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2016年11月号(1)
ライフプラン
CFP®認定者 蟹山 淳子

奨学金の借り方・返し方

 子どもの夢を応援するためなら、無い袖も振りたくなるのが親心というものではないでしょうか。ただ、教育費を十分に準備するのが難しいのであれば、対策を考えなければなりません。そのような時に頼りになるのが奨学金です。日本学生支援機構「平成26年度学生生活調査結果」によれば、大学生の51.3%が奨学金を利用しています。そこで、利用者の約8割が受給している日本学生支援機構の奨学金について、利用方法と申込む際の注意点をまとめました。

奨学金とは?

 奨学金は、学生が経済的な理由で進学をあきらめることがないよう、進学に必要な学費や生活費を支援する制度です。奨学金には返済の必要が無い給付型と、卒業後に働きながら返済する貸与型がありますが、日本の奨学金の殆どは貸与型です。貸与型の奨学金は、卒業後に返済をするものですから、学生向けのローンだと考えた方が良いでしょう。文部科学省所管の独立行政法人である日本学生支援機構の奨学金も貸与型で、無利子の第一種奨学金と有利子の第二種奨学金があります。

奨学金の受給資格

 奨学金を受けられるかどうかの審査基準となるのは、主に本人の成績と家族の収入です。学力の基準は第一種奨学金なら高校の評定平均が5段階で3.5以上であること、第二種奨学金なら学年の平均以上であることです。
 収入の基準は家族構成や事情によって異なります。例えば受験より前に奨学金の貸与を約束してもらう「予約採用」で、父母と子供2人のサラリーマン家庭の場合、受給の対象となる世帯収入の目安は第一種奨学金で781万円以下、第二種奨学金なら1,124万円以下となります。

奨学金を借りる時

 奨学金の金額は、希望する奨学金の種類や学校の種類等で異なりますが、月に3万円から12万円を借りることができます。申込みは、在籍している学校(または出身校)を通して行います。申し込みの際は世帯の収入を証明する書類を提出します。また、保障制度を「人的保証」(二人の保証人を立てる)にするか、それとも「機関保証」(保証機関に保証料を払って保障してもらう)にするかの選択をする必要があります。

 募集時期は学校によって時期が異なりますが、原則として毎年春と秋の2回、在学する学校を通じて募集の告知が出されます。第一種奨学金の予約採用は高校3年の1学期に募集が1回あるだけなので、見逃さないようにしましょう。

 最初に奨学金を受け取ることができるのは入学した後で、以後卒業する年の3月まで毎月銀行口座に振り込まれます。ただ、入学手続き時には、少なくとも入学金、施設費、半年分の授業料などを納付しなければなりません。したがって、奨学金の受給が決まっていても、入学手続きに必要なこれらの費用は別に用意しておくことが必要です。

 在学中に気を付けなければならないのは留年です。奨学金の受給は、確実に学業を修了できることが条件になるので、もし留年や休学をした場合は、継続して受給することが難しくなります。

奨学金を返す時

 返済は卒業後の7か月目から始まります。返済期間は奨学金の総額と割賦方法に応じて決まります。月に64,000円の第一種奨学金を4年間受給したとすると、毎月14,222円を18年間返済することになります。ただし、途中で繰り上げ返済をすることもできます。

 最近は、返済できない人が増えているという報道もよく目にします。返済が滞ると本人や保証人に督促の電話や通知が来るようになります。延滞が3か月以上続いた場合は個人情報が個人信用情報機関に登録され、クレジットカードや住宅ローンの契約ができなくなる可能性があるので、確実に返済していくことが重要です。

まとめ

 第二種奨学金は有利子であるため敬遠されがちですが、在学中は無利子ですし、2016年3月に卒業した学生に適用された利率は、「固定方式」で0.16%、5年ごとに市中金利の変化に応じて金利を見直す「利率見直し方式」で0.10%でした。この金利は住宅ローンと比べてもかなり低い水準といえます。必要に応じて利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 ただ、奨学金は住宅ローンなどと違い、借りる人の返済能力に関する審査が無いので、ついつい多く借りてしまいがちです。23歳から返済を始めたとすると、例えば18年間の返済であれば、完済は41歳になります。その間に結婚して子供を育てながら毎月返済していくとしたら、それは簡単なことではないでしょう。もちろん、奨学金返済を援助する予定でいるご両親もいらっしゃると思いますが、返済の責任を負うのは学生本人なので、返済プランをよく検討した上で、必要最低限の金額を選択することが重要です。

 奨学金の返済プランを考えるには、子どもの将来の夢やライフプランを話し合うことが大切です。子どもがどんな夢を持っているのか、将来学校で何を学びたいのか、この機会に親子で話してみてはいかがでしょうか。
 また、将来的には給付型の奨学金の導入も検討されていますので、情報を見逃さないように気を付けておきましょう。

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