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2016年5月号(1)
ライフプラン
ファイナンシャル・プランナー 荻野 嘉彦

相続に伴う手続きについて

 相続と言えば、平成27年1月から基礎控除が引き下げとなった相続税や、相続人の間での分け方(遺産分割)の話題が中心ではないでしょうか。しかし、相続税を支払うケースは、全体からみれば少なく、遺産分割の問題も全ての相続で発生している訳ではありません。
 その一方で、相続発生が発生すると、どの家庭も避けて通れないさまざまな手続きが発生します。また、財産を引き継ぐにも、一定の手続きが必要となります。
 そこで、本日は相続に伴う主な手続きについて確認しましょう。

亡くなった後にすべき手続き

1.社会保険・年金の手続き

 社会保険関連の資格喪失手続きは、特に早くする必要があります。健康保険・厚生年金は、亡くなってから5日以内、国民健康保険・国民年金は14日以内の届け出が定められています。社会保険・年金により対応窓口が異なります。まずは、各機関の窓口へ連絡し、必要書類や手続き方法を確認しながらすすめるようにしましょう。

 届け出先は、以下のとおりです。
  健康保険…(事業主を通じて)社会保険事務所または健康保険組合
  厚生年金保険…(事業主を通じて)社会保険事務所
  国民健康保険…市区町村役所の国民健康保険係
  国民年金…市区町村役所の国民年金係

2.金融機関での手続き

 被相続人が亡くなった時点で、銀行・証券会社等の金融機関に連絡し、口座を凍結する必要があります。財産はすべて相続人の共有財産となりますので、特定の相続人が勝手に預金等を引き出せなくすることで、相続人間のトラブルを防ぐことができます。口座内のお金を動かすためには、後述する相続人の間で遺産分割の合意が必要です。
 また、被相続人がクレジットカードを保有していた場合、相続が発生した段階で、クレジットカード会社に連絡する必要があります。カード自体は相続の対象外であり、相続が発生するとカードは解約となります。ただし、クレジットカードは後払いであるため、銀行口座が凍結され未払い分が残っている場合は、相続人が共同で支払うことになります。

3.生命保険金の受け取り手続き

 生命保険(被保険者=被相続人のケース)は、保険金受取人に保険金が支払われます。生命保険の死亡保険金は相続財産ではないため、予め指定された保険金受取人が、保険金請求をするだけで、保険金が受け取れます。
 口座が凍結される銀行預金等と異なり、手続き完了後、すみやかに保険金が振り込まれるため葬儀代など当面の支払いに生命保険金を充てることもできます。

遺産分割成立後に行う手続き

1.預金や上場株式の手続き

 凍結した銀行・証券会社等の口座を相続人が引き継ぐことになります。
 「遺産分割協議書」「亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」など、金融機関が指定する書類を提出し、名義変更する必要があります。

2.不動産移転登記の手続き

 遺産分割に相続人間で合意後、不動産移転登記が完了するまでは、不動産の売却・賃貸等ができません。特に共有(一つの不動産を複数の相続人が持ち合う状態)となっている不動産の場合、相続発生から何年も手続きをしなかったため、相続人一人の反対で、不動産に関して何もできなくなっていることも少なくありません。遺産分割に加えて、すみやかな不動産移転登記手続きが大切となります。
 手続きには、相続登記申請書のほか、相続人全員の印鑑証明書や住民票、相続する不動産の権利証(登記済権利証)などの多くの書類が必要です。具体的な手続きの相談は、不動産を相続する相続人が、対象の不動産が所在する法務局に確認しながら進めることになります。

3.生命保険の相続手続き

 契約者が被相続人で、被保険者が被相続人以外の生命保険は、相続発生後も保険契約は継続しています。生命保険契約は相続財産となるため、その契約を引き継ぐには、生命保険会社で所定の手続きが必要となります。
 保険金受取人の請求だけで手続きが終わる「被保険者=被相続人の生命保険」と異なる点に注意が必要です。

4.損害保険の手続き

 被相続人が契約する損害保険契約は契約者変更が必要となります。損害保険の場合、その保険の対象となる財物(ご自宅・自動車)を誰が相続するかの問題があります。通常は保険の対象となる財物を相続する方が、保険契約者になることが自然です。担当する損害保険代理店に相談しながら手続きを進めましょう。

5.自動車に関する手続き

 被相続人名義の自動車は名義変更が必要となります。たとえ廃車予定の場合であっても、一度、相続人に名義変更する必要があります。陸運局(軽自動車の場合、軽自動車検査協会)に連絡しましょう。

 これらの手続きには、公的機関に相談して、相続人が独自にできるケースもあれば、専門家の力を借りざるを得ないケースもあります。手続きが煩雑と感じた場合には、弁護士・税理士・社会保険労務士・司法書士等の専門家に相談して、相続手続きを進めましょう。

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