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2016年3月号(2)
住宅・不動産
ファイナンシャル・プランナー 平澤 朋樹

いくらの家なら適正?マイホーム購入は資金計画から

 今の家賃は管理費込みで13万円、間取りは1LDK。子どもが産まれたことをきっかけに住宅購入を意識し始める方はたくさんいます。「今の家賃を払い続けるのはもったいない。住宅ローンの返済額が家賃と同額かそれ以下なら購入の方が得なのでは?」と考え、マンション購入を検討している人が結構いるのです。
 また、最近は、自分たちの適正な住宅購入予算はどの程度なのか、という相談も増えています。住宅購入の際に、初めに検討すべきなのはどちらでしょうか。まずはインターネット等を使い、住み慣れた現在の住まいの近くで物件を探し、気に入った物件を見つけ、マンションならモデルルームに、戸建てなら住宅展示場に出かけていき、購入物件から検討する方法。あるいは現在から将来までの家計の変化を踏まえ、資金計画から検討する方法。

 もちろん、正解は「資金計画からのスタート」です。先に買いたい家を決めると、その家を買うために「いくら借りられるか」を考えてしまいがちです。子どもが小さいうちは意外とどんぶり勘定でも家計が問題なくまわっているケースが多いのですが、後になって資金繰りが厳しくなることもあり得ます。住宅ローンの返済は長期間にわたりますので、現在の状況だけでなく、将来の生活設計を踏まえて資金計画を考えることがとても大切です。住宅購入後も安心して暮らしていくために大切なことは、「家が欲しい!」という思いを「具体的な計画に落とし込むこと」です。
 ここでは住宅購入を考えるにあたっての3つのポイントを見ていきましょう。

住宅購入を考えるにあたっての3つのポイント

 まず1つ目は、ライフプランから見てどの位のお金を住宅にかけられるかを確認することです。収入や資産、家族構成はもちろん、家計の状況やこれからの夫婦の働き方、家族が増えるのかどうか、老後の生活設計など、自分達がどうしたいかをよく考えることが必要です。そのうえで、ライフプランに基づいた資金計画を最初に考えるべきです。また今は「終の棲家」が当たり前ではなく、それぞれのライフプランに合わせて住まいを考える時代です。退職後は子どもたちと暮らした広い家を売却し、利便性の高い都心の中古マンションに引っ越すかもしれません。

 2つ目は、キャッシュフローの確認です。遠い将来の収支よりも、教育費を負担しながら老後資金を貯めていく時期の資金繰りの方が大切です。ライフプランに基づいて将来の家計を予測し、頭金を決めることではじめて購入できる住宅の適正価格が決まってきます。資金繰りがしっかりしていれば、仮に将来住宅の価格が大きく下がってローン残高を下回ったとしても、家計が破綻することはないでしょう。しかし、適正価格を超えた高い住宅を買った場合や頭金が少なすぎた場合などは、資金繰りに余裕がないことも多く、非常にリスクが高いといえます。特に最近の超低金利下では、変動金利や5年など短期の期間固定金利などで借りれば身の丈以上の住宅を購入できてしまいます。金利が少しでも上昇したら返済が厳しくなるなどの事態にならないような予算設定や、購入後の返済資金の確保が不可欠です。

 3つ目は、資産価値について、どう考えるかです。住宅を購入すればローン完済後には自分のものになるため、老後に家賃の支払いがなく、自宅が資産として残るのは安心につながるということがあります。自宅は資産ですから価値があり、その資産価値は賃貸に出した場合の賃料で決まります。長期的には少子化で借りる人が減っていくでしょうから、賃料の下落に準じて住宅価格そのものも下がっていくリスクが内在します。自宅の購入は「自分が住む不動産物件への投資」として捉えられるので、投資の観点からは、住宅価格が安かったら買えば良いし、高い場合は賃貸で住み続ける方が良い、というシンプルな答えが出ます。投資ですから、買った物件が将来大きく値上がりすれば売却益を得られる可能性もありますが、値下がりして損失を被ることもある訳です。もちろん自宅として使用し続けるなど、売却しなければ利益(損失)は確定しませんし、資産価値以外の視点も大切ということは今までのポイントを見てきたとおりです。

 超低金利であることや住宅ローン控除などの国の補助が手厚くなっている一方で、アベノミクス以降都心の不動産価格は急激に上昇してきました。低金利の恩恵で、背伸びすれば希望の物件に手が届くかもしれません。しかし住宅ローンを組むということは、大きな借金をして長期間資産を住宅に固定することであるということを覚えておきたいところです。今の家賃と比較した損得勘定だけで購入か賃貸かを決めるのは、非常に危険です。生涯で一番高い買い物ですから、じっくりと考えることが大切です。

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