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2016年6月号(2)
ライフプラン
CFP®認定者 大野 高志

扶養の範囲と注意点

 一般的に扶養とは、生計のある人が家族を養うことで、税金が安くなったり、保険証を持たせたりと何となくのイメージはできると思いますが、それぞれの制度によって、対象者の基準や内容が異なります。大まかに分けると、①税金(所得税・住民税)、②健康保険、③国民年金、④勤務先からの手当に分けられます。これらは別々の制度ですので、管轄や基準も異なるため確認する書類や時期も異なるのです。
 今回は、それぞれの制度ごとに扶養の範囲と注意点についてまとめてみました。

1.税金(所得税・住民税)での扶養

 パートやアルバイトで年収103万円を超えると扶養を外れると言った話を聞いたことがあるかもしれませんが、この基準が税金での扶養の基準です。
 1月1日~12月31日の1年間について、給料(時給・日給を含む)が103万円以下の家族を養っている人は、税金上での扶養控除や配偶者控除を受けることができ、所得税と住民税を減額することができます。対象者は1月1日時点で16歳以上の人が対象となり、年齢の上限はありません。例えば55歳の息子が収入の少ない85歳の母親を扶養にすることができます。なお、15歳以下の子どもは児童手当が支給対象のため、対象外となります。また、家族の範囲は生計を同一にしていれば、血族6親等・姻族3親等までが対象となります。
 税金での扶養の手続きは、毎年の年末調整または確定申告で申請します。なお誤って、収入が多い家族を扶養にしてしまうと、後日税務署・市区町村から修正を求められますので注意しましょう。

2.健康保険での扶養

 主婦でパートをしている方は上記の年収103万円だけでなく、年収130万円を超えないように働く時間を調整されている方もいらっしゃると思います。こちらは健康保険の扶養と国民年金の扶養(第3号被保険者)ができる金額の上限です。具体的には、年収130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年収180万円未満)の家族を養っている場合には、追加の保険料を払うことなく、その家族に被扶養者の健康保険証を持たせ、保険診療を受けることができます。配偶者、子、孫および弟妹、父母、祖父母などの直系尊属は同居しなくても対象となりますが、兄姉、伯叔父母、甥姪とその配偶者などや内縁関係の場合は収入だけでなく同居も要件となります。なお、自営業者等が加入する国民健康保険は扶養の制度はありません。

3.国民年金での扶養(第3号被保険者)

 2の健康保険と同様、こちらも年収130万円が対象となりますが、対象者は会社員や公務員に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者のみです。第3号被保険者となり、国民年金の保険料を払わなくても払っていることと同様の扱いになります。なお、自営業者に扶養されている配偶者や20歳以上の働いていない子ども等は対象となりません。

 2016年10月から一部のパートタイマーを対象に、健康保険と厚生年金の強制加入の要件が変更されます。年収106万円以上の他に①週20時間以上の勤務、②勤務期間1年以上の見込み、③従業員 501人以上の企業での勤務、の3つの要件がすべて該当すると、パートタイマーの勤務先で健康保険料と厚生年金保険料を払い、扶養を外れることになります。対象となるかは気になる方は、勤務先で確認をしましょう。

4.勤務先の手当としての扶養

 勤務先から家族手当を支給されている方もいらっしゃると思いますが、こちらは勤務先によって個別に設定でき法律上の基準はありません。平成27年職種別民間給与実態調査によると、家族手当がある企業は76.5%、そのうち配偶者に家族手当を支給する場合の年収基準を103万円にしている企業が68.8%、130万円にしている企業が25.8%となっています。
 例えば、上記2の健康保険・上記3の国民年金の扶養基準を意識して年収128万円にしたものの、夫の勤務先の配偶者手当の基準が年収103万円であった場合、基準を超えて手当が受けられないということも考えられます。この基準は勤務先ごとに異なるので、会社の賃金規程等か人事・経理担当者に確認してください。

 女性活躍を推進する考えの一つとして、政府などは配偶者を対象とした扶養の見直しを検討しています。2016年10月からのパートタイマーの社会保険加入の要件を変更するのもその一環です。扶養の制度については今後も見直しが図られる可能性が高いので、制度の変更がないか注意し、ご家族のライフプランに最適な働き方を考えましょう。

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