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2016年10月号(2)
ライフプラン
CFP®認定者 鈴木 暁子

マイナス金利が私たちの生活に与えた影響は?

 2016年2月に日銀がマイナス金利を導入しました。その影響を感じている人も多いようです。今後、私たちはマイナス金利の環境下にどのように向き合っていく必要があるのでしょうか。

1.立場によってメリット・デメリットはさまざま

 住宅ローンをはじめ、お金を借りている方にとっては金利が下がることで金利負担が小さくなります。マイナス金利以降、住宅ローンを組んだり、借り換えをした方も多かったようです。
 一方、お金を預けている方にとってはデメリットが多かったですね。預貯金についてはさらに金利が引き下げられ、利息がほとんどつかない状況です。また、マイナス金利といっても銀行が預金者から金利を取るわけにはいかないため、手数料の引き上げや、サービスの縮小といった形で転嫁しています。
 さらに預貯金よりは利回りが良く、比較的安全な預け先と言われているMMFや公社債投資信託は大きな動きがありました。債券や、満期までが短期の金融商品を投資対象とするこれらの商品は、利子が主な収益となりますが、金利の低下で運用がしにくい環境となったことで、証券会社が軒並み新規の募集停止や繰上償還をするといった状況になっています。同様に保険会社においても、貯蓄性の商品の一部で販売停止になったものもみられます。これまで以上に家計管理や資産形成が難しくなっているといえるでしょう。

2.さまざまな工夫で家計管理力をアップする

 このような時代は家計管理のポイントとして、無駄な支出は徹底的に抑えたいところです。まずは固定費としてかかる通信費や保険料をまず見直しましょう。スマートフォンの発売当初は料金プランも高額でしたが、SIMフリー端末が浸透したことや、大手通信事業者の料金プランもかつてよりも安くなり、多くの家庭で見直しが功を奏しています。また、最近では生活者の方もよく勉強されていて、保険の見直しも当たり前のように相談される方が増えています。最近では電力自由化による電気料金の見直しも有効です。
 各種ポイントやマイレージなどのサービス、コンビニの電子マネー利用でポイント加算、国民年金保険料の前納割引制度、銀行での引出しでは時間帯を選ぶなど、細かな工夫の積み重ねも大切です。

3.経済環境に応じて資産運用の検討も

 一方、日々の生活での支出を抑えるだけでは、資産の目減りは防げたとしても増やしていくことは難しいものです。将来マイナス金利が解消されたとしても、金利がどんどん上がっていくということは考えにくく、預けておくだけでは増えないという環境は大きくは変わらないでしょう。
 それに関連して、「最近、金融機関から投資信託を勧める営業の電話が多い」というご相談を受けることが多くなりました。ほとんど金利のつかない銀行預金や、償還されたMMF、公社債投資信託などの資金がターゲットとなっているためです。
 もちろん「わからないものには手を出さない」というのが鉄則です。しかし冒頭で述べたように、極めて低いリスクのみで資産を増やすことは難しい今の時代、私たちは多かれ少なかれ、今後資産を運用していくことも選択肢として取り入れる必要があるかもしれません。もちろんその場合でも、まずはライフプランを考えたうえで、どの程度運用する必要があるのか、リスクはどこまで許容できるかなどを確認することは言うまでもありません。自身の勉強も必要になるでしょう。

 マイナス金利という経験したことのない環境に置かれたことは、自分たちではどうにもならないことですが、何もしないままでは家計も資産も改善しません。むしろ不確実な金融・経済の環境にしなやかに対応できる力をつけるために、知識習得や情報収集に努め、これまでの家計管理や資産形成の方法について見直す良い機会と捉えてはいかがでしょうか。

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