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2015年12月号(2)
住宅・不動産
ファイナンシャル・プランナー 甲斐 洋子

不動産選びで後悔しないために知っておきたいこと

 「購入か賃貸か」。これは住居に関するFP相談での永遠のテーマの一つです。11月28日に発表された内閣府の「住生活に関する世論調査」によると、住宅を所有したい人の割合は、74.9%と前回平成16年の調査より約4ポイントの減少。一方所有する必要はないと答えた人の割合は、16.5%と前回調査からは4.4ポイントの増加。所有派の割合は低下傾向にあるものの、まだ高い水準にあると言えます。

情報の非対称性

 ところで皆さんは、「情報の非対称性」という言葉をご存知でしょうか。ある市場において、「売り手」と「買い手」が持つ情報に差がある、不均衡な状態を指します。売り手が持つ情報量が圧倒的に多い不動産業界は、非対称性が大きい業界と言われています。例えば新築マンションの場合、品質の情報をカタログとモデルルームだけでしか確認できない段階で契約することがほとんどで、当初は値段さえオープンにされません。中古住宅では、売り手は物件情報のほとんどを入手でき、買い手への情報をコントロールすることも可能です。情報の非対称性は賃貸市場にも存在しますが、購入と賃貸では損失を被った時の大きさの違いは説明すべくもないでしょう。

 こういった情報格差を克服するには、どうしたらいいのでしょうか。

情報格差の克服

 まずは、購入の目的、リスクをしっかり確認することから始める必要があります。
 家賃を払い続けるのがもったいないと思っている方は、よく考えてみてください。月々のローン支払い額の方が安く収まるとしても、ローンを支払っている間は正確には自分のものではないのです。払い続けられない事情が生じた時にどう対処するのか、購入時にはなかなか思いが及ばないものですが、様々な可能性を予測しておく必要があります。
 30代で35年ローンを組んだとして、払い終わる頃にはその物件がライフスタイルにマッチしない可能性もあります。変化する家族のサイズに合わせて住み替えるのが合理的と考えるなら、早い段階での購入は却って足かせとなってしまうかもしれません。売りたい時に売りたい値段で売れるとは限らないのが不動産。常に価格が動き、相場を形成しているからです。購入への思いが強くても、果たして今が買い時なのか価格動向を見て、家族の将来もイメージしながら、じっくり考える必要があるでしょう。

 物件を探す段階では、本気で情報を取りに行く姿勢、そして業者を本気にさせる熱意が必要です。中古住宅なら構造や周辺状況などはもちろんのこと、瑕疵担保責任はどうなっているかなど、業者が情報提供を惜しまない状況を作ることです。マンションの場合管理組合の決算状況を取り寄せて第三者にチェックしてもらうなどの対策も必要でしょう。
 新築マンションの場合、モデルルームの段階で売る慣習が続く限りリスク回避に限界はあります。今その価格で買う価値が本当にあるのかをじっくり考えること、購入後は工事状況の監督も怠らない姿勢を見せること、そして業者が信用できなければ、思い切って物色対象からはずすのも判断の一つです。

 人口減少局面に入り賃貸住宅に空きが増える中、思い通りにリノベーションできる物件も出てきています。定型化したライフプランにとらわれず、ご自身が住宅に求める価値を今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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