等があります。施設サービスを利用するためには、介護保険の自己負担額に加えて、家賃・食費・光熱費等が必要となります。

  • (3)

    介護サービス利用の流れ
     介護サービスは、ケアマネジャーが中心となって様々なサービスを組合せたケアプランを作成することから始まります。ケアプランは、利用者、家族、サービス提供者による話し合いを経て決定されます。
     ケアプランが決まると利用者と各サービスを提供する事業者との間で個々に契約を締結した上でサービスの提供を受けます。その後、利用者は、各事業者に利用したサービス費の自己負担額を支払います。


 高齢者の介護問題は、育児や子育て問題とは異なりいつ始まりいつ終わるのか、そしていくら位掛かるのか予測することが困難です。また、毎年約10万人の勤労者が介護問題を理由として離職しています。
 わが国では、40歳から介護保険の被保険者となり介護保険料を納めるとともに、一定の条件で介護サービスを利用できるようになります。その理由は、40歳になると自分自身の老化に起因する疾病により介護が必要となる可能性が高くなることと、親が高齢となり介護が必要となる状態になる可能性が高まる時期になるからです。
 だからこそ、介護を社会全体で支える仕組みである介護保険制度を知ることは、いざという時に介護問題を一人で悩んだり、介護離職に追い込まれたりすることを防ぐことに繋がり、有効であると考えます。

さらに過去のFPコラムをカテゴリ別で見る

上へ